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2025年06月17日 12:11 ITmedia PC USER
ASUS JAPANの「ROG Strix G16(2025)G614」は、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを搭載する最新のゲーミングノートPCだ。今回はメーカーから借用した評価機によるベンチマークテストなどを通じて、実際のパフォーマンスを検証してみよう。
●ROG Strix G16(2025)G614の基本仕様や外観をチェック
ROG Strix G16(2025)G614は、CPUやGPUの組み合わせにいくつかのバリエーションがある。今回の評価機は、CPUにAMDの「Ryzen 9 9955HX3D」、GPUに「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」を組み合わせた「G614FR-R9X3D5070TI」というシリーズ最上位に相当するモデルだ。直販価格は41万3820円となる。
Ryzen 9 9955HX3Dは、最新のZen 5アーキテクチャで製造され、3D V-CacheテクノロジーでL3キャッシュ容量を増量している。デスクトップ向けに展開する「Ryzen 9 9950X3D」などと同様に、特にゲーミング性能の向上に期待できるCPUだ。
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16コア32スレッドの処理能力はノートPC向けとしては現時点で最大級となり、最大動作クロックも5.4GHzと高速だ。
GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUも最新のBlackwellアーキテクチャを採用し、12GBのグラフィックスメモリや最新の超解像技術「DLSS 4」に対応するなど、こちらも以前よりゲーミング性能の大幅な向上が期待できるGPUである。
その他の主な仕様として、メインメモリは32GB、ストレージは高速な1TBのM.2 SSDを搭載している。
ディスプレイは16型の液晶で、解像度はWQHD+(2560×1600ピクセル)、240Hzという高リフレッシュレートにも対応している。
インタフェースは、本体の右側面にUSB Standard-A(USB 3.2 Gen 2)×2基を配置している。左側面にはACアダプター端子、有線LANポート、HDMI出力ポート、USB4(USB Type-C)×2基、ヘッドフォン端子がある。
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ネットワークを使った協力プレイや対戦プレイなど、少しでも遅延を減らしたい場合に有線LANでの接続ができる上に、USBポートも計4基あるため拡張性も高い。
USB Type-C端子は映像出力にも対応し、さらにHDMI出力ポートも備えるため、据え置き型の大型PCディスプレイやモバイルディスプレイを接続できる。大画面でのゲームプレイや、Discordなどのチャットアプリをサブディスプレイに表示するような使い方も可能だ。
キーボードはカスタマイズ可能なRGBバックライトを備えるアイソレーションタイプで、ボディーに厚みがあることでキーストロークも深めだ。
トラックパッドは十分に大きく、テンキーとして使えるナンバーパッド機能も備えている。
イルミネーション機能はキーボードバックライトだけでなく、本体下部、手前側にも備わっている。
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このイルミネーションはデスクの天板に反射するため、視界にイルミネーション部分が入らずとも、鮮やかに本体を囲むように光って見える。ゲーミングデスクを鮮やかに彩る機能としては面白い仕組みだ。
付属するACアダプターは最大出力280Wと、高性能なCPUとGPUに十分なパワーを提供するために大型だ。電源コードもノートPCのACアダプターに多いメガネ型ではなく、デスクトップPCの電源ユニットのような3ピンタイプとなっている。
USB Type-C端子がUSB Power Delivery(PD)にも対応しているものの、ROG Strix G16の性能をフルに発揮する場合は、付属のACアダプターを利用する方が確実だろう。
●ベンチマークテストでROG Strix G16(2025)G614の性能をチェック
ここからは、実際にROG Strix G16(2025)G614でさまざまなベンチマークテストを実行し、性能をチェックしていく。
ベンチマークテストに際しては、CPUの内蔵グラフィックス機能を使わないよう、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを明示的に利用するよう設定の変更を行った。それ以外の本体側の設定については変更を行っていない。
また比較用として、以前テストを行った同じ「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」を搭載する「ROG Zephyrus G14(2025)」と、1つ下位のGPUである「GeForce RTX 5070 Laptop GPU」を搭載する「ROG Zephyrus G16(2025)」のテスト結果も掲載している。搭載されているCPUの違いなどもあるため、参考程度に捉えてもらえれば幸いだ。
3DMark
まずは3D性能を確認するため、定番の「3DMark」で主要なテストを実行した。DirectX 12をテストする「Time Spy」シリーズ、DirectX 11をテストする「Fire Strike」シリーズ、そしてレイトレーシング性能をテストする「Port Royal」を実行し、パフォーマンスのチェックを行った。結果は以下の通りだ。
・Time Spy
・ROG Strix G16(2025)G614:1万5749ポイント
・ROG Zephyrus G16(2025):1万1776ポイント
・ROG Zephyrus G14(2025):1万2751ポイント
