フランスで開催中の世界3大映画祭の1つ、第78回カンヌ映画祭の監督週間で公式上映される「国宝」(李相日監督、6月6日公開)主演の吉沢亮(31)横浜流星(28)渡辺謙(65)が、18日の公式上映を翌日に控えた17日にカンヌ入りした。吉沢は、ビーチを前に「カンヌは海が近くて、映画祭に向けて街の方たちの活気も熱量高くて、すごくすてきな街だなと思います」とカンヌの街の感想を口にした。
「国宝」は作家・吉田修一氏の同名小説の映画化作品。吉沢は任侠(にんきょう)の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生をささげた主人公・喜久雄を演じた。抗争で父を亡くした喜久雄を引き取る上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎を渡辺、半二郎の実の息子で、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介を横浜が演じた。正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる2人が、ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていく中、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせていく物語。
吉沢は「日本の文化である歌舞伎を通して、この『国宝』という作品を海外の皆さまにどのように受け止めてもらえるかとても気になります」と公式上映前の率直な思いを口にした。「僕たちが意図していない視点で見てくださる人もたくさんいると思うので、明日の公式上映の、皆さんの反応が楽しみでもあり、不安でもありますね」と心境を吐露した。
横浜は「芸術あふれる街で美しくて、リゾートの雰囲気も下町のような雰囲気もあって、いろんな表情がある町だなと思います」とカンヌの印象を口にした。浮世絵師・葛飾北斎の才能を見いだした蔦屋重三郎を演じた主演のNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(日曜午後8時)が放送中だが「フランスでは、歌舞伎をはじめ浮世絵など、日本の文化に興味をお持ちの方が多いと思うので、吉沢くんと一緒で、日本が誇る伝統芸能である歌舞伎を題材とした作品を、見てくださった方がどのように感じてくださるのかがすごく楽しみです」と期待した。
渡辺は、07年に「硫黄島からの手紙」でベルリン映画祭(ドイツ)、13年には李相日監督(51)の「許されざる者」でベネチア映画祭(イタリア)に参加した経験を持つ。「これまで、いろいろな映画祭に連れて行っていただき、カンヌで映画祭はコンプリートになりますが」と、今回のカンヌ映画祭の参加で世界3大映画祭を“制覇”したと明かした。04年には「ラストサムライ」で米アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、授賞式にも出席したが「みんなで集中して映画を盛り上げていこうという雰囲気があって、やっぱりすてきだなと思いますね」とカンヌの印象を語った。
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そして「事前に作品をご覧になった記者さんから質問をいただいていますが、僕たちが描きたかったことに関する質問が来ているので、海外の皆さまにも伝わると思っています。ただ、一般のお客さまがどういう風に感じるかはすごく楽しみです」と期待した。
李相日監督(51)は、10年「悪人」でモントリオール世界映画祭、16年「怒り」でトロント映画祭(カナダ)サン・セバスチャン映画祭(スペイン)に参加した経験を持つ。カンヌ映画祭は初参加で「単に日本映画ということだけでなく、日本の伝統芸能を扱っている作品がカンヌに出品されるということは、そう多くはないことだと思います。それに、今の映画界でトップを走っている俳優たちが勢ぞろいして、日本の伝統芸能を題材にした作品に取り組むという、エンターテインメント性と作品性の両方を持っている作品がカンヌに選出されたということはすごいことですし、どう見られるかがとても気になります」と期待した。一方で「明日の公式上映は、作り手にとっては重圧で、なかなかタフな時間になると思います」とプレッシャーも吐露した。
監督週間は、カンヌ映画祭に併設して開催される独立部門で、フランス監督協会が主催する。
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THE SECOND 3代目王者決まる(写真:ORICON NEWS)65
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