認知度は高くも使用経験率は約5割…「ご褒美」から「推し活」まで広がる『めぐりズム』の次なる一手

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2025年05月23日 09:10  ORICON NEWS

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20周年を迎えた「めぐりズム」シリーズの次なる一手は(画像提供:花王)
 蒸しタオルを目にあてたような温かい心地よさが感じられる『めぐりズム 蒸気でホットアイマスク』に代表される花王「めぐりズム」シリーズ。今年で20周年を迎えるこのシリーズが「頑張った自分へのご褒美」や「差し入れ」、近年は「推し活」でも重宝されていることを知っているだろうか。さらに、あたためて「リラックス」するイメージから一転、今年3月にはひんやり「リフレッシュ」という新たな提案を行い、これまたSNSを中心に推し活界隈を大いに賑わせている。拡大する需要と今後の戦略を、同社の担当者に聞いた。

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■貼って温めるは当たり前じゃなかった 「めぐりズム」シリーズ誕生と苦戦の裏側

 約40度の蒸気浴で目もと、肩、腰などをじんわり温める「めぐりズム」シリーズ。その第1号となったのは、2005年に発売された肩や腰などに貼るシート状の『めぐりズム 蒸気温熱パワー(当時。現在は「めぐりズム 蒸気の温熱シート」に改名)』だった。

 20〜60代の8割が肩こりや腰痛に悩んでいるという市場調査から生まれたこの商品は、鉄粉と水分を含んだシートの酸化熱によって、約40度の蒸気を発生させ、肩や背中、腰、足を温める医療機器として開発・販売されたのだが、当初は思うように広まらず、苦戦を強いられたという。

「今でこそ、サウナブームに表れているように、あたたかい蒸気がリラックス気分をもたらすことは広く知られていますが、当時は凝りには湿布という概念が強く、『蒸気で温める』という新たなリラックス提案を生活者に理解してもらい、浸透させることがなかなかできませんでした」(花王 パーソナルヘルス事業部 佐々木将さん/以下同)

 それでも商品に絶対の自信を持っていた同社は、増加が続いていた働く女性をメインターゲットに、シリーズ第2弾としてアイマスクタイプの『めぐりズム 蒸気でホットアイマスク』を開発。試作段階から開発チームで「絶対この気持ちよさは必要となる!」と大好評だったのとはうらはら、これまた「蒸気がもたらす効果を草の根活動的に展開したものの、なかなか世の中に広めることができなかった」という。

 そんな「めぐりズム」シリーズが一躍脚光を浴びることになったのは、2010年にテレビ番組で、「このアイマスクをつけると新幹線の移動中に10秒持たない」とタレントが絶賛したことがきっかけだった。試しに使ってみようという人が続出、使い心地のよさを知ってリピーターが増加したのだ。

 さらに同時期、インバウンドの爆買いブームの対象にもなったことで、需要は一気に拡大。以降、売上は右肩上がりで伸長を続け、2023年度は100億円を超す国内出荷額を記録。「発売当初は社内でも風当たりが強かった」というシリーズは、今や同社のヘルスケア事業を代表するロングセラー商品にまで成長した。

■“ご褒美”から“推し活”まで 進化を続ける『めぐりズム』の利用法

 ここまで人気商品として成長できた背景にあるのは、一度使ったら病みつきになる「気持ちよさ」だろう。『めぐりズム 蒸気でホットアイマスク』は、ラベンダーや森林浴をはじめ、季節限定のキンモクセイや桜など、シーンや気分で選べるよう多くの香りを用意し、素材も肌触りにこだわった不織布を使用。近年、会社帰りに“ご褒美”として、コンビニスイーツを買うことが人気となっているが、めぐりズムも同じように“気持ちよさが手軽に買えて、手軽に使える”として、ご褒美需要が増えているのだ。

 もうひとつ、近年の大きな特徴といえるのが、推し活界隈で評判を呼んでいることだ。推しのライブやイベントを観終わった後に『めぐりズム 蒸気でホットアイマスク』を使うだけでなく、推しに会う前に、温かな蒸気でリラックス気分を味わう目的で使う人など、推し活の必需品として人気に。

 さらに推し活需要は花王が予想もしなかった「めぐりズム」の使用方法ももたらした。イベントなどでコスプレイヤーや作家などに差し入れとして渡す人が増え、もらった側=推される側がSNSへ感謝の言葉を発信したことなどから、差し入れとしての人気も高まっていったのだ。

