ソニーと国内キャリアが6月上旬以降に発売する「Xperia 1 VII」。Xperia 1 VII(開発中)の実機に触れる機会を得たので、外観を中心に先代「Xperia 1 VI」から何が進化したのかをチェックした。
Xperia 1 VIIはXperia 1 VIの流れをくむ最新モデルで、語尾のローマ数字を見ても分かるように、1シリーズの7世代目に相当する。この1シリーズはいわば最新の機能やハイスペックを求める人に向けたハイエンドモデルだ。ハイエンドモデルとしては1ランク下の「Xperia 5」シリーズがあるが、性能も価格も1シリーズの方が高く、ソニーの推すクリエイティビティー(創造性)を十分に発揮できる。
●動画撮影機能に注力 撮影を完全に「Xperia任せ」に
ソニーが今回力を入れたのは、動画撮影の機能だ。特に、被写体が「左右に寄らずにフレームの中央に位置する」ため、撮影はXperiaに任せて、肉眼で被写体を見れらるのがポイントだという。
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確かに、スマートフォンで動画撮影をする際は、被写体にフォーカスが合っているかどうか、被写体を追従しているかどうか、フレームから外れないかどうかなど、さまざまなことに気を配らなければならない。結果として撮影に集中してしまい、思い出の瞬間を肉眼でしっかりと見られない。
そこで、ソニーはAI姿勢推定技術を活用した2つの機能を搭載。1つは、「AIカメラワーク」という機能で、被写体を捉え続けてフレームから外れないようにする。被写体を常に画面の中央に捉え続け、被写体がフレームの端へ寄ったり、フレームから外れたりせずに撮影できる。
もう1つは「オートフレーミング」という機能で、撮影者がXperiaのカメラを構えているだけで、Xperiaが広い画角の「引きの画」と、被写体をクローズアップする「寄りの画」を同時に記録する。
●アウトカメラの構成はXperia 1 VIと同じ 16mmの超広角カメラで接写可能に
続いて、アウトカメラの構成を確認する。Xperia 1 VIIは超広角(16mm/4800万画素/F2.0)、広角(24mm/4800万画素/F1.9)、そして光学ズームに対応した望遠(85-170mm/1200万画素/F2.3-3.5)のトリプル構成だ。
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構成としてはXperia 1 VIから大きな進化はないが、3つのカメラのうち、Xperia 1 VIから2.1倍の大型化が施された超広角カメラのセンサーは、1/1.56型のサイズに進化している。ソニーいわく、フルサイズセンサーのカメラに匹敵する描写力を実現しているそうだ。
テレマクロの機能はXperia 1 VIから継承。どちらも85-170mmの間が光学ズーム域となり、最大で7倍の光学ズームが可能だ。テレマクロでの撮影時には最大約2倍となるものの、ひずみをなくして豊かなボケ感を表現できる。被写体から4〜数十cm離れたところからでもきれいに撮影できるため、人やスマートフォンの影の写り込みをなくす。
Xperia 1 VIIでは超広角カメラでもマクロ撮影が可能となっており、被写体に5cmまで近づいて接写することができる。マクロ撮影は一般的に被写体に寄って撮影する手法のため、超広角カメラでのマクロ撮影機能の方がテレマクロよりもイメージしやすいだろう。しかも、ゆがみを抑えているため、ここにもこだわりが表れている。
●静止画撮影で大差はある? 昼間と夜間の都内で撮り比べ
さて、それぞれの倍率における静止画撮影では、大きな差が見られるのだろうか。昼間に都内へ出向き、2台で撮り比べてみた。0.7xの超広角カメラはゆがみを抑えてきれいな写真を撮影できる。どちらもこの倍率では、大きな差は出なかった。1x、2xと倍率を切り替えてもきれいに品質は担保されていた。広角カメラの4800万画素の中央をクロップし、1200万画素を記憶画素数するため、劣化を極力抑えられる。
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しかし、3.5xではXperia 1 VIIの方がしっかりと手ブレ補正が効いていると実感できた。どちらもビルや看板の文字はディテールがハッキリとして視認できるレベルだが、Xperia 1 VIの作例は右側の電柱がブレてしまい、やや不鮮明な仕上がりになってしまった。
Xperiaの真骨頂といえるのは、Xperia 1 VIIとXperia 1 VIともに7.1xでも鮮明に撮影できることだ。他社製品ではハイエンドモデルでも最大5xの光学相当ズームをうたうものが多い中、Xperiaでは0.7xから7.1xまでは画質劣化がほぼなく品質の高い写真を撮影できる。
