
5月1日に公開された『プラダを着た悪魔2』が、世界中で大ヒットを記録。日本でも、映画館は連日、ほぼ満席状態が続いている。
「本作品は2006年に公開された『プラダを着た悪魔』の続編です。アン・ハサウェイ演じる主人公アンディが、ファッション雑誌のカリスマ編集長・ミランダのもとで奮闘する姿に勇気づけられる人も多く、不朽の名作との呼び声も高い。前作の日本での最終興行収入は17億円でしたが、続編である『プラダを着た悪魔2』はこの記録をたった6日で抜いてしまったのです」(スポーツ紙記者)
公開2週目には週末のランキング1位を獲得し、5月14日時点の興行収入は30億円を突破。20年越しの新作に「求めていた以上の続編!」と太鼓判を押すのは、映画ライターのよしひろまさみちさん。本作がヒットした理由を解説してもらった。
「ズバリ、仕込みのうまさでしょうね。マンハッタンからはじまり、ミラノファッション・ウィークでのロケ撮影の様子を、パパラッチよりも先に公式がリーク。前作のファンの期待をあおり続けつつ、肝心のストーリーラインは公開直前までまったく明かさなかったことで、多くの人の関心を引き出したのかと思います。
そもそも前作が日本で名作になったのはソフト化されてから。前作を映画館で観ていなかったとしても、後追いで観た人の多さ、口コミが大きいタイトルだったのも、要因のひとつだといえるでしょう」
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ファッション・メディア業界が生々しく
SNS世代をターゲットにマーケティングされた広告が大成功を収めたようだ。一方で、すでに数回観ているというリピーターも多く、映画の内容にもヒットの秘訣があるという。
「2006年版は“新社会人が仕事のモチベーションをどこに持つのが正解か”という点をコミカルに描いた作品でした。続編である本作は、同じキャラクターの20年後を描いているので、それぞれの成長が見られることはもちろん、ファッション・メディア業界の生々しい今を舞台にしているからこそ、2から見る人も楽しめる作品になっていますよね。
名作コメディ映画の続編であることをちゃんと踏まえたうえで、現代のメディア、ファッションをとりまく変化と内幕をとらえたメタ的な要素も的確でした」(よしひろさん、以下同)
魅力的なシーンがギュッと詰まった119分。よしひろさんが1番印象的だった場面は、あの伝説が始まった場所。
「ランウェイ編集部の風景の変化は印象的でした。前作ではエミリーをはじめ、編集者たちはみな“白人のファッションモデル級のルックス、センスがないと務まらない”という印象でした。
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しかし、今作の編集会議でそろった若手はみなハイブランドの最新ラインにこだわる様子でもなく、思い思いの服装で、人種、体型、年齢も多様。その象徴となるのが、アンディのアシスタントのジンです。バーバリーの最新ラインをさらっと身に着けつつも、あくまでカジュアルな着こなしになっています」
仕事ぶりや人間性の成長を描き出している
主に描かれているのはファッション業界やメディア業界だが、この映画は仕事のジャンル関係なく、現代に働く人すべてに向けられている。
「前作は極端なキャラクターがそろったファッション業界・メディア業界をコミカルに描いたことで、仕事を手にする人なら誰にでも自分事として考えられる作品になりました。
今作は、20年を経て同じキャラクターが同じ業界で勤めているからこそ描くことができる、その後の仕事ぶり、人間性の成長を描き出したのが大本筋でしょう。業界でベテランになったアンディは20年離れていたランウェイ編集部で、それまでの経験を活かしつつも、メディアの大先輩で尊敬に値するミランダとの再タッグを果たす中で自分の役割とすべきことへのフォーカスをしていく。
その様子が、メディアをおもちゃのように扱う、真価のわからない成金長者との対立構造により、分かりやすく描くことに成功したのだと思います」
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時を経て、ランクアップした主人公を現在の社会とうまく絡め、描き抜いた『プラダを着た悪魔2』。前作超えの熱狂を巻き起こしている勢いは、まだまだ止まりそうにない。
