【悼む】藤村志保さん、しれっとやってみせる格好良さ テンポのいい語りや豊富な話題で常識人

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2025年06月20日 05:41  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

藤村志保さん(2008年撮影)

女優の藤村志保(ふじむら・しほ、本名静永操=しずなが・みさお)さんが12日、肺炎のため死去した。86歳。所属事務所が19日に発表した。


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都内のスタジオで桃井かおりの取材をしていた時、たまたま藤村志保さんが通りかかった。「志保!」「あら、かおり」まるで同級生の再会のような光景が意外だった。87年の春のことで、その2年前にNHK「花へんろ」での共演したことは知っていたが、個性派の桃井と気品のある藤村さん。何より12歳差を感じさせないタメ口だった。


デビュー前、すでに日本舞踊の名取だった藤村さんは、切れ長の目、和のイメージで大映黄金期の市川雷蔵や勝新太郎の強烈な個性を引き立てた。トーク番組ではテンポのいい語りや豊富な話題で常識人の印象が強かった。が、不思議にクセ者とウマが合った。


映画やドラマの出演本数が90年代に減ってくると、かつての大映スターとして憧れていた年下の監督から次々に声がかかり、再び注目度が高まった。この監督たちが竹中直人、相米慎二、塚本晋也…そろいもそろってクセ者ばかりだった。


一方で、臓器移植の取材を重ねた著書「脳死を超えて」がドキュメンタリーの賞を得たり、女優として初めて番組向上委員にも選ばれた。努力を重ねているはずだが、しれっとやってみせる格好良さがあった。【相原斎】

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