平成に栄えた「ギャル・ギャル男」の“現在の姿”は？ トガった強さは“全く別の形”に変貌

　みなさんこんにちは、ファッションスタイリスト＆ライターの角 佑宇子（すみ ゆうこ）です。2020年を迎えた頃からメガトレンドとして浸透してきたY2Kブーム。依然人気は衰えず、若者の間で平成ギャル文化がカムバックしています。

　そこでふと気になったのは私たち日本のKAWAIIを作ってきた始祖である平成ギャルたちの現在の姿。2000年のモテ女子ブーム到来で一時衰退、絶滅した平成ギャル・ギャル男は今一体どこで何をして、どんな服装を身にまとい社会に生息しているのでしょうか。今回は、元・平成ギャル・ギャル男の今についてご紹介します。

◆平成ギャルは、昔の片鱗を感じさせないおしゃれママに

　90年代後半から2000年代かけてギャルだった女性たちは、今では女子SPA！読者世代ど真ん中の40代前後。この年齢だと子どもを持つ方も多く、おしゃれなママさんになっている人も多くいらっしゃいますね。これは個人的主観ですが、昔ギャルだった方は今、独身貴族を貫いている方よりも、どちらかといえば家庭を持っている方が多い印象です。

　20代で思い切り青春を謳歌したからこそ、30代40代でしっかりお母さん業に振り切っているのかもしれません。それは現在のファッションにも影響しているのか、意外なことに元・ギャル達が身につける服装には昔のギャル時代の片鱗さえも全く感じられないことがほとんど。

◆服装はシンプルでも、メイクにはどことなく意志の強さが

　シンプルなデニムにシャツなど、カジュアルベースの服装やキレイ系、モード系に転身するケースが多くみられます。服装においてはシンプルで簡素化される一方、メイクにはどことなく意志の強さが感じられることも。とくに眉毛はキリリとした強さを表現する印象を受けます。

　また、平成ギャルはアムラー全盛期のガングロギャルと益若つばさやくみっきーといった姫ギャル時代に分かれ、前者の場合はクールな大人女性に変化し、後者は程よく甘めなフェミニンスタイルへと転向しています。

◆平成ギャル男はアート系男子多め

　対するギャル男は、女性同様にもちろん全員がそうなるわけではありませんが、アート系男子に変貌しているケースがよく見られます。例えば、やや長髪の黒髪、髭、そしておしゃれメガネなど。服装はヴィンテージやワークウェア、今でもアメカジスタイルを好むことが多い模様。

　もちろん例外も多くありますが、ギャル男のベースは「ワイルドさ」「男らしさ」「個性」を良しとするので、自然とそれが年相応のファッションでも反映されているのかもしれません。

　女性の場合は、若い頃のファッションへの未練はスッパリ無くなっていく潔さを感じるとお伝えしました。これに対し男性は、同様にギャル男の服装を卒業はするものの、自身のアイデンティティを捨てることなく年相応にそのコンセプトを継承した形で、おじファッションを楽しんでいるようです。

◆元ギャル男たちが、男の渋さを表現する理由

　また、これは完全に個人的なド偏見ではありますが、元ギャル男の“素顔”は、目が丸い・フェイスラインが丸いといった幼顔の要素を持つ方がやや多い印象を受けます。もちろん、全員がそういうタイプではなく、中には一重の切長の人や鼻筋がシュッとした方もいます。

　ただ、いずれにしても「男らしさ」「野生的な強さ」「色気」といったキーワードを好み、大人になってギャル男を卒業した後も、自分の年代に見合う形でこれらの要素を体現しているのではないでしょうか。

　なので、大人になってギャル男を卒業した今でも、短髪よりは長髪、髭なしよりは髭ありで、男の渋さを表現する人が多いのかもしれません。

◆服装は変わっても、マインドはギャル・ギャル男

　服装は10代・20代の頃と全く違っても、ギャル・ギャル男マインドは大人になっても変わらないようです。言いたいことは言うし、どんな時でも前向きさを忘れない。若かりし頃に尖っていたあの力強さは、年齢と経験を重ねてよりしなやかで強くなっていっているように思えます。

　一部の大人に“社会のはみ出しもの”などと言われ、悪目立ちすることで存在を確立していた青春時代。そこから成長して社会に馴染みながらも、信念をそのまま貫く大人へ。ギャル・ギャル男は絶滅したのではなく、姿形を変えて令和の今も生き続けているのかもしれません。
＜文＆イラスト／角佑宇子＞

【角 佑宇子】
（すみゆうこ）ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは＠sumi.1105