2026年FIA F3第5戦シルバーストン スプリントレースのスタート 国内外のミドルフォーミュラを中心に、ここ1週間の話題を毎週火曜日にお届けする『WEEKLY ROUND UP Formula』。今回は2026年7月3〜5日に開催されたFIA F3第5戦、F1アカデミー第3戦、FIAフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ(FIA FREC)第5戦、FIA F2第7戦の関連トピックスに加え、6月27〜28日に開催されたフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ(FRJ)第3大会もてぎのウィークリーレポートをお届けする。
■FIA F3第5戦:ウゴチュクウが選手権首位を守る。フィーチャーレース勝者が失格に
F1、FIA F2を目指す若手が参戦するFIA F3。2026年シーズンは日本から加藤大翔(ARTグランプリ/HFDP)、りー海夏澄(ARTグランプリ)、山越陽悠(VAR)、中村仁(ハイテック/TGR-DC)の4名が参戦している。
2026年シーズンは全9戦が開催されるFIA F3は、第5戦シルバーストンでいよいよシーズン後半戦に入った。フリー走行と予選が行われる初日金曜日は、ポイントランキング2位につけるイギリス出身フレディ・スレイター(トライデント/アウディ育成)の1日だった。スレイターはフリー走行で暫定トップタイムとなる1分46秒161を記録。ただフリー走行終了後、スレイターはサポートレースピットへの帰還途中にマシンを止めた。その後、車両からは規定で定められた0.8kgの燃料サンプルの採取ができず(採取できたのは0.23kgのみ)、スレイターは技術規則違反で失格となった。
ただ、フリー走行の失格は戦局に影響しなかった。スレイターは続く予選でさらにタイムを大きく縮め、1分45秒620を記録。母国イギリス、自宅から45〜50分の地で自身初のFIA F3ポールポジションを獲得すると同時に、トライデントにチームとして今季初となるポールポジションを捧げた。0.260秒差の予選2番手は今季開幕から3戦連続のポールを獲得し、ドライバーズランキング3位につけるテオフィル・ナエル(カンポス・レーシング)。0.261秒差の予選3番手にルイス・シャープ(プレマ・レーシング)が続いた。なお、予選後の会見ではフリー走行とは異なる風向きがタイムに影響したことが言及された。
ドライバーズランキング首位のウーゴ・ウゴチュクウ(カンポス・レーシング)は予選12番手となり、5日(土)に行われるスプリントレースのリバースポールポジションを獲得。首位スレイターから0.664秒差、12番手ウゴチュクウから0.066差の13番手につけた海夏澄が日本勢最上位。中村は15番手。加藤は16番手。山越はフリー走行で3番手と好位置につけるも予選は18番手となり、日本勢は4名とも予選でトップ12に入ることが叶わなかった。なお、今季日本勢が揃って予選トップ12を逃したのは、シルバーストンが初となる。
7月4日(土)に行われた18周のスプリントレースは上空に厚めの雲が漂うなか、気温19度、気温29度というコンディションでスタートを迎えた。リバースポールポジションのウゴチュクウが首位を守り、2番手にスリランカ国籍のイェヴァン・デイビッド(AIXレーシング)、3番手にアレッサンドロ・ジュスティ(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)と、上位勢はグリッド順でオープニングラップを終えた。
日本勢は13番グリッドの海夏澄が出遅れ18番手まで後退。中村が13番手、山越が16番手、加藤が17番手でオープニングラップを終えた。
前戦シュピールベルク終了時点で無得点/選手権32位というデイビッドは、ウゴチュクウのDRS圏内をキープして2番手を死守。5周目にウゴチュクウがファステストラップを更新する走りでデイビッドに1秒差をつけようと試みるが、デイビッドは1秒以内を守り続けた。
上位勢は均衡状態が続くなか、8周目のウェリントン・ストレートでDRSを使用したジェームズ・ウォートン(プレマ・レーシング)がターン7(ラフィード)でジュスティをかわし3番手に浮上。さらに8周目のターン15(ストウ)で6番グリッドスタートのノア・ストロムステッド(トライデント)がジュスティをかわし4番手に浮上。ペースが崩れたジュスティは次々と後続にかわされ後退することに。
