
古い紙片はそれだけで味とあたたかみを持っているが、そこに文学者の手書きの文字が乗っていたら味わいは何倍にも膨れ上がる。東京の文京区立森鴎外記念館では、コレクション展「小説『舞姫』をよんでみよう!」が7月4日(金)〜9月30日(火)まで開催される。鴎外自身の細かな推こうの跡が残る草稿の複製28枚を一挙展示。手書き文字で名作『舞姫』全編を味わう貴重な機会だ。
森鴎外は小説『舞姫』を1890年に雑誌「国民之友」に発表。それまで主に論文や外国文学の翻訳などを執筆してきた鴎外が発表した、創作小説の第一作目だ。ドイツから船で帰国途中の青年、太田豊太郎による回想という形をとった作品で、官僚として派遣されたベルリンで出会ったエリスとの恋、自分の学問や将来などを巡る葛藤や悩みとともに、帰国に至ったいきさつが描かれている。
コレクション展で展示される自筆草稿には、随所に推こうの跡が残っており、その手跡から発表直前まで文章を練り続けた鴎外の姿が垣間見える。名作『舞姫』全編を手書き文字でよみ、鴎外が吟味を重ねた言葉を味わうことができる。
開館時間は10時〜18時(最終入館は閉館30分前まで、7月9日は9時開館・8月2日は20時閉館)。休館日は7月22日(火)・23日(水)、8月25日(月)・26日(火)、9月24日(水)・25日(木)。観覧料は一般300円、中学生以下・障害者手帳提示者と介護者1人まで無料。

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