文武両道才色兼備、クラスの人気者で憧れの同級生がお笑い芸人を目指していた――。そんな冒頭から物語が始まる漫画『スベる天使』は「花とゆめWEB」連載作のなかでは異色の男性主人公を中心に描かれている。
『これ描いて死ね』のとよ田みのるが絶賛するなど連載開始より注目を集め、「花とゆめWEB」史上最大PVを記録、単行本化も決まった本作の第1話が「こっそり芸人を目指す女の子の話」としてXに投稿されている。作者は桜箱さん(@cb_box4)。一風変わった、「お笑い」をテーマにしたラブコメはどんな経緯で生まれたのか、話を聞いた。(小池直也)
――Xに投稿していかがですか?
桜箱:ウェブの閲覧数が私にはわからないので、それに比べるとXはどれだけの人が読んだのかが分かって勉強になりました。
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――本作の着想について教えてください。
桜箱:まず森の中で女の子がひとりでモノマネの練習をしているシーンが思い浮かびました。それから「その子がチャイナ服を着てたら可愛いかな」、「普段は真面目な子だったらいいかな」、「それをクラスの子に見られてしまったら面白いかな」と考えていったら読切のネームができました。
なので「お笑い漫画を描こう!」というより、自分が面白いと思う場面を繋いだら、自然と芸人を目指す話になったという感じです。
――お笑いをテーマにしようと思った理由は? ご自身も漫才がお好きなのでしょうか?
桜箱:小学生の頃からお笑いが大好きで、お笑い好きの同級生に色々な漫才師を教えてもらいました。その子は見た目もスラッとした美人で今考えると天羽さんの要素があったように思います。その友達と小学6年生の時におふざけでコンビを組んでみたこともあります。ネタは相手に考えてもらっていて、ネタを思いついたら「これどう?」と電話をかけてくれたりもしてました。
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でも結局その子は中学受験してコンビは自然消滅。自分も卒業文集の将来の夢の欄に「オーケストラの人」と書いていて、芸人を目指していたわけではなかったです。
ただ彼女と遊ぶのが楽しかったんだと思います。頭のいい子でネタも小学生に似合わない知的な感じでした。結果的に好きでい続けていたお笑いを、『スベる天使』のテーマにできて本当によかったです。
――セリフと絵の出し方の感じもどこか漫才のような雰囲気を感じますが、これも意識されていたり?
桜箱:漫才を意識していた訳ではなかったですが、コマ割りなどはテンポ良く楽しく読めるように心がけています。
セリフは何も考えないと説明くさく、固くなってしまうので、「実際の友人ならこんな風に喋るかな?」と思いながら自然な会話を目指しました。
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――キャラデザインや作画でこだわっていることは何でしょう?
桜箱:私自身はファッションセンスがないので、チャイナ服や和服など先人の方々が作った素晴らしいデザインをお借りして、覚えやすい見た目になるように心がけています。あとは美容師さんのインスタグラムを見て流行りの髪型を勉強したりも。
作画では以前、新人賞の選評で画面が暗いとコメントをいただいたので、なるべくベタ(陰)が少ない、明るい画面になるよう意識しました。線は抑揚を付けながら綺麗に引き、見やすい画面になるといいなと思っています。
――今後『スベる天使』はどのように描いていきます?
桜箱:「自分の手で何かを作ること」と「人間関係を作ること」、この2点を軸に面白く描いていけたら良いなと思います。
基本、2話以上の展開を先に考えて描くことはあまりなく、その場のノリで描いてしまっています。描きたいものを膨らませるよりも、とりあえず面白くなるように作ってみて、その中で描きたいものを探す制作の方が今の自分には合っているかなと。
――最後に展望などあれば教えてください。
桜箱:読んで良かったなと思っていただける、満足感がある最終回を描けるよう、そこへ向かって頑張りたいです。
(文・取材=小池直也)
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