衆院予算委員会で答弁する石破茂首相=12日午前、国会内 石破茂首相は12日、政府・与党内の調整が遅れる年金制度改革関連法案について、週内に国会に提出したいとの意向を示した。13日にも自民党から了承を取り付け、16日までに閣議決定し、衆院に提出する段取りを描いている。ただ、党内には慎重論がくすぶり、先行きには不透明感が残る。
首相は12日の衆院予算委員会で、法案について「13日にも与党で最終的な審議を行う。その結果を踏まえ、今月中旬には提出したい」と表明。立憲民主党の長妻昭代表代行が16日までに提出するかとただしたのに対し、「指摘のような日程を念頭に置いている」と明言した。
自民は先月下旬の厚生労働部会で法案を審査。賛否が割れたまま、対応を長坂康正部会長に一任した。13日には政調審議会と総務会を開き、法案を了承するか否かを最終的に審査する。
立民は、提出を見送れば、福岡資麿厚生労働相らの不信任決議案を提出するとけん制している。
法案は(1)厚生年金の適用拡大(2)在職老齢年金見直し(3)個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)加入可能年齢引き上げ―などが柱。政府は当初、厚生年金の積立金を活用した基礎年金(国民年金)の底上げ策を盛り込む方針だったが、自民内で夏の参院選への影響を懸念する声が強まったため、削除することにした。
基礎年金の底上げ策は「就職氷河期世代」の多くが十分な年金を将来受け取れなくなる問題への対策でもあった。立民は「一番の肝を切り離した」(辻元清美代表代行)と批判している。