紳士 コットンハイゲージニットポロ―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ブロガーの
MBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第531回をよろしくお願いします。
◆無印良品の実験的ライン「MUJI Labo」の傑作アイテム
リブランディングをした無印良品の実験的ライン「MUJI Labo」。
今回はそんなMUJI Laboの夏モノから5つマストバイを紹介します。
◆ファストファッションでは見かけない風合い
・紳士 コットンハイゲージニット半袖プルオーバー 4990円
MUJILABOの夏物でまずタマげたのがこちら。上質な細番手の綿ニット。細番手のニットと書くとサラリとした風合いを想像するかもしれませんが、こちらは糸を撚っている(ねじるようにまとめること)撚糸素材。
高い技術が要求される撚糸ですが、こうすることでリネンのようなシャリ感が生まれ夏らしい風合いになります。
クリーンなハイゲージニットはもはやユニクロでもどこでも買えてしまうくらい価格破壊が進んでいますが、こうしたシャリ感のある風合いのあるハイゲージニットはまだまだファストファッションでは見かけません。
◆5000円を下回るのは奇跡
ナチュラルな理念風のタッチ感がありながら、細番手コットン特有の光沢感を備えているデザイナーズブランドでも見かけないような上質ニット生地。これで5000円を下回るのは奇跡です。
また、ニットだけに多少透け感はありますが、まさにそれが今のトレンド。ほんのり透ける程度で乳首までは見えませんし、中のタンクトップなどを感じさせ色っぽい表情を出すことができます。色味もナチュラルカラーであるペールグリーンやグレーなどを選べば、気分は完全に高級ブランドAURALEE。
175cm66kgの私でLサイズでジャストです。ゆったりさせすぎていない大人なシルエットも評価高い。これは万人におすすめ。例年通りの普通のコットンTを着ている人を尻目にコレで圧倒的おしゃれになりましょう。
◆使い勝手のいい程よいルーズサイズ
・紳士 コットンハイゲージニットポロ 5990円
さらに上記と同素材のポロシャツも展開。襟まわりはコンパクトに作られていてジャケットのインナーとしても問題なし。
ややクラシックな雰囲気ですが、程よいルーズサイズのため、一枚で着てもクールビズ風にはなりません。
クルーネックタイプと比べると1000円ほど高いですが、襟やボタンなどパーツも増えているため妥当な値段設計でしょう。
◆希少な「ふんわりとした仕上がり」
・紳士 昔ながらの製法で編み立てた天竺クルーネック半袖Tシャツ 2990円
なんと2990円でループウィール。
ループウィールとは現代で流通している高速編み機と異なり、ゆっくり時間をかけて編み立てる旧式の機械のことです。現在においては機械そのものも少なく、また生産効率が大変低いため、どうしても生地の単価が上がってしまいます。日本では和歌山などが産地として世界的に有名です。
なぜそんな旧式の編み機をわざわざ使うか、というと……高速で作ったものよりもふんわりと独特の質感が出せるからですね。高速編み機を使う場合糸にテンションがかかりまるで「シート」のような生地が出来上がります。もちろんそれもクリーンで美しいといえばそうなのですが、ループウィールを使ったふんわりとした仕上がりはどうしても高速機では実現できません。
◆発色も温かみのある雰囲気に仕上がる
ヴィンテージなどで見られるような膨らみのある独特の生地感は、古今東西服好きの心を掴んで離しません。
「そんなTシャツの風合いなんて気にしたことがない」なんて人でもループウィールなら間違いなく違いがわかります。発色も温かみのある雰囲気に仕上がるので、ビビッドなブルーカラーも程よい落ち着きになります。
シルエットもスタンダードで使いやすく、これが2990円って本当にありえない。ユニクロのエアリズムは確かに優れた商品ですが、あれは実用面も含めて評価が高いもの。風合いだけならこちらのダントツ勝利です。服好きなら間違いなくこっちでしょう。
◆「ジャケット」ではなく、シャツそのもの
・紳士 コットンシャツジャケット 7990円
意外とおすすめなのがこちら。
シャツジャケットと書いてあるので「ジャケット」として考える人が多いでしょうが、こちらシャツ生地を使ったかなり薄手の羽織もの。というかシャツそのものです。
◆シンプルシックな雰囲気に飽きた人に最適
なので、袖をまくって今からでも使えるし、夏はショーツに合わせても使える。しかし、ディティールはジャケット風になっているので秋や春のちょっとした羽織としても活用できる優れもの。
生地はやや細番手の糸を加工したもので少々ふんわり感のある無印らしいナチュラルな仕上がり。ユニクロは最近とかくクリーンでツルッとした風合いを好みますが、そのへんと差別化はちゃんとできています。
シンプルシックな雰囲気に飽きた人がこれ1枚プラスして使うなどおすすめです。
◆RIMOWAそっくりなアルミキャリー
・アルミハードキャリーケース34リットル 7万9000円
最後はこちら。RIMOWAそっくりなアルミキャリーですが、実はこれ過去展開されていた品番の復刻だそうです。
信じられないクオリティ。安価で作れるポリカーボネート混素材と異なりアルミケースは高価なもの。ポリカーボネートと違い重量があり、また伸びない素材のため収納はポリカーボネートに比べて限定されますが(ポリカーボネートは膨らんでくれるのでぱんぱんに荷物を詰めることができる)その分雰囲気は抜群です。
高級感がありまたタフな素材のため乱暴に扱っても内部に影響を及ぼさない。ポリカーボネートは柔らかいところがデメリットでもありますが、こちらは大変硬く精密機器や繊細なものでも安心して収納できます。
◆同じスペックでブランドものなら3倍する
加えて、この見た目。重厚感あるアルミとシンプルなデザイン性そしてロック部分などの本格的な作り。正直、これを空港で見たら、RIMOWAなどの高級ブランドだと信じて疑わないほどの存在感があります。
これを7万9000円。高いか安いかジャッジが難しいですが、正直、同じスペックでブランドものなら3倍してもおかしくありません。
ポリカーボネートと異なり耐久性が非常に高く、10年20年と長く愛用できるアイテム。アルミは傷が綺麗に残りやすく思い出になるのも良いですね。
以上、MUJI LABO夏のおすすめでした!
―[メンズファッションバイヤーMB]―
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『ロードマップ』のほか、『MBの偏愛ブランド図鑑』『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Xアカウント:@MBKnowerMag)