ストロムステッドは10周目のターン10(マゴッツ)でウォートンをかわし3番手に浮上。さらにマッテオ・デ・パロ(トライデント/マクラーレン育成)もウォートンの間隙をついて4番手に浮上した。トライデント勢の追い上げは見事だったが、ストロムステッドとデ・パロは接触もある激しい3番手争いを展開。熱くなったデ・パロは14周目のターン6で鋭いブレーキングで仕掛けてきた11番グリッドスタートのナエルにかわされ5番手に後退する。
レース終盤、ウゴチュクウが2番手デイビッドに10秒のギャップを築く一方でデイビッド以下は8台ほどが団子状態となった。2番手デイビッドのディフェンスは見事で、3番手ストロムステッドはDRSを使ってもオーバーテイクには至らない。そんな団子状態の中、16周目のターン15でナエルがオーバーシュートし、デ・パロが4番手に返り咲く。
残り2周となった17周目、デイビッド攻略に手間取ったストロムステッドの隙をついたデ・パロが3番手に浮上。上位勢の攻防はファイナルラップの18周目まで続いた。ターン6で勝負に出たナエルがストロムステッドをパスし4番手に。あまりの独走ぶりで国際映像にほとんど映らなかったウゴチュクの17秒後方でデイビッドが2位チェッカーを受けた背後、ファイナルラップのターン17(ベール)〜最終ターン18(クラブ)でナエルがデ・パロをかわし3位を掴み取った。
選手権首位ウゴチュクウは今季2勝目。2位のデイビッドは初入賞が初表彰台となった。ナエルは8ポジションアップの3位表彰台。激戦を繰り広げたデ・パロが4位。ストロムステッドが5位。5番グリッドスタートのマチェイ・グラディシュ(ARTグランプリ)が6位。選手権2位で12番グリッドスタートだったスレイターは7位までポジションを上げた。日本勢は12位山越、13位中村、16位海夏澄、18位加藤となり、いずれもスプリントレースでは入賞には届かなかった。
7月5日(日)に行われたフィーチャーレースは当初22周を予定していたが、最終ターン18からターン1(アビー)にかけてオイルが溢れているという報告があり、セーフティカー(SC)先導で2周のフォーメーションラップを実施したことで、レース周回数は21周に減算された。
現地時間8時半という時間帯もあり気温17度、路面温度24度というコンディション。分厚い雲がシルバーストン上空を覆い尽くすなかフィーチャーレースはスタート。2番グリッドのナエルが抜群の蹴り出しを見せたが、ターン1でのサイド・バイ・サイドの末にポールシッターのスレイターが首位を死守。2番手ナエル、3番手シャープというグリッド順のままで2周目を迎えた。
ただ、5番グリッドからエルネスト・リベラ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)をかわし、1周目を4番手で終えたデ・パロが、2周目のターン16でシャープを攻略し3番手に浮上。さらにデ・パロの勢は止まらず、3周目のターン15でナエルを攻略し2番手に浮上した。これでスレイター、デ・パロのトライデント勢がワンツーを形成。そうして迎えた4周目のターン15でデ・パロはスレイターをかわし、ラップリーダーの座を掴んだ。
ハンガーストレートからターン15までの、2つ目のDRS区間でオーバーテイクを立て続けに成功させたデ・パロ。今度はDRSを使うスレイターからプレッシャーを受ける立場に変わり、7周目のターン15でスレイターが再び首位に返り咲く。残り10周となる12周目を迎えると、各車のタイヤの性能劣化が国際映像でも視認できる状況となり、総じてラップタイムも大きく下落する。そんななか、12周目のターン16でデ・パロがスレイターをかわし首位を取り戻す。
さらに、同じく12周目のターン15〜16にて4番手ウォートンが3番手ナエルに仕掛けるもオーバーテイクならず。トップ9台が3秒差のなかでターン17〜18の蹴り出しが出遅れたウォートンは、リベラ、マチェイ・グラディシュ(ARTグランプリ)にかわされ一気に6番手までポジションダウン。さらに、12番グリッドから7番手まで浮上したウゴチュクウのプレッシャーを受けることに。
各車が見応えのある駆け引きを展開するなか、残り4周となった18周目にリカルド・エスコット(AIXレーシング)がターン3でジェラード・シエ(ダムス・ルーカスオイル)と接触。ダメージを負ったエスコットはコース上でストップし、SC導入となった。
レースはファイナルラップの21周目にリスタートを迎えた。1周のスーパースプリントとなるなか、デ・パロはまずまずのリスタート。しかし、最初のDRS区間となるウェリントン・ストレートでトップ