今年も「コメ不足」に?「猛暑」と「空梅雨」は生育にどう影響? 暑さに強い「奇跡のコメ」とは【Nスタ解説】

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2025年06月19日 21:37  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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「猛暑」と「空梅雨」。コメづくりにはどのような影響があるのでしょうか。この異常な暑さに負けないための様々な対策や努力を取材しました。

【写真で見る】猛暑で“不良米”の色はどう変わる? 「イネカメムシ」による“被害米”も

1株だけ猛暑に耐え抜いた「奇跡のコメ」は何が違う?

井上貴博キャスター:
2025年もまたコメ不足になるのか?猛暑と空梅雨がコメの生育にどう影響するのか?Nスタが調べてみたら「奇跡のコメ」が見つかりました。

2025年も猛暑はほぼ間違いなさそうですが、夏が暑いと、コメは▼収穫量の減少と▼品質の低下というリスクがあります。

農水省HPに掲載の写真を見比べると、正常なお米より、不良米は中が白濁としています。食味がよくないので、やはり品質が下がってしまうということです。

そこで、暑さに強い「高温耐性品種」の開発が必要ということになりました。高温耐性品種は▼きぬむすめ、▼こしいぶき、▼つや姫、▼とちぎの星、▼ふさこがね、▼にこまるなど、農水省のHPを調べただけでも26種類あります。

高温耐性品種の作付面積割合は、2017年産は6.8%だったところ、2024年産は16.2%まで増えました(農水省HPより)。数多くの研究者の皆さんの汗が、こういうことにつながっているのだと思います。

では、高温耐性品種とはどのようなものなのでしょうか。高温耐性品種を育てて2年目の岡山の農家に取材したところ、味はコシヒカリと同等です。また、背が低いため、風の影響を受けづらいというメリットもあるそうです。

なぜもっと流通しないのか聞いてみると、他品種より肥料が多く必要でコストがかかることに加え、おいしくないイメージがあるのだと嘆いていらっしゃいました。

確かに昔は少し味が落ちるものだったのですが、今は品種改良されたため、銘柄米とほぼ同じでとてもおいしいとおっしゃっていました。

さて、「奇跡のコメ」とは、何が奇跡なのでしょうか?

“日本一暑い町”ともいわれる埼玉県熊谷市では、暑さに強いコメの開発・生産を進めており、埼玉県農業技術研究センターの大岡直人 担当部長は「数多い中から残った1株なので『奇跡の1株』と呼ばれている」と話します。

2007年、猛暑の影響で約300株がほぼ全滅したなか、1株だけ猛暑に耐え抜いた品種が「彩のきずな」でした。これは奇跡といっても過言ではないのではないでしょうか。

コメは田んぼの水を吸って、葉っぱから水蒸気を放出して温度を調整します。彩のきずなは他の品種よりも水蒸気の量が多いので、気化熱で温度を下げる効果があるそうです。

空梅雨の影響は? 2〜3日の水不足で稲が枯れることも

井上キャスター:
AI活用で、異常気象でも収穫を安定させる取り組みが広がっています。

2021年に開始された「BASFジャパン」というサービスでは、農家さんが田んぼの位置情報とコメの品種などを登録します。料金は1年で1万3200円〜、1作物2ヘクタールまでです。日本の平均の農家は2ヘクタールといわれているので、私は結構安いと感じました。

これがどのようなサービスかというと、過去の天気をAI分析して、トラブルを予測してくれます。「虫がでそう…薬を散布して」など、リアルタイムでスマートフォンで確認できるということです。

また、AIが衛星画像を解析し、たとえば緑の表示は生育が上手くいっているところで、赤の表示は生育がよくないところです。葉の面積を解析して生育状況を把握し、生育が悪い箇所には「肥料を与えて」というアドバイスもしてくれます。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
お米というのは“八十八”回の手間をかけて作るといわれていますが、田舎のほうでは、たとえば暑いときは用水路の草をあまり刈らないようにするそうです。逆に涼しいときは草を刈って、なるべく日光を浴びるようにする。そういう知恵が、ずっと伝承されてきているんですよね。

しかし、こういうAIを使えば、狭いところでいろいろ手間をかける必要もなくなってくるかもしれません。

出水麻衣キャスター:
昔はそういった勘というか、長年の蓄積でできていたと思いますが、最近の異常気象だとそれがもう応用できなくなってしまうので、技術に頼るというのは本当に適切ですよね。

井上キャスター:
初心者の方もどんどん参入しやすくなれば、業界全体が盛り上がっていきます。

では、空梅雨のコメへの影響はどうなのでしょうか?

福島大学の新田洋司教授によると、水田に必要な水は、それぞれ時期によって変えています。毎日抜いたり入れたりしているところもあり、それだけ大変だということです。

6〜7月の成長期は、稲の成長に水が欠かせない特に重要な時期で、2〜3日水が不足すると稲が枯れてしまうことがあるといいます。

気象予報士の河津真人さんによれば「6〜7月は東・西日本で降水量が少ない予想で、珍しい事態」だということです。ただ、一概に水が少ないかというと、日本列島は広いので、場所によってもちろん変わります。

茨城の農家は「水源が霞ヶ浦なので梅雨は関係ない」と話していましたが、岡山の農家は「川の水を水源にしているので、このまま降らないと厳しい」とのことでした。

自然が相手なのでなかなか難しいですが、AIやデジタルを活用しながら進んでいこうというわけですね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回のコメ騒動で、コメとはそう簡単に作れるものではなく、農家の人たちが相当苦労して作っているのだと少しでもみんながわかってくれたことは、結果的に効果があったと思います。

井上キャスター:
政府も「作るな」と言ったり「作れ」と言ったりしますが、そんなすぐにはいかないということですよね。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年

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このニュースに関するつぶやき

  • 農水大臣がバカだからなあ。年に1回しか使わないコンバインはリースしろって出来ればやってるわ�फ�á��ܤ�� 一斉に使うから機械が空くわけがない。
    • イイネ!2
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