党首討論で答弁する石破茂首相=11日午後、国会内 今国会最後となった11日の党首討論は、参院選を意識し物価高対策で応酬が展開された。石破茂首相(自民党総裁)は、立憲民主党などが求める消費税減税で財源論の乏しさを責め立て、立民の野田佳彦代表は政権の対応を「無策」と指弾。夏の決戦に向け、給付や減税に関する論戦が激しさを増しそうだ。
「野田代表ともあろう方が『何もしていない』とは事実誤認ではないか」。首相は政府の物価高対策を批判する野田氏にかみついた。
野田氏は開始早々、食料品を消費税率ゼロとすべきだと主張。政府対応は「遅すぎるし感度が悪い」と切り捨て、企業・団体献金見直しなどが進まぬ現状も踏まえつつ「全て課題は先送りか無策。これが石破政権の特徴ではないか」と断じた。
対する首相は、随意契約で放出した備蓄米販売による価格引き下げ効果などをアピール。消費税減税は即効性に欠けると反論した。システム改修などに伴い「1年くらい(時間が)かかると認めるべきだ」とも迫った。
野田氏はガソリン税暫定税率廃止に向け野党7党が共同提出した法案の「丸のみ」も要求。首相は国・地方の減収が1兆5000億円程度見込まれると指摘し、「代わりの財源をぜひ7党でお示しいただきたい」と切り返した。
参院選に向けた与党の「目玉公約」では首相のつじつまの合わない言動が目に付いた。自民、公明両党が検討中の所得制限を設けない給付措置について問われると、「政府として検討している事実はない」とかわしたが、国民民主党の玉木雄一郎代表に問い詰められ、「与党から話を聞かなければならない」と歯切れが悪かった。玉木氏の「バラマキ」批判には「侮辱はやめてほしい」と声を荒らげる一幕もあった。
野田、玉木両氏とやり合った首相だが、日本維新の会の前原誠司共同代表には配慮も見せた。前原氏が社会保障改革に関する自公維3党協議の継続を求めると、首相は「(維新が今年度)予算に賛成した重みを忘れることがあってはならない」と応じた。
一方、会期末を控え、最大の焦点である内閣不信任決議案や衆院解散を巡るやりとりは皆無だった。

党首討論で石破茂首相に質問する立憲民主党の野田佳彦代表=11日午後、国会内

党首討論で石破茂首相に質問する日本維新の会の前原誠司共同代表=11日午後、国会内

党首討論で石破茂首相に質問する国民民主党の玉木雄一郎代表=11日午後、国会内