“じゃじゃ丸、ぴっころ、ぽろり”、活動再開のきっかけは「生みの親の死」。グッズが即完売する人気の秘訣は

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2025年06月14日 09:00  女子SPA!

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左から、ぽろり、じゃじゃ丸、ぴっころ ©jpp/NEP
 1982年から1992年にかけて、NHK『おかあさんといっしょ』内で放送されていた人形劇『にこにこ、ぷん』。番組名を聞くだけで、にこにこ島(じま)で暮らすじゃじゃ丸、ぴっころ、ぽろりの愛らしい姿が浮かび心が和むのは筆者だけではないはず。

 そんな懐かしい3人が、実は現在も活動していることをご存じでしょうか? どのような活動をしているのか、3人と一緒に活動するスタジオじゃぴぽの代表取締役の北爪努さん、社員の北爪日向(ひゅうが)さんに話を聞きました。

◆3人が今後も活動を続けられるようにと生まれた「じゃぴぽ」

──じゃじゃ丸、ぴっころ、ぽろりは現在、どのような活動をしていますか?

北爪日向さん(以下、日向):現在は、日本全国のショッピングモールや道の駅などで撮影会やバラエティショーに参加している他、YouTubeチャンネル『スタジオじゃぴぽ公式ちゃんねる』『ぴっころちゃんねる』に出演しています。

──そもそもスタジオじゃぴぽは、どのような会社なのでしょう?

北爪努さん(以下、努):『にこにこ、ぷん』の原作者で、台本を書いていた井出隆夫さんと、人形美術家で3人をデザインした岡部久義さんが設立した会社です。

 放送当時お二人はNHKから個人で『にこにこ、ぷん』の制作を請け負っていました。『にこにこ、ぷん』の地上波放送終了後、3人の権利を守るため、1993年に設立されたのがスタジオじゃぴぽです。社名に3人の名前の頭文字が入っているのは、3人のために作った会社だからなんです。

日向:ちなみに、NHK Eテレに登場するネズミの着ぐるみを着た猫のニャンちゅうも、岡部さんが生み出したキャラクターです。当社では、ニャンちゅうの公開収録イベントの制作も行っています。

◆90年代はさまざまな番組で活躍していた3人

──『にこにこ、ぷん』の地上波放送終了後は、3人はどのような活動をしていたのでしょうか。

日向:1993年には『クイズ百点満点』、『オーストラリアのにこにこぷん』、1994年にはNHK衛星第2テレビジョン(以下BS2)で『あさごはんだいすき』、1995年から1998年までは、BS2で『にこにこぷんがやってきた』で活躍していました。

 ですので、1998年までは、3人はほとんど毎日のようにテレビで活躍していたんです。その後も、2012年から始まった子ども向け番組『ワンワンパッコロ!キャラともワールド』(NHK BSプレミアム)や『紅白歌合戦』(NHK総合他)などに不定期で参加しています。

努:しかし、2000年から約10年は、3人はほとんど活動しておらず、空白の時代になっています。井出さんは、山川啓介名義でポップスの作詞やコンサートの構成、岡部さんは引き続きNHKの美術を担当し、毎日スタジオで小道具を作っていました。お二人とも非常に忙しかったことから、『にこにこ、ぷん』の活動をできずにいたのです。

◆生みの親の死とコロナ禍を経て、ファンに近い存在に

──活動を再開したきっかけは何だったのでしょうか?

努:2011年に岡部さんが、2017年に井出さんが亡くなりました。すると、遺族がお二人の原画、造形物などの遺品をたくさん送ってくださったのです。それらを整理しているうちに、私たちは「ただ保管しておくのはもったいない」という気持ちになってきたんですね。

 2021年に、不定期出演していた『ワンワンパッコロ!キャラともワールド』が放送終了し、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めると、3人が表に出る機会はなくなってしまいました。けれども、3人のこれまでの活動の証は手元にたくさんある。これらを見せたら、ファンの皆さんに喜んでもらえるのではと思い、当会社内でイベントを開催したことがきっかけです。

──どんなイベントだったのでしょうか。

努:2021年11月に原画やおもちゃなどを展示した「スタジオじゃぴぽのひみつきち」を初めて開催しました。その際に私たちスタッフが、会社のロゴが入ったTシャツを着ていたんです。すると、来てくださったファンの方々から購入を希望する声がありまして、それに応える形でグッズ製作を始めました。そして、作ったグッズを対面販売した、「『にこにこ、ぷん』のおみせやさん」を2024年3月に初開催しました。

◆イベントでは、あっという間にグッズが売り切れ

日向:作り始めた頃は、丹沢湖の流木をもらってきて削り、そこにスタッフが夜なべしながら3人の焼き印を押し、キーホルダーを手作りしたこともありましたね。ちなみに、そのキーホルダーは「3人がにこにこ島の木を削って手作りした」というイメージで作っています。

努:そこで販売したパーカー、トートバッグ、ハンドタオルなどのグッズが思っていた以上に人気でして、あっという間に売り切れてしまいました。求めてくださるファンがいるなら、もっといろいろ作ってみよう。そう思って、来ていただいた方からの声を聞いて、グッズのバリエーションを増やしています。

 「スタジオじゃぴぽのひみつきち」「にこにこ、ぷんのおみせやさん」も初開催以降、今も不定期で開催しています。まるで3人が運営する学園祭のような規模と手作り感で実施しているので、ファンの皆さんとの距離が近く、『にこにこ、ぷん』への思いを直接聞けるのがいいですね。この距離じゃないとわからない反応がたくさんあるからこそ、これらのイベントはこれからも大切にしていきたいです。

◆「ぴっころの声がそのまま!」新作動画も

──SNSのアカウント、YouTubeチャンネルも同時期に開設されました。

努:3人の活動再開のきっかけになるようにと、コロナ禍にとりあえず3人の写真を撮ってみたんです。それを活用するために、Twitter(現X)とInstagramのアカウントを開設。写真と合わせて、『にこにこ、ぷん』のテレビ放送時の台本のタイトル、あらすじなどを投稿し始めました。

日向:また、YouTubeでの動画配信は、3人の活動と相性がいいと思い、2020年に『スタジオじゃぴぽ公式ちゃんねる』、2022年に『ぴっころちゃんねる』を始めました。『ぴっころちゃんねる』では、ぴっころの声を『おかあさんといっしょ』の放送当時から担当しているよこざわけい子さんにお願いしています。

 視聴者の方からは「ぴっころの声がそのまま!」「声が聴けてうれしい!」などのコメントをいただいています。そういったコメントによこざわさんも喜んでくださって、作り手も視聴者も、幸せなチャンネルです(笑)。

【スタジオじゃぴぽ】
『にこにこ、ぷん』の地上波放送終了後、1993年創立。現在は『にこにこ、ぷん』のイベント・グッズ販売を実施する他、ニャンちゅうの公開収録イベントの制作を行っている。
X:@studiojapipo、Instagram:@studio_japipo

<取材・文/増田洋子>

【増田洋子】
2匹のデグー、2匹のラットと暮らすライター。デグーオンリーイベント「デグーサロン」を運営。愛玩動物飼養管理士2級を取得。Twitter:@degutoichacora

このニュースに関するつぶやき

  • おかあさんといっしょはにこにこぷんで止まっている世代です(笑)
    • イイネ!16
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