衆院に旧姓の通称使用を拡大する法案を提出する日本維新の会の青柳仁士政調会長(左から2人目)ら=19日、国会内 日本維新の会は19日、旧姓の通称使用を拡大する法案を衆院に提出した。結婚後の改姓は維持しつつ、旧姓を通称として戸籍に記載できるよう戸籍法を改正。旧姓の通称使用に法的効力を与え、社会生活上の不便の解消を目指す。立憲民主党などが導入を主張する選択的夫婦別姓制度とは一線を画した。
維新案は保守派が重視する「同一戸籍・同一氏」の原則を維持した上で、結婚前の姓を通称として戸籍に記載できるようにする。その場合、住民票、マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどは旧姓のみを記載する形になる。
法案提出後、藤田文武前幹事長は記者団に「(選択的夫婦別姓)推進派も戸籍制度の根幹を変えるべきではないと主張する方も両方、合意形成できる案だ」と強調した。
導入法案を単独提出した立民の長妻昭代表代行は記者会見で、維新案に関し「シンプルに選択的夫婦別姓にしないのか疑問が残る。われわれの案をのみ込んでほしい」と述べた。
選択的夫婦別姓制度を巡り、国民民主、公明両党も制度導入に賛成の立場。国民民主が独自法案を準備する一方、公明は自民と協力して政府提出法案にすべきだと主張しており、推進派の足並みはそろっていない。
党内で意見が割れる自民は今国会中での取りまとめを先送りし、野党案に反対する党議拘束も検討。今国会ではどの法案も成立しない公算が大きい。