「個包装で軽くてコンパクトなので、相手の負担になりにくいですし、活動を頑張ってほしいという想いも伝えられる。いただいた方も、使い切りタイプだからいくらあっても嬉しいということで、差し入れ品としてフィットしたのだと思います」 

その需要の高まりを受け、花王では「めぐりズム」の公式ブランドサイトで差し入れのためのオリジナルデザインの封筒がダウンロードできる「差し入れめぐりズム」を展開。こちらも大いに人気を得ている。

 かくいう佐々木さんもゲームやアニメのオタクを自称し、推し活を楽しんでいる一人。推し活需要が過熱し始めていることを受け、目下、「推し活需要をもっと強めていくべく、『めぐりズム』のマーケティングに取り組んでいます」と目を輝かす。

■“温め”から“ひんやり”へ モヤモヤを吹き飛ばす新提案とは

 その推し活市場において、さらなる話題を呼んだのが、同社が新たに開発したこれまでの“温かい”とは逆の“ひんやりとした爽快感”をうたう「めぐりズム 貼る炭酸(※)」シリーズだ。

 同社が持つ入浴剤「バブ」の炭酸技術を応用して開発された、日本で唯一の炭酸(※)配合ジェルパックを用いたこのシリーズは、額・首もと用と足用の2種。通常はどんどん消えてしまう炭酸(※)をたっぷり閉じ込め、メントールなどの爽快成分を配合した柔らかいシートを貼ることで、モヤモヤ時間をすっきり爽快時間にできるのが特徴だ。

「『めぐりズム』の目的の〈1日のリズムを整える〉を考えれば、あたためてリラックスするだけでなく、ひんやりリフレッシュしたいタイミングもあるはずというのが開発の発端でした」

 この商品が推し活界隈で大バズリ。これまで「めぐりズム」の購入者のほとんどは女性だったが、コミケなど広い会場を歩き回るシーンやスタンディングライブ時などに役立つと話題になり、男性ファンも急増したのだ。

「足用は、イベントに訪れていた方で『これを使うと足がスッキリする』とSNSでつぶやいてくださり、話題になったことがありました。バズった投稿が弊社から発信した広告ではなく、普段から『めぐりズム』を使用していらっしゃる方の投稿だったことがとても嬉しかったです」

 推し界隈との親和性に期待を感じている佐々木さんは、「自身も推し活をしているからこそできる、ファンが本当に喜んでくれるアプローチ方法を常に考えている」という。

「例えば、貼る炭酸(※)シリーズの額・首もと用は、もともと“仕事が長引いてあともうひと踏ん張りするために、モヤモヤ時間を爽快時間に感じられる商品”としてオフィス使用を想定して開発されたものですが、ゲームを長時間やっている方にもすごく親和性が高い商品だと思っているんです。

 僕自身ゲームが趣味なのでよくわかるのですが、ついつい夜更かしして長い時間ゲームをしてしまうんですよね(笑)。その趣味の時間を応援できる新たなサポートアイテムになると思いますし、活況を呈するeスポーツにおいても、ゲーム配信者や実況配信者、そしてその配信を長時間見て応援するリスナーにも貢献できたらと考えています」

■認知は高くても使用経験率は5割 “次の20年”へ挑む課題は男性ユーザーの獲得

 知名度が高まりロングセラー商品に成長したとはいえ、「『めぐりズム』は、生活者からの認知度が高いですが、蒸気でホットアイマスクの使用経験率は約50%に留まっています。今後、20周年を超えて、30周年、40周年と続くブランドにするために、まずは使用率をあげることを目指したいです」と目標を語る佐々木さん。

「『めぐりズム』は特に男性の使用率がまだ少ないので、男性の方々にも良さを実感いただける機会をたくさん作っていきたいです。決してこちらからの押し売りではなく、推し活をしている皆様が本当に嬉しいと思うタイミングで『めぐりズム』に触れあえる機会をつくり、もっと皆様の推し活ライフを応援して貢献できたらと思っています」

 その想いは、「推し活は国境を超えることもできると思うので、海外展開も目指したい」と大きく広がっている。さらに佐々木さんの見つめる先はPR展開にとどまらず、「部位の拡張などの新たな提案の挑戦もしていきたい」と、製品の質向上にも向いている。

 ご褒美需要や推し活ブームを梃に需要を拡大している「めぐりズム」シリーズだが、「リラックス」や「リフレッシュ」が必要なビジネスパーソンから肩、腰などの痛みを抱える中高年層まで、支持層は幅広い。同シリーズに今後どんなラインナップが加わるのか、その取り組みに期待したい。


※起泡剤

取材/文 河上いつ子

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