Time Spy Extreme
・ROG Strix G16(2025)G614:8536ポイント
・ROG Zephyrus G16(2025):5707ポイント
・ROG Zephyrus G14(2025):6717ポイント
Fire Strike
・ROG Strix G16(2025)G614:3万5294ポイント
・ROG Zephyrus G16(2025):2万7809ポイント
・ROG Zephyrus G14(2025):2万9596ポイント
Fire Strike Extreme
・ROG Strix G16(2025)G614:1万7539ポイント
・ROG Zephyrus G16(2025):1万3880ポイント
・ROG Zephyrus G14(2025):1万7119ポイント
Fire Strike Ultra
・ROG Strix G16(2025)G614:1万932ポイント
・ROG Zephyrus G16(2025):7440ポイント
・ROG Zephyrus G14(2025):8421ポイント
Port Royal
・ROG Strix G16(2025)G614:1万1275ポイント
・ROG Zephyrus G16(2025):7730ポイント
・ROG Zephyrus G14(2025):9046ポイント
ROG Strix G16(2025)G614はとにかく速い、速すぎる。
同じGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを搭載するROG Zephyrus G14(2025)とはわずかな差になるかと思っていたが、およそ20〜30%高いスコアを出している。
この差の要因として、まず考えられるのはCPUの違いだ。ROG Zephyrus G14(2025)に搭載されているCPUもノートPC向けのCPUとしてはかなり高速な「Ryzen AI 9 370HX」だが、ROG Strix G16が搭載しているRyzen 9 9955HX3Dは、CPUコア数/スレッド数、動作クロック、そして3D V-Cacheテクノロジーによって大きく増量されたL3キャッシュと、CPUの性能を決める多くの要素で上回っている。
特にL3キャッシュメモリ容量は、ゲームのように3Dレンダリングなど複雑な命令が多数実行されるアプリケーションの動作速度への影響が大きく、同じGPUであってもCPUの性能差がスコアに大きく影響したと考えられる。
また同じGPUであってもTGP(Total Graphics Power)設定がROG Strix G16とROG Zephyrus G14(2025)では異なる。
ROG Strix G16(2025)G614ではTGPが140Wに、ROG Zephyrus G14(2025)では100Wと、TGPの上限が異なるため、TGPに余裕のあるROG Strix G16の方が同じGPUであってもピーク性能を長く維持しやすい設計/設定になっている。
FINAL FANTASY XV ベンチマーク
続いて実際のゲームをベースとするベンチマークソフトを実行し、ROG Strix G16(2025)G614の性能をチェックしていく。
発売から随分と時間が経過しているが、現在も国産ゲームタイトルとしては重く、このベンチマークテストでどこまで動かせるかはゲーミングPCの性能を見極める1つの基準になる。
テストでは画面解像度をROG Strix G16(2025)G614のディスプレイ解像度を上限とし、今回は「フルHD(1920×1080)」「WQHD(2560×1440)」の2パターンを、画質設定「高画質」を選択し実行した。結果は以下の通りだ。
・フルHD
・ROG Strix G16(2025)G614:1万4552ポイント
・ROG Zephyrus G14(2025):1万2449ポイント
・ROG Zephyrus G16(2025):1万2314ポイント
WQHD
・ROG Strix G16(2025)G614:1万1064ポイント
・ROG Zephyrus G14(2025):9167ポイント
・ROG Zephyrus G16(2025):9630ポイント
3DMarkのテスト結果と比べると差は縮まってはいるが、やはりROG Strix G16(2025)G614が同一の設定において、最も優秀なスコアを記録している。
スコアの差については3DMarkの項で考察を書いているが、実際にゲームを快適に遊ぶ、動かすにあたってはGPUの性能はもちろんのこと、CPUに依存する部分は大きい。
そのため実際のゲームプレイに近いプログラムでのベンチマークでも、これほど優位な結果を残せるとなれば、ゲーミングノートPCでも3D V-Cache搭載のRyzen搭載モデルが魅力的に見えてくるだろう。
サイバーパンク2077
次のテストは、重量級ゲームタイトルの定番である「サイバーパンク2077」だ。こちらも継続的にアップデートが行われ、リリース時から現在に至るまで、重量級ゲームの定番タイトルに挙げられる。
今回はゲーム内のベンチマーク機能を使って平均フレームレートの計測を行った。設定はグラフィックプリセットの「レイトレーシング:オーバードライブ」を選択し、DLSSでの超解像度スケーリングとフレーム生成を有効に、解像度設定はフルHDとWQHDで計測を行っている。結果は以下の通りだ。
・フルHD
・ROG Strix G16(2025)G614:98.99fps
・ROG Zephyrus G14(2025):109.5fps
・ROG Zephyrus G16(2025):80.85fps
WQHD
・ROG Strix G16(2025)G614:74.50fps
・ROG Zephyrus G14(2025):61.71fps
・ROG Zephyrus G16(2025):43.92fps
こちらもこれまでのテスト同様に、ROG Strix G16(2025)G614が最も優秀な結果になった。
特に注目したいのはWQHD解像度でのテスト結果で、比較に用いたROG Zephyrusシリーズでは60fpsをわずかに超えるか、あるいは満たさない結果だったのに対し、ROG Strix G16(2025)G614は余裕のある平均フレームレートになっていることだ。
