日韓、国交正常化60年=国民交流、関係の基盤に―歴史問題なお火種

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2025年06月22日 07:31  時事通信社

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首脳会談を前に握手する石破茂首相(左)と韓国の李在明大統領=17日、カナダ・カナナスキス
 日韓両国は22日、国交正常化をうたった日韓基本条約への署名から60年の節目を迎えた。この間、両政府の関係は浮き沈みを繰り返す一方、両国民の交流は着実に広がり、両国を下支えする基盤となった。ただ、関係を揺さぶってきた歴史問題の火種はなおくすぶっている。

 「日韓を取り巻く戦略環境が厳しさを増す中だからこそ、手を携え、より良い未来に向かって新たな一歩を踏み出そう」。石破茂首相は19日、東京都内で開かれた在日韓国大使館主催の60周年記念レセプションでこう呼び掛けた。

 念頭にあったのは東アジアの安全保障環境の悪化だ。中国は覇権主義的な動きを強め、台湾武力侵攻の可能性をうかがう。北朝鮮は核・ミサイル開発を進め、ロシアと軍事協力を深化させる。「日韓の連携は今こそ必要。いがみ合っている余裕はない」(外務省幹部)というわけだ。

 1965年の国交正常化後、日韓両政府の関係は曲折をたどってきた。ここ十数年、関係悪化の元になったのは基本条約と同時に署名された請求権協定。李明博政権(2008〜13年)時代に慰安婦の賠償問題が再燃し、日本政府は「法的に決着済み」(当時の野田佳彦首相)と繰り返した。

 文在寅政権時代(17〜22年)の18年には韓国最高裁が徴用工問題で日本企業に賠償を命じ、日本政府は「日韓関係の法的基盤を根本から覆す」(当時の安倍晋三首相)と猛反発した。関係は「戦後最悪」と言われ、尹錫悦前大統領(22〜25年)が解決策を打ち出すまで首脳会談すら容易ではなかった。

 一方、98年、当時の小渕恵三首相と金大中大統領の下でまとめた日韓共同宣言は「未来志向の関係構築」を打ち出し、人的・文化交流拡大の土台となった。24年には日本人322万人が韓国を、韓国人882万人が日本を訪問。日本での韓流ブームは勢いが止まらず、日韓合同のアイドルユニットも両国で人気を博している。

 6月4日に革新系の李在明大統領が就任すると、過去の言動から、日本への強硬姿勢を強めるのではないかと懸念する声が漏れた。しかし、李氏は「実用外交」を掲げ、日韓関係を重視する姿勢を鮮明にした。李氏の対日姿勢軟化の背景には韓国国民の意識の変化があるとの見方が強い。

 もっとも、慰安婦問題や徴用工問題は過去のものになったわけではない。竹島(韓国名・独島)の領有権を巡って角を突き合わせる両国の関係にも変わりはない。朴※(※吉を2つ横並び)熙・駐日韓国大使は「歴史的事実を直視し、日韓が共同の行動で乗り越えようと努力し、未来のビジョンを共有することが必要だ」と指摘している。 

日韓条約正式調印後、握手する佐藤栄作首相(右)と韓国の李東元・外務部長=1965年6月22日、首相官邸
日韓条約正式調印後、握手する佐藤栄作首相(右)と韓国の李東元・外務部長=1965年6月22日、首相官邸

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