



たとえ許しの言葉をもらったとしても、俺は「加害者」で羽田さんは「被害者」。ひとりの女の子の人生をめちゃくちゃにしたという事実は消えないのだ。どんなに彼女の要望を叶えてあげたとしても、なくなったことにはならない。



結婚挨拶のときのナツミの言葉は、両親にとっては少し引っかかるものだったらしい。ナツミは俺の背負った罪を、まるで自分ごとのように背負おうとしていたと……。俺の罪は俺がひとりで背負っていくべきもの、母もきっぱりそう言った。


両親には俺の心をすっかり見抜かれていた。俺は羽田さんと一緒にいて、要求に次々と応えることで罪が軽くなるかのような感覚でいたのだろう。彼女を優先したら家族が犠牲になることも気が付いていた。けれどこの身にのしかかる重い罪を少しでも軽くしたくて、家族のことは見ないふりをしていた。
けれど父の言葉で目が覚めた。たとえ羽田さんが「許す」と言っても俺のしたことがなかったことにはならないし、罪は少しも軽くはならない。これから俺がどう動くべきか、ようやくハッキリ見えたような気がしている。
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原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子