
遠軽町郷土館(北海道遠軽町)に掲示された解説文がSNS上で大きな注目を集めている。
「文章後半から様子がおかしい。遠軽町郷土館。」と件の文章を紹介したのは京扇子大西常商店(京都市下京区)女将の大西里枝さん(@RieOhnishi)。
「薄荷(はっか)は日本が世界に誇る農産物でした。世界需要の9割が日本産で、北見地方だけで世界市場の7割を押さえていました 。北海道に大きな富をもたらし1種のゴールドラッシュのような状況を呈していた。遠軽には明治32年、学田蔵場に薄荷を取り入れた。明治30年代から大 正初期ころ薄荷耕作農家は、薄荷全盛期であった。自給作物以外はすべて薄荷を耕作し出来秋には、目まぐるしく変動する薄荷相場に自を血走らせる毎日であり、ひとたび大金を手にすると『飲む、打つ、買う』の極道をつくし、再び貧困の中へと身をやつする者が後を断たなかったという」
地域に富をもたらしたはずの薄荷が、やがて不幸を生んでしまったというなんとも哀しい歴史…。
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大西さんにお話を聞いた。
ーーこの文章を目にした経緯は?
大西:7年前、遠軽の真言寺に扇子絵付けの体験をご用命いただいたことがあり、今回また遠軽に寄せていただきました。「何もないんだけど、郷土館でよければ」とご住職にご案内いただいたところ、北海道の開拓史やいきもの達の標本が展示されており、非常に見ごたえのある内容でした。
その中で、薄荷に関して何気なく書かれていた文章が目に留まりました。前半と後半の豹変っぷりが素晴らしく、星新一のショートショートを読んだときのような不思議な読後感がありました。 人気のない郷土館の中で背筋が寒くなり、足早に退出した記憶があります。
ーー投稿に大きな反響がありました。
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大西:Xユーザーの皆様ならきっとこの投稿を面白がってくださると確信していました!「○○地方にも同じような話があるよ」と教えていただいたり、「遠軽を取り上げてくださってありがとう!」といったお声もいただきました。
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SNSユーザー達から
「北海道の方言『はんかくさい』(バカという意味)は、『ハッカくさい』という言葉からできたという説があります。ハッカがらみで悪さをする奴のことを言ったとか。」
「薄荷農家の人が下りてくる道があって、道の途中にブローカーみたいな人が待ち構えていて交渉が成立したら大金を得られる。で、その道をもう少し下りた辺りに花街(遊郭ではない)があって、散財ができるような仕掛けになっていた笑」
「これ江戸後期から続く日本農業の根深い問題 養蚕が盛んになり現金収入がの農家が増えた結果 離農が急増した関八州は荒廃した 今も米農家が苦しんでるのは 時の政府が国の根幹を蔑ろにした結果」
「完全に後半部分、ガンギマりら内容で吹いちゃった 笑 面白いので良いのですが」
「割とヤバい内容をポップ体で薄めようとするセンス 結局、相乗効果でヤバい感じなの最高すぎます 」
など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。遠軽のような事例は日本各地にあるようだ。人間の社会とは常に欲望や堕落との闘いなのかもしれない。
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なお今回話題に上がった真言寺内では、「大黒堂」という店舗を設け住職の故郷・長野の味であるおやきを製造・販売しているそう。長野の有名店直伝の本格的な味が好評で、販売開始からすぐに売り切れることもあるそうだ。遠軽を訪れる方はぜひチェックしていただきたい。
大西里枝さん関連情報
大西常商店所在地:京都府京都市下京区本燈籠町23
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大黒堂店舗概要
所在地:北海道紋別郡遠軽町宮前町3-28
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)