ゲーミングノートPCの特性上、多くはゲームコンソールからの移行、または併用を考えている人が多いだろう。
ゲーム機向けのビッグタイトルは、PC版では高い性能が要求される重量級タイトルとなることが多い、そうしたゲームが60fps以上で安定して動くかどうかで、ゲーミングノートPCの満足度が変わってくる。
その点で見るとROG Strix G16(2025)G614は、重量級ゲームタイトルの中でも特に重い「サイバーパンク2077」が安定して60fps以上で動作するため、ゲーミングノートPCを探している人にオススメしやすい1台といえる。
モンスターハンターワイルズ
最後のテストとして、今最もゲーミングPCを購入する動機になっていると思われるモンスターハンターワイルズだ。
筆者も発売前から現在に至るまで、周囲から「『モンスターハンターワイルズ』が快適に動作するのはどのモデルか」と頻繁に尋ねられており、ゲーミングノートPCについては「そろそろ新しいGPU搭載のモデルが出てくるから、それを待った方がいい」と答えていた。
ROG Strix G16(2025)G614などGeForce RTX 50シリーズ Laptop GPUを搭載したモデルが出てきたことで、やっと具体的に「このモデルを買っておけば大丈夫」といえる状況になったので、実際にどの程度快適に動作するかは、これから買うモデルを選ぶ際の基準として知りたい人が多いだろう。
テストはベンチマークテストで、画質設定をウルトラに、フレーム生成を有効にし、解像度は1920×1200ピクセル/2560×1600ピクセルで計測を行った。結果は以下の通りだ。
・1920×1200ピクセル
・ROG Strix G16(2025)G614:2万2403(平均 132.09fps)
・ROG Zephyrus G14(2025):1万4516(平均 86.29fps)
・ROG Zephyrus G16(2025):1万2170(平均 72.15fps)
2560×1600ピクセル
・ROG Strix G16(2025)G614:1万4851(平均 108.90fps)
・ROG Zephyrus G14(2025):1万2475(平均 73.29fps)
・ROG Zephyrus G16(2025):7987(平均 46.85fps)
これまでのテスト結果の通り、今回もROG Strix G16が最も優秀な結果を出すのは既定路線であり驚きはない。
先ほどのサイバーパンク2077の結果でもそうだったが、実際のスコア、そしてフレームレートを見ていくとROG Strix G16(2025)G614にかなりの余裕が感じられる。
また筆者がこれまでいろいろなPCでテストを行ってきた中で「画質設定がウルトラ」で「WQHD以上の解像度」ではグラフィックスメモリの容量が8GB以下では動作が緩慢になる、または途中でベンチマークが停止してしまうことがあった。
ゲーミングノートPCのディスプレイ解像度のトレンドもWQHD以上になっていることを考えると、今回テストしたROG Strix G16(2025)G614に搭載されている「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」のように12GBというグラフィックスメモリの容量が、ゲームもPCの性能も十分に楽しむための最低ラインといえるだろう。
●ライティングなどカスタマイズ機能も豊富
最後にチェックしたいのが、ROG Strix G16(2025)G614のカスタマイズ機能だ。
キーバックライトなどのRGBイルミネーションは発光パターンや発光色をカスタマイズして使いたいという人は多い。
筆者もPCのイルミネーションに凝っていた時期があり、以前光り物のPCパーツにハマっていた頃は「青系の色が好きなので、イルミネーションは青系を中心としたカラーで光らせたい」や「部屋の模様替えをしたので、家具の色にあわせて暖色に光らせたい」といったカスタマイズを行っていた。
ROG Strix G16(2025)G614ではこうしたカスタマイズはプリインストールされているユーティリティー「Armoury Crate」から行うことができる。
Armoury Crateではキーボードバックライトや、ボディー前面のイルミネーションの発光パターンや発光カラーのカスタマイズの他、ASUSのRGBイルミネーション機能である「Aura Sync」に対応した周辺機器のイルミネーションの設定を変更可能だ。
またイルミネーションのカスタマイズ以外に、現在のCPU動作クロックやメモリ使用量を一目で確認できるダッシュボード機能や、動作モードをパフォーマンス重視や静音重視に切り替えることができる。
またGPUパフォーマンスを追求した「Ultimate」など、いくつかのプロファイルから選択、変更することも可能になっている。
これらのイルミネーションやパフォーマンス設定は「シナリオプロファイル」として保存することもできるため、日常的なPC操作時とゲームプレイ時とで、設定をまとめて切り替えることも可能だ。
このあたりは実際に使いながら「好み」を見つけ、使用シーンに応じたプロファイルを上手に切り替えていけるようにすると、よりROG Strix G16(2025)G614の使用感が高まるだろう。
●ROG Strix G16(2025)G614は「2025年のPCゲームの標準機」
ゲーミングノートPCに求めるのは、どれだけゲームが快適に動くかだ。
最も性能が高いモデルを買えば性能が不足することはなく、どんなゲームでも快適に動くのだが、その分だけ価格は高くなってしまう。
それで言うとROG Strix G16(2025)G614は、販売されているゲーミングノートPCとしては「最新だけど最上位のGPUを搭載していない分安い」「最上位でないが、話題のゲームや重量級のゲームを遊ぶには十分な性能を持っている」と、今選ぶゲーミングノートPCとして、標準機になり得るパッケージングの1台といえるだろう。
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