写真ごはんを食べて、ひなたぼっこ。気がついたら、無防備にうたたね。生きる哲学、それが猫です。
『人生のヒントが見つかる もちまる日記 ことわざ・慣用句』(KADOKAWA)は、可愛すぎる猫が繰り広げる気づきの本。著者はYouTubeチャンネル「もちまる日記」を運営する下僕さんです。
◆猫の生きざまは奥が深い
登場するのはもちまる(2019年生まれ スコティッシュフォールドのオス)と、はなまる(2023年生まれ スコティッシュフォールドのオス)。
2匹の猫が、時に仲良く、時にじゃれ合いながら、世の何たるかを私達に説いてくれます。癒されながら楽しく学べる本書、さっそくページをめくってみましょう。
◆「横のものを縦にもしない」
頬杖(ほおづえ)をついて不機嫌顔。だらだら寝転がるだけで何もしない。あなたの家にもこういう人いませんか。
「横のものを縦にもしない」
猫に免じて許してあげたくても、ロボット掃除機には邪険にされたりして。
そんな日は、あなたも家事をサボってしまいましょう。たまにはいいよね、と猫も言ってくれますよ。
◆「住めば都」
転居、転職や転勤など、生活の変化に不安や戸惑いを覚えても、やがてそれが成長の証になるのだから、人生は捨てたものではありません。
慣れ親しんだ人達と場所に別れを告げて、新天地へジャンプ。新しい環境にも、気の合う仲間や安らぐ場所が必ずあるはず。まずは深呼吸をして、新鮮な空気を感じてみて。
「住めば都」
猫達も、あなたにそっと微笑みかけています。
◆「聞き上手は話し上手」
コミュニケーションを円滑にするには、聞き上手になるのがベター。相手の話にじっくりと耳を傾けて、適切なタイミングで頷き、やわらかく相槌を打つ。そのあたり、猫は切り返しの達人(達猫)。
まばたきもせずにこちらをじっと見つめていたり、かと思えば目を伏せて、黙ってすりよってきたり。
「聞き上手は話上手」
全身で相手を包み込み、余すことなく好意を表現してくる猫は、実はとても話し上手。あなたも猫にならって、ボディランゲージで気持ちを伝えてみませんか。今よりももっと、愛されキャラになれるかもしれません。
◆「縁は異なもの味なもの」
彼がほしい。どこにも良い人がいない。部屋の中でため息をついて、己の不幸を呪ってしまう。
今日という日を穏やかに生きているだけで、本来はとても幸せで満たされているとわかっているのに、つい、ないものねだりをしてしまうのです。
未来の彼や、どこかにいるはずの良い人も、あなたが動かなくては見つかりません。顔を上げて、新しいファッションやメイクを取り入れて、自分から幸せを演出してみましょう。
雨上がりに窓をあけたら、通りを歩く見知らぬ男性と目が合った、なんてハプニングも。オシャレに気合の入ったあなたは、自然に会釈ができたはず。
よく見たら、学生時代の同級生だったりして。お互いの存在を確認したら、あとは流れに任せてOK。ささやかなやりとりから、恋人関係になることだってあるのです。
「縁は異なもの味なもの」
男女関係だけではなく、人はひとりでは生きられません。誰もが誰かに助けられて、誰かを恋しく思うもの。猫だって猫を助けていますし、なによりも猫は人間の心をとろかしてしまう、貴重な存在なのです。
本書には、幸せの種がたくさん詰まっています。あなたの心でぜひ、芽吹かせてくださいね。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx