スマートウォッチとオーディオから復活を狙うファーウェイ――日本での戦略を、賀磊(ハ・レイ)日本・韓国リージョンプレジデントに聞く【道越一郎のカットエッジ】

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2025年05月25日 18:00  BCN+R

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ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンの賀磊(ハ・レイ)プレジデント
 Androidスマートフォン(スマホ)の販売台数シェアで、かつてはトップを走っていたファーウェイ。米中貿易摩擦の影響で、日本のスマホ市場からは事実上姿を消した。しかしここにきて、スマートウォッチや完全ワイヤレスイヤホンなどのオーディオ機器をひっさげ、再び日本市場での存在感が増し始めている。そこで、ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンの賀磊(ハ・レイ)プレジデントに、日本で展開する同社のビジネスについて聞いた。

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 同社の動きでこのところ目立っているのは、スマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」のキャンペーンだ。タレントの木村拓哉氏をメインキャラクターに採用、知名度の向上を狙う。賀 プレジデントは「日本では、欧米に比べ、まだスマートウォッチの普及率が低い。伸びしろがある」と期待が大きい。スマホではある程度の知名度を得た同社だが、スマートウォッチでは今ひとつ。そこで今回、木村氏を起用し「大きな投資」(賀 プレジデント)を行ったという。国民的アイドルグループSMAPの解散、さらにジャニーズ事務所の解体という苦難を乗り越え、木村氏はここに来て一皮むけた感がある。さらに、WATCH GT 5 Proのウリはゴルフ機能。ゴルフへの関心が高く、ゴルフアパレルブランドの「MARK & LONA」でもアンバサダーを務める木村氏。今回の起用は、ジャストのタイミング、だったのかもしれない。

 海外では「スマートウォッチそのもののデザイン性や健康管理機能を前面に押し出しているところも多い」(賀 プレジデント)、という同社。日本では特にスポーツ機能推しが目立つ。特にゴルフ機能には力が入っている。賀 プレジデントは「ゴルフ機能は、世界に先駆けて日本で最初に導入した。ゴルフ人口が多い一方で、人件費が高くキャディーなしで回ることも多く距離測定などの助けが必要」と話す。特にWATCH GT 5 Proは、国内2400以上のゴルフ場に対応。コースの全景表示や距離測定、グリーンの傾斜や方向を示す機能などが充実している。あるユーザーは「たまに不具合があっても、対応が素早く感心する」と話す。「日本で成功するには、日本市場の特性に合わせた改善が不可欠。Amazonなどへの書き込みも大いに参考にしている。ベータテストなどを通じ、発売前から発売後も常に改善に力を入れている」(賀 プレジデント)点が評価されているようだ。

 もちろんゴルフ以外にも、ダイビングやランニングを始め、細かいものまで含めれば100種類以上の「ワークアウト」に対応する。次にフィーチャーしたいのは「登山」だという。「登山も日本では人気がある。日本の山は電波が弱いところも多く、登山道のガイドなどに役立つはず」という。ところで、同社のスマートウォッチには、血圧計付きのユニークな製品「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」もある。「血圧計ウォッチは革新的な製品で反響が大きい。主にビジネスパーソンをターゲットにしている。B to Bでは病院もターゲットになる。日常的に血圧が計測できれば、健康管理のためのデータ収集に大いに役立つ」というわけだ。

 もう一つ、同社はオーディオの分野でもユニークな製品を投入し続けている。出色は「HUAWEI Eyewear 2」だ。日本の眼鏡メーカー、オンデーズと共同で開発した眼鏡型イヤホン。テンプルの部分にスピーカーを仕込んだ。耳穴をふさがないため聞き疲れが少なく、独自の技術で音漏れを最小限に抑えた。ぱっと見、ちょっとクラシックな眼鏡、ぐらいにしか見えない。この、きれいにまとまった眼鏡の形状を見てしまうと、イヤホンだけで満足する会社ではないだろう、とも思ってしまう。眼鏡と言えばスマートグラスだ。開発はどこまで進んでいるのだろうか。賀 プレジデントは「スマートグラスも一つの方向性。だが、もう少し時間はかかりそうだ。重量、バッテリー、外観など、クリアしなければならない課題は多い」と話す。とはいえ、巨額の開発投資で名を馳せる同社のこと、将来的には完成度の高いスマートグラスで、きっと驚かせてくれることだろう。

 B to Bでも、一定の存在感を維持している。特にタブレット市場では健闘しているようだ。例えばレストランなどに設置する注文用タブレット。多くの導入実績があるという。「業務用のタブレット事業を始めて6年。まだ買い替えの相談は1件も来ていない。他社製品なら、2〜3年で買い換える必要があるが、お客さま自身も『まだ使える』と驚いていらっしゃるようだ」(賀 プレジデント)。スマホでもタブレットでも、同社の品質、特に「つくり」の良さは折り紙付きだ。筐体の質感と機能のバランスがよく、故障しにくい。過酷な使用条件に耐えなければならない業務用ともなれば、なおさらその強味が生きるだろう。

 2月、同社は久々に海外で大きな製品発表会を開いた。3つ折りスマホの「HUAWEI Mate XT」を中心として実施したマレーシア・クアラルンプールでのローンチイベントだ。世界各国から数百人を招いて大々的に実施。日本からも26名の記者やメディア関係者が参加した。賀 プレジデントは、このイベントを「一つの節目」と位置づける。スマホやタブレット、そしてPCも、ハードウェアだけでは成り立たない。OSやアプリも含めた、いわゆる「エコシステム」が不可欠だ。賀 プレジデントは明言こそしなかったが、今回のイベントは、中国の外に向けた動きを、改めて加速させる端緒が見えてきた、というサインではないだろうか。アジアにおけるITの巨人、ファーウエイの今後に期待したい。(BCN・道越一郎)

このニュースに関するつぶやき

  • すまんが、職業上の理由で ちみらの製品は使えないのだよ。。。 変なチップ仕込まなければなー(白目ww
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