閣議に臨む石破茂首相(左)と中谷元防衛相=1月21日、首相官邸 防衛省がまとめた2025年版防衛白書の素案が判明した。中国の軍事動向について「これまでにない最大の戦略的挑戦」と明記。ロシアとの連携を一段と強化しているとして「わが国の安全保障上重大な懸念」になっていると指摘した。15日以降調整を続け、7月に閣議報告する想定だ。
中ロ両国の動きを念頭に「力による一方的な現状変更やその試みは既存の国際秩序に対する深刻な挑戦」と強調。国際社会の現状認識として「新たな危機の時代」に突入したと記した。中ロ関連の表現は23年版や24年版を基本的に踏襲した。
24年8月に起きた中国軍機による長崎県男女群島沖領空侵犯、中国空母「遼寧」による同9月の南西諸島沖接続水域航行も取り上げ、強い懸念を表明した。
第2次トランプ米政権成立にも言及。「米国の動向はインド太平洋地域の安保環境に大きく影響」するとの見方を示した。
また、自衛官の処遇改善など人的基盤強化の取り組みを新たに紹介。防衛装備品の生産・技術基盤強化の必要性を訴えた。