「Next GIGA」に向けてPC周辺機器メーカーの動きも活発に さまざまな視点から教育の“質向上”を提案

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2025年06月13日 15:41  ITmedia PC USER

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EDIX 東京 2025は、東京ビッグサイトの南展示棟と会議棟を使って開催された

 2019年に始まった文部科学省の「GIGAスクール構想」だが、同構想で導入された学習用端末のリプレースが2024年度から始まっている。ただし、端末の導入時期の都合から、リプレースのピークは2025〜2026年度になるとされている。そのこともあり、PCメーカーやプラットフォーマーは教育関係者向けの展示会に積極的に出展し、自社の端末やプラットフォームをアピールしている。


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 2024年度から始まった学習用端末のリプレースは、GIGAスクール構想の“第2期”(いわゆる「Next GIGA(GIGA 2.0)」)に当たるが、第2期では校内のネットワーク環境の改善や校務のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進も重要なテーマに掲げられている。


 このような流れを受けて、PC周辺機器メーカーは教育関係者に自社の周辺機器やソリューションをアピールする機会を増やしている。この記事では、 4月23日〜25日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された教育関係の展示会「EDIX 東京 2025」における主な展示を紹介したい。


●バッファロー:校内ネットワークの「調査サービス」に力点


 PC周辺機器メーカーとして広く知られるバッファローは、ブースにおいて「ネットワークアセスメント」を強くアピールしていた。


 先述の通り、Next GIGAでは校内のネットワーク環境の改善をテーマの1つとしている。そこで文部科学省が推奨しているのがネットワークアセスメント、つまり校内ネットワークの“調査”だ。


 GIGAスクール構想により、義務教育課程における「児童/生徒への1人1台の学習用端末配備」は一通り完了した。一方で、学校のネットワーク環境が貧弱がゆえに、インターネット経由で利用するデジタル教材などを満足に使えないという問題が多発した。ゆえに、Next GIGAの実施に当たり、補助金を支給するなどしてネットワークアセスメントの実施を推進することになったのだ。


 バッファローでは、このネットワークアセスメントを請け負うサービスを提供しており、既に多くの実績があるという。ネットワークアセスメントの実施には、補助金も支給されるため「スタンダードプラン」では実質的な負担は21万円(税別)で済むという。


 その他、バッファローブースでは同社が得意とする無線LAN(Wi-Fi)アクセスポイントやスイッチングハブなどのネットワーク機器や、機器を遠隔管理できる「キキNavi」も紹介されていた。


●エレコム:子ども向け向けキーボードをメインに据える


 同じくPC周辺機器メーカーとして有名なエレコムは、主に小学校低学年をターゲットに据えたタッチタイピング練習用製品「KEY PALETTOシリーズ」を中心に展示していた。


 KEY PALETTOシリーズは元々、大人向けよりもコンパクトなキーボードからリリースされたが、現在では既存のキーボードに貼り付けるためのカラフルなシールも販売されている。ブースでは、higo氏が開発したタイピング練習ソフト「Typing Land」と組み合わせてデモ展示されていた。Typing Landは無料で利用でき、KEY PALETTOシリーズと組み合わせることで“正しい”タッチタイピングを短期間で習得できるという。


 その他、不審者侵入対策用の監視カメラや無線LANアクセスポイントなども展示されていた。


 その他、同社ブースには監視カメラやWi-Fiアクセスポイントなど、学校向けのハードウェアが一通り展示されていた。


●エルモ:Android電子黒板やバッテリー駆動大型ディスプレイを展示


 テクノホライゾンは映像/ITデバイスを展開する「エルモ(ELMO)」ブランドとして電子黒板や大型ディスプレイなどを展示していた。


 現在の主力製品の1つである電子黒板「ELMO Board」は、標準モデルに加えて「Google EDLA認証取得モデル」も展示していた。


 Google EDLA認証取得モデルは、その名の通りGoogleとEDLA(Enterprise Devices Licensing Agreement)を締結しており、「Google Play」から直接アプリをダウンロードできる他、Googleが提供する「YouTubeアプリ」やGoogle Workspace関連のアプリをプリインストールしている。Google Workspace for Educationを使っている学校の場合、このモデルを使うとより便利だ。


 また、変わり種として、バッテリーを内蔵した32型ディスプレイ「EL32M1 MOMOBo」も展示されていた。こちらは近くにコンセントがなくてもバッテリー駆動できるというメリットを生かして、文化祭などでサイネージ的に使うことも想定しているという。


