職員に訓示する小泉進次郎農林水産相=22日、東京・霞が関 週明けの国会は石破政権の最重要課題に浮上したコメ価格高騰対策が焦点となる。野党各党の党首クラスが就任早々の小泉進次郎農林水産相を質疑で一斉に追及。自民党派閥裏金事件を巡る旧安倍派元幹部の参考人招致も予定され、閉会後の参院選を意識した与野党の論戦が熱を帯びそうだ。
衆院農林水産委員会は27日に小泉氏から所信を聴取し、28日に質疑を行う。低空飛行を続ける石破政権は参院選前の米価引き下げを「喫緊の課題」(政府関係者)と位置付ける。注目度を踏まえ、立憲民主党の野田佳彦代表、日本維新の会の前原誠司共同代表、国民民主党の玉木雄一郎代表が質問に立つ。
個別分野の委員会に党首級がそろうのは異例。小泉氏は早速洗礼を浴びることになる。
その小泉氏は、随意契約で放出する備蓄米の店頭価格を6月にも「5キロ当たり2000円」にすると表明した。「スピード感」重視で思い切った目標を掲げ、事態打開を図る狙いとみられる。
野党は「本当に下げられるのか」(立民の笠浩史国対委員長)と懐疑的。一時的または地域的に達成できたとしても、継続的・全国的に安値に落ち着かせられるかは不透明な点もあり、具体策をただす構えだ。野田氏は24日、千葉県船橋市で記者団に「生産者をどうするかという視点を忘れてはいけない」と指摘した。
自民内にも小泉氏の急進的手法に対する反発が支持層の農業関係者に広がるのを懸念する向きがあり、首相官邸幹部も「バランスが大事」と心配顔。小泉氏は持ち前の発信力だけでなく、実行力が問われる局面となる。
衆院予算委員会は裏金事件の経緯解明に向け、旧安倍派幹部だった下村博文元政調会長の参考人質疑を27日に行う方向だ。政治資金パーティー券収入の還流は始まった経緯も再開された経緯も不透明のままで、立民などはこの問題も参院選に影響するとみて厳しく問う。
衆院法務委員会では28日にも、選択的夫婦別姓制度を導入する立民案などの審議が始まりそうだ。ただ、自民は今国会での結論は困難だとの立場。維新は旧姓の通称使用拡大案を出しており、集約は難しい。
年金制度改革関連法案の修正協議も大詰めを迎える。自民、公明両党は基礎年金の底上げ策を明記する立民の修正案を受け入れる方向だが、日程は窮屈。参院の審議時間を考慮すると、月内に修正案を衆院通過させる必要があるとされる。3党は26日に修正協議を行い、合意を急ぐ方針だ。