10xに切り替えるとデジタルズームになるため、昼間でも違いが見られた。Xperia 1 VIIでは手前の電線や奥にあるビルの看板まで分かる。空やビルの壁面に至るまで肉眼に近いXperia 1 VIIの仕上がりには驚いた。一方、Xperia 1 VIでは全体的に白くなり、電線もやや不鮮明になる。最大倍率の21.3xもほぼ同じ印象だ。
今度は、同じ場所で夜間の作例を撮り比べてみた。0.7xから2xにかけてはきれいに撮影できるが、違いが分かったのは3.5x以降だ。さすがのXperia 1 VIIでもこの倍率では手ブレ補正がやや緩くなった。Xperia 1 VIではさらに手ブレが目立ち、手前の木々が不鮮明になってしまった。
7.5xではXperia 1 VIIの方が看板の文字が鮮明になる。10x、21.3xと倍率を上げていくと、デジタルズームゆえに厳しい結果となった。とはいえ、Xperia 1 VIIは画質劣化があるものの、Xperia 1 VIよりは街灯や看板の文字が鮮明で、色味もより自然だ。ただ、21.3xで看板の文字を確認すると、Xperia 1 VIの方がやや鮮明になった。
とはいえ、日常生活で10xや21.3xを利用し、極端に遠くの被写体を撮影することはほとんどない。0.7x〜7.1xの光学域の方が活用しやすそうだ。特に、望遠レンズでのマクロ撮影を行える「テレマクロ」の機能は、Xperia 1 VIIでも健在で「撮影する楽しさ」がある。テレマクロで被写体との距離を数cmと保ちつつ、大きく撮れるため、花や昆虫に寄って撮りたい、という場合に役立つ。
●オーディオにもこだわりポイント ウォークマンらしさある設計に
オーディオもソニーが得意とする分野で、こだわり続けるポイントでもある。Xperia 1 VIでもステレオ感のあるサウンドとなるよう、LとRのどちらもユーザーに向く、フルステージステレオスピーカーを採用している。スピーカーの音質はXperia 1 VIと比べて劇的に向上したわけではないが、中低音の音質が最大10%向上しているという。
ワイヤレスイヤフォンやワイヤレスヘッドフォンで視聴した際に、オーディオの品質が損なわれないのもXperiaならでは。Bluetoothの送信のパワーをXperia 1 VIから最大2倍に引き上げたことで、人混みの中でも接続性がより安定しているという。
音質に関しては、ウォークマンシリーズでも実績のある高音質部品を採用し、Xperia史上最高の音質を実現したのが大きな進化点だ。オーディオジャック部全体に金を加えた高音質はんだを使用することで、伝送ロスを最小限に抑えている他、非磁性銅メッキ加工を施した高音質抵抗により、磁気干渉による音のひずみを低減している。
短時間ながらXperia 1 VIIとXperia 1 VIに有線イヤフォンを接続し、ハイレゾ音源を聞き比べる機会を得たので、所感を少しお伝えしたい。Xperia 1 VIIでは弦楽器の繊細な音色やボーカルの音の余韻まで再現されている。また、音場の広さや立体感も感じられた他、ベースギターやバスドラムの音色の深さや重厚感がより再現されていた。
ディスプレイの左右に設置されたフルステージステレオスピーカーについて、ソニーミュージックのサウンドエンジニアの協力を得てチューニングしている点はXperia 1 VIから変わっていないが、Xperia 1 VIIではより音の広がりと立体感が増し、クリアなサウンドとなっている。
ディスプレイの見やすさもXperia 1 VIから向上。Xperia 1 VIIでは背面に照度センサーを新設したことで、晴天の屋外でも暗い室内でも、その場の明るさに応じて、ディスプレイの明るさや色域、色温度に自動で調整されるため、特に視聴環境が変わる度に手動で輝度を調節する手間が省ける。照度センサーは動画視聴だけでなく、カメラアプリ起動時のプレビュー画面にも活用されるという。
●スペックと外観をチェック
最後に、スペックと外観をチェックしたい。なお今回は、レビューに際してソニーから実機を借りたが、SIMの挿入やベンチマークの比較を禁じられたため、この記事では、スペックの比較にとどめたい。
プロセッサはXperia 1 VIがSnapdragon 8 Gen 3だったのに対し、Xperia 1 VIIではSnapdragon 8 Eliteに進化。Xperia 1 VIIの外部メモリには、Xperia 1 VIのmicroSDXC(最大1.5TB)よりも大容量のmicroSDXC(最大2TB)を搭載可能になった。ボディーサイズは変わっていないが、重量はXperia 1 VIの約192gより5g重い約197gとなった。
(製品協力:ソニー)
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