●TVS REGZA:非光沢ディスプレイをアピール


 TVS REGZA(旧東芝映像ソリューション)は、自社のTVに加えて電子黒板/大型提示装置を多数展示していた。


 同社が特にアピールしていたのが、画面への反射を抑えたノングレア(非光沢)タイプのパネルを搭載する大型提示装置だ。通常モデルと一緒に上下に並べることで、周囲のライトの映り込みが大きく違うというデモを行っていた。


●さつき:AIアプリを動作可能な電子黒板を展示


 「ミライタッチ」ブランドの電子黒板を開発/販売しているさつきのブースでは、高機能な電子黒板の展示やデモを行っていた。


 同社の「多機能タッチモニター」や「多機能インクルーシブ電子黒板」には、上下にカメラが内蔵されていることが特徴だ。上のカメラはTV会議用のWebカメラとして教室の様子を撮影でき、下のカメラは真下を向くように設置されており、いわゆる「書画カメラ」としてテキストや児童/生徒が書いた答案などを撮影できる。


 多機能インクルーシブ電子黒板は、Google EDLA認証を取得しており、Google Playからアプリを直接ダウンロードできる。これにより、単体でカメラで撮影した画像をAIによって説明させたり、リアルタイムに講演の文字を起こしたり、翻訳したりすることもできる。


●シャープ:超大型ディスプレイにとどまらない多様な展示


 シャープのブースでは、超小型二足歩行ロボット「ロボホン」を使ったプログラミング学習に関する展示を始め、中学生/高校生向け辞書教材サービス「Brain+」に関する展示、超大型ディスプレイや電子ペーパーディスプレイの展示など、展示物の多様さが印象的だった。


 以前から、シャープはロボホンを使ったプログラミング学習教材を展開しており、導入事例も増えているという。Brain+では、新機能として古文や英語の読解アシスト機能が追加された。


 同社は2年前から電子ペーパーディスプレイ「ePosterシリーズ」の販売を開始しており、ブースには発売中のモデルに加えて、A2サイズのカラー電子ペーパーディスプレイも参考展示されていた。


 その他、55型Android搭載インフォーメーションディスプレイ「PN-ME552」や、COB方式LDを採用した110型の超大型LEDディスプレイなども展示されており、来場者の注目を集めていた。


●アイ・オー・データ機器:動画配信デバイスや校務改善デバイスなどを展示


 アイ・オー・データ機器のブースでは、同社が提供している超低遅延音声ライブ配信サービス「PlatCast」に関する展示や、USB Type-C接続に対応する15.6型モバイルディスプレイや27型有線LANポート/USBハブ付きディスプレイなどが展示されていた。


 先述の通り、Next GIGAでは校務のDXも重要なテーマとなっている。その観点から、文部科学省では2025〜2027年度にかけて「学校のICT環境整備3か年計画」を策定している。


 この計画には、教師の業務用ディスプレイの1人1台整備という目標が盛り込まれている。今回27型有線LANポート/USBハブ付きディスプレイは、その需要を狙って展示したのだという。


 その他、学校における映像編集やプレゼンテーションにおけるニーズに応える形で、校内/校外両対応スイッチャー付き映像/音声配信ボックスなども展示されていた。


●j5create:iPad/iPhoneとWindows PCをつなぐクロスリンクハブなどを展示


 KaiJet Technology Internationalは、j5creatブランドでさまざまな周辺機器を製造/販売している会社だ。同社のブースでは、iPad/iPhoneとWindows PCをつないで互いにデータを高速伝送できるクロスリンクハブや、HDMI信号をワイヤレス化するアダプター、AI機能を搭載し人物のオート追跡やオートフレーミングが可能な360度パノラマWebカメラなどをデモを交えて展示していた。


 その他、同社のブースではAIによる文字起こしも可能なリアル翻訳スピーカーフォンや、USB Type-C対応の「トリプルディスプレイ13in1ドッキングステーション」なども展示されていた。


●サンワサプライ:iPad用ケースからタブレット収納保管庫まで多数出展


 PC周辺機器で知られるサンワサプライは、今回のEDIX 東京において広めブースを確保していた。iPad用ケース、キーボード/マウス/ヘッドセットといった周辺機器から、机/椅子に至るまで、さまざまな製品を展示していた。


 同社が特に力を入れているのが、Next GIGAを見越したiPad向け周辺機器だという。一方で、Surface Goシリーズ用の耐衝撃ケースや、市場シェア的には優位に立ちそうなChromebook向けのサプライ品も多数展示していた。


 また鍵付きのスマートフォン収納保管庫や、最大22台のタブレットを充電しながら収納できるタブレット収納保管庫、最近増えているアクティブラーニングに適したキャスター付きの「アクティブラーニングデスク」、電動昇降デスク、サイネージ用途に利用できる液晶スタンドやメディアプレーヤーなども展示していた。



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