
22日から本格的にコメ問題に取り組むことになった小泉農水大臣。価格を下げるために打ち出した方針が「随意契約」ですが、これで本当に値段は下がるのでしょうか。街のコメ店を取材すると、「うまくいかないのでは」という声も聞こえてきます。
【写真を見る】新農水大臣・小泉進次郎氏の新たな方針 現場の声は…
「コメ2000円台に乗った」しかし現場のスーパーでは…小泉進次郎 新農水大臣
「よろしくお願いいたします」
江藤拓 前農水大臣
「よろしく。それでは引き継ぎです」
小泉進次郎 新農水大臣
「しっかりと承りました」
22日、辞任した江藤拓前大臣から業務の引き継ぎを受けた、小泉進次郎新農水大臣。
小泉進次郎 新農水大臣
「いま、国民の皆さんに最も求められているのは、コメの問題をスピード感を持って結果を出せるかどうかです」
職員への訓示でこう話した小泉大臣でしたが、早くもこんなことがあったとアピールしました。
Q.今日から本格始動だと思うが、まず何から着手しようと考えているか?
小泉進次郎 新農水大臣:
「きのう(5月21日)から本格始動しています。随意契約にする方針を示して、そして、需要があれば無制限に出す。ありがたいことは、きのうも記者会見で、(JA)全農に対するメッセージを出しましたけど、きょうは長野県の全農で販売してるコメがとうとう2900円。2000円台に乗った。そういったことを今、私も聞いています」
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実際、長野市内のJA系列のスーパー「A・コープファーマーズ南長野店」では、備蓄米が5キロ2990円(税抜き)で売られていました。
ただ担当者は、news23の取材に…
備蓄米2990円で販売・スーパー担当者
「備蓄米は4月からこの金額で販売している。小泉大臣の発言があったから価格を下げたわけではない」
一方、コメの価格を下げるために、小泉大臣が打ち出した新たな方針が「随意契約」です。
これまで備蓄米は、複数の業者の中から高い金額を提示した業者による競争入札でしたが、これを特定の業者に売り渡す「随意契約」に変更する方針を表明しました。これにより、価格を抑えやすいといいます。
また、売り渡し先については…
小泉進次郎 新農水大臣
「スーパー・外食の方々も含めて、幅広く随意契約によって、現場に届けていければと考えています」
政府と小売店が直接契約することもあり得るというのです。
東京・杉並区にある大正15年創業の「森田屋米店」には、備蓄米が入ってくる予定はありません。
森田屋米店 森田ひろみさん
「この中(店頭に出している種類)から5キロまで。6、7、8、9月と、あと4か月間ももたせなきゃいけないの、在庫を」
政府と小売店が直接契約することも可能とする小泉大臣の新方針については、こう話しています。
森田屋米店 森田ひろみさん
「直接うちみたいなコメ屋だと、精米機があるからそれはできますけど、スーパーさんであっても、どこか精米の会社かなんかを置かないと、ワンクッションはやっぱり必要じゃないですか。1か所くらいは中に入らなきゃ、うまくいかないんじゃないですか」
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専門家も「随意契約で価格は下がる」とした上で、課題をこう指摘します。
東京大学大学院 鈴木宣弘 特任教授
「できるだけ末端に早く行き渡らせようとしても、精米能力とか色んな流通コストの問題はありますので、(備蓄米は)無制限にあるわけじゃないので、その部分である程度下がっても、全体の価格をどれだけ引き下げる効果があるかっていうのは、そんなに大きくはない可能性があります」
さらに、気になるのは新米の価格です。
全国的に田植えシーズンを迎える中、秋に収穫される新米の価格に影響する概算金について新たな動きがあります。
概算金とは、JAがコメを集める際に農家に支払うお金です。その概算金を、JA全農にいがたが、一般のコシヒカリで60キロあたり、2024年は1万7000円だったのを、2025年は2万6000円以上を目指す方針を決めました(※8月に正式決定)。
東京大学大学院 鈴木宣弘 特任教授
「(概算金が)2万6000円というレベルまで来ているということは、秋の小売り米価が5キロで4000円を超えるという。そのベースになってきているということです」
こうした概算金の高騰に、コメ店の森田さんは嘆いている。
森田屋米店 森田ひろみさん
「(概算金が)2万8000とか3万とか言ってるのよ。寒気がしちゃってさ、えーって!要するに(JAに)集まらないから、そうなっちゃったんじゃないんですか」
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概算金は、仕入れ値の基準となるため、値上がりは店頭で売る新米価格に直結すると話します。
森田屋米店 森田ひろみさん
「今、すでにカツカツの状態だから、また新米が出たらウワーっと飛びついて、高い値段で取引が始まるから、もう上がるって言われてますよ。だって(コメが)無いんだもん」