ビデオメッセージを送ってもらった見返りに安倍晋三元首相に金銭を支払ったと交流サイト(SNS)に虚偽の投稿をされて名誉を毀損(きそん)されたとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体「天宙平和連合」(UPF)の日本支部がジャーナリストの鈴木エイト氏に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、UPF側の請求を棄却した。
足立堅太裁判長は「投稿から謝礼を支払ったのがUPF日本支部と読み取ることは困難。仮に払っていても違法行為には当たらず社会的評価が低下するとはいえない」とし、名誉毀損の成立を否定した。安倍氏への支払いが真実だったのかは争点にならず、判断を示さなかった。
判決によると、UPFなどが2021年9月に韓国で開いたイベントで安倍氏のビデオメッセージが流された。鈴木氏は23年3〜8月、X(ツイッター)などで「(米大統領の)トランプ氏に1億、安倍氏に5000万との内部情報」などと発信した。
UPF側は訴訟で「安倍氏への支払いの事実はない」と主張。一方、トランプ氏に約1億円を支払ったことは認めた。
鈴木氏は判決後の記者会見で「言論を萎縮させるためのスラップ訴訟だったが、主張が認められて良かった」と話した。UPF側の代理人弁護士は「判決には大いに疑問がある。控訴の予定だ」とのコメントを出した。
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トランプ氏への支払いについては、UPF側が21〜22年にビデオメッセージの講演料計250万ドル(当時の為替レートで約3億円)を渡していたことが毎日新聞の取材で明らかになっている。【安達恒太郎】
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