宝塚記念に出走するメイショウタバル(C)netkeiba 競馬は春と秋にビッグレースが集中する。春シーズンの締めくくりとして組まれているのが中央の宝塚記念であり地方の帝王賞。“春の総決算”というべきレースだ。
宝塚記念は、出走馬をファン投票で決める有馬記念の関西版として1960年に始まった。一方、帝王賞は「春の天皇賞のようなビッグレースを地方競馬に」という掛け声で1978年に創設された。天皇賞・春に寄せる形で、当初の施行時期は4月、距離も2,800mという長距離だった。紆余曲折を経て現在の形に落ち着いている。
創設の意図はそれぞれ異なるものの、結果的に中央と地方それぞれの“春の総決算”というべきビッグレースに成長し、競走体系のなかで重要な地位を占めている。そんな2つのレースを血統的側面から見てみたい。
宝塚記念は、梅雨の時期に行われるため、馬場が渋ることが多い。仮に良馬場であっても意外に水分を含んでいることは珍しくない。
ステイゴールド産駒は、力の要る馬場と、阪神内回りコースに高い適性を誇る。2009年から2014年までの6年間に産駒が5勝を挙げた。ステイゴールド自身は2015年に死亡しているので、今後産駒が出走することはない。しかし、宝塚記念に異常な適性を示した血が、形を変えてその威力を見せつける可能性は十分ある。
メイショウタバルの父ゴールドシップは、ステイゴールドの代表産駒の1頭で、2013、2014年に宝塚記念を連覇した。それぞれ3馬身半差、3馬身差の楽勝だった。メイショウタバルはステイゴールドの直系の孫にあたる。
これまで神戸新聞杯と毎日杯を逃げ切った実績がある。逃げ馬の宿命で成績は安定しないものの、道悪は得意中の得意で、重馬場で行われた毎日杯は後続に6馬身差をつける圧勝だった。自分の競馬に持ち込んだときは手に負えないほどの強さを発揮する。
前走のドバイターフは海外の強豪相手に果敢に逃げて5着。ハナ差で1、2着となったソウルラッシュとロマンチックウォリアーからわずか3馬身弱の小差だった。得意の道悪になれば一発があっても不思議はない。
帝王賞は、過去4頭優勝したゴールドアリュール産駒がいなくなったあと、エーピーインディ系の天下となっている。2021年のテーオーケインズに始まり、2022年メイショウハリオ、2023年メイショウハリオ、2024年キングスソードと、4連覇を果たしている。今年もエーピーインディ系に属する中央所属馬を軸に馬券を組み立てたいところ。
候補として挙げられるのは、メイショウハリオ、アウトレンジ、グランブリッジあたりだが、三度目の制覇を狙うメイショウハリオがやはり一枚上。59キロの別定重量を背負った前走の平安Sは、スタートで出遅れた上に直線で前が詰まる不利。まともなら上位争い必至だろう。
(文:栗山求)