
天皇の地位を安定的に継承していく方法を探ることが、喫緊の課題とされています。にわかに熱を帯びているのが、「男系男子」や「旧宮家の復活」です。8日、その議論が1つの節目を迎えました。
「立法府の総意」をまとめていた全体会議の議長が「皇位継承資格」に言及森英介衆院議長
「養子となった旧11宮家の男子は皇族にならないけれども、しかし男の子が生まれれば、その子は皇位継承権を持つということになる」
8日に安定的な皇位継承に向け、「立法府の総意」をまとめていた全体会議の議長が、「皇位継承資格」に言及、波紋を呼びました。
中道改革連合 階猛幹事長
「正副議長の取りまとめを超えたものであって、それはおかしいと」
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今回、衆参両院の正副議長がとりまとめた「立法府の総意」は、あくまでも皇族数を確保するための案。
「立法府の総意」
1.女性皇族が婚姻後も身分を保持
2.旧宮家の男系男子を養子に迎える
皇位継承の問題について、あえて触れずにいた中での、森議長の発言からは「男系男子による皇位継承」への想いが垣間見えます。
かねてより高市総理は「男系男子」による皇位継承を強く主張。
高市総理
「126代にわたって、男系で皇統が継承されてきたという、世界でも比類がない歴史的事実こそが、天皇の権威と正統性の源だと考えている。皇統に属する男系男子を皇族とする案を第一優先として国会における議論を主導していく」
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にわかに注目を集めることとなった「男系男子」と「旧宮家」。
時代に翻弄されたその歴史は明治時代に遡ります。
かつて明治の初めまで、天皇家以外の皇族を構成する「宮家」は「閑院宮」「有栖川宮」「桂宮」「伏見宮」の4つでした。ところが明治天皇は正室との間に子どもが出来ず、側室との間に生まれた5人の男子のうち4人が次々と亡くなり、成人したのは、のちの大正天皇ただ一人という事態に。
危機感を抱いた明治政府は、宮家の1つ「伏見宮」を頼ります。伏見宮邦家親王は、正室と9人の側室の間に、32人の子どもをもうけ、そのうち17人が男子でした。
明治政府は、邦家親王の男系の子や孫たちの分家・独立を認め、これが、のちの「旧11宮家」となったのです。
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しかし終戦後、その11の宮家は皇籍を離脱、民間人となりました。
今回まとめられた「立法府の総意」は、この11宮家の子孫から「男系男子」を皇族の「養子」に迎えるというものでした。
皇室の制度と文化を研究し、政府の有識者会議にも招かれてきた所功名誉教授は、「宮家」と「男系男子」との関係について、指摘します。
京都産業大学 所功名誉教授
「明治22年に出来上がる皇室典範では、絶対“男系男子”でなければいけないという限定をつけた。当時は近代化して、欧米に伍していくため、政治的にも軍事的にも強固な日本をつくるため、やはり天皇が男子であり、そして皇族も軍人でなければいけない」
明治政府は、旧皇室典範において、皇位継承者を「男系男子」に限定します。
国家が戦争へと突き進む時代、「男系男子」の皇族は、必ず将校として軍に入隊。国民を動員するための、軍の権威付けに繋がっていきました。
天皇陛下「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」そして戦後は、皇位継承を巡る議論も下火となっていったのですが再び大きな議論となったのが...
小泉純一郎総理(2004年12月当時)
「今の時代、仮に女性天皇が現れても国民は歓迎するんじゃないですかね」
2001年の愛子さまご誕生をきっかけに、皇位継承資格を女性・女系に拡大する動きが盛り上がりました。
当時の有識者会議は...
有識者会議 吉川弘之座長(2005年当時)
「皇位継承資格を女子や女系の皇族に拡大することを基本に報告書を取りまとめる」
この時の報告書では、女性天皇や女系天皇で正統性が揺らぐことはないとされ、その一方、男系男子の確保や、旧宮家の皇籍復帰については困難とされました。
その背景を所教授は...
京都産業大学 所功名誉教授
「明らかに一般国民として、生まれ育った方々ですから、どんなに先祖が皇族だった、あるいはお父さん、お祖父さんが皇族だったとしても、一般国民であることは変わらないんですね。(旧宮家の長老方も)『到底無理ですよ』と言っておられる」
旧宮家による「男系男子の確保」は否定され、女性・女系容認へ傾きます。
ところが2006年、悠仁さまのご誕生で、皇位継承の論議は事実上、棚上げとなったのです。
それから約20年。女性天皇、女系天皇について議論されることなく、今回、議長が突然もらした「旧宮家の養子の子が男子なら皇位継承権を持つ」との言葉。
所教授は...
京都産業大学 所功名誉教授
「国会の論議をあまりしないままに、成立させようというシナリオがあるとすれば、それは違う。真剣に衆参両院で議論をして、本当に大多数の理解と納得のいくものはそれでよし。そうでないならば、その先に送って、さらに検討を続けるということであってほしい」
JNNが4月に行った世論調査では、「女性が天皇になること」について「賛成」が61%にのぼり、「反対」の8%を大きく上回ります。
11日、天皇陛下は会見でこう述べられました。
天皇陛下
「制度に関わる事項については、私から言及することは控えたいと思いますが、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」
国民の理解が得られるような、皇位継承のあり方がいま改めて問われています。

