日産自動車のロゴマーク(EPA時事) 日産自動車が国内外で計約2万人を削減する方針を固めたことが12日、分かった。これまでは全従業員の9000人を削減する計画だったが、経営環境の一段の悪化を受けて約1万人を上乗せする。削減規模は全従業員の約15%に拡大。追加のリストラ策に踏み切り、収益力の回復を急ぐ。
日産は13日に2025年3月期連結業績を発表する。世界的な販売不振を受け、純損益の赤字は最大で過去最悪となる7500億円に膨らむ見通しだ。同社は9日、採算性が見通せないとして、北九州市内で計画していた電気自動車(EV)向けバッテリー工場の建設中止も発表した。
日産は新モデルの投入が遅れたことで米国や中国の販売が落ち込み、経営難に陥った。昨年12月には事態を打開するため、ホンダと経営統合する方向で協議に入ったが、条件が折り合わず2カ月足らずで破談となった。
混乱を収束するため内田誠社長(当時)が退任し、今年4月にイバン・エスピノーサ社長が就任。新体制で経営再建に取り組んでいるが、トランプ米政権が自動車などに対する高関税措置を発動したことで事業環境はさらに厳しさを増し、先行きには不透明感が漂っている。