人間に懐くのが難しいといわれる狐。その言説を超えた友情を描いた漫画『犬とキツネ間違えた子』がXで約1.8万のいいねを獲得してバズっている。
作者はきつねねねさん( @thematy_)。愛らしくてコミカル、そしてハートウォーミングな物語が生まれた背景を、狐に対する自身の想いも交えてインタビューした。(小池直也)
――多くのいいねが集まっていますが、ご自身としてはいかがでしょう?
きつねねね:これまでもオリジナルのストーリー漫画をXに投稿していましたが、特にバズることはなく、むしろ単なるイラストの方が反応をもらいやすかったんです。だから本作も「伸びてほしい」と願いつつ、「きっと伸びないだろう」と考えていました。
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あとネタ系や二次創作ではない漫画がバズるのは難しいと感じていたので、今回これほど多くの反響をいただけたのは、とても嬉しい驚きです。
――本作を描いたきっかけについて教えてください。
きつねねね:私は大学で漫画研究会というサークルに所属していました。そこで「きつね」というお題で漫画やイラストを描く企画があり、それに合わせて話を考えたのがきっかけです。
締切まで1カ月ほどしかなかったため、急いでネームだけを作って提出、その数カ月後に清書したものを学園祭で発表しました。ストーリーを練る時間はほんの数日で、本当に面白いものにできたか不安でしたが、展示会では例年より多くの感想をいただき、嬉しかったことを覚えています。
――ペンネームも含めて、狐にどんな思い入れがあるのでしょう?
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きつねねね:純粋に可愛くて好き、という理由だけです(笑)。私は可愛い動物に目がなく、特に狐はその中でも惹かれる存在。「可愛い動物」と聞いて思い浮かぶのは猫や犬、狐、うさぎ、リスなど。
このなかでも狐は実際に触れ合う機会が少なく、身近で見ることが難しい動物だと思います。だからこそ、どこか憧れのような気持ちを抱いているのかもしれません。
――ストーリーはどのように着想されましたか。
きつねねね:以前、狐を飼いたいと思い、色々と調べたことがありました。その過程で「狐は人間には懐かない動物」と知りました。そこで「きつね」というお題で漫画を描くことになったとき、「男の子が犬と間違えて狐を飼い始めたら?」という話を思い付きました。
ストーリーとしては「懐かないはずの狐が主人公のピンチで懐いた」という、多少ベタな展開になっています。しかし、できるだけ自然に「お手」をしても違和感のない流れにすることを意識し、今の形にまとまりました
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――特に思い入れのある場面などもあれば教えてください。
きつねねね:狐が男の子が作った犬小屋で寝るシーンが気に入ってますね。実は当初このシーンはなく、代わりに狐がこっそりドッグフードを食べて好物になる、というシーンを考えていたんです。それは前半のキツネがツンツンしすぎているように見えたので、少し心を許していることを伝えるための場面でした。
しかし犬小屋のシーンに差し替えたことで、男の子が「犬を飼ってないといじめられるから」という理由だけで飼っていないこともさりげなく伝えることができたかなと。またドッグフードのシーンはギャグ寄りでしたが、犬小屋のシーンにすることで、キャラクターの心情をより自然に描けたと思ってます。
――オリジナル漫画でのバズに驚いているご様子ですが、今後はどのような作品を描いていきますか?
きつねねね:今までは、Xでバズらなくても、漫画研究会の展示会に漫画を掲載すれば読んでくれる方がいたので、それだけで十分オリジナル漫画を描くモチベーションになっていました。
しかし、今年度で大学を卒業し、漫画研究会を抜けるため、今後は一次創作の漫画を描く機会が減るかもしれません……。ただ、イラストであれば一次創作/二次創作問わず、今後も投稿していきたいと思っています。
(文・取材=小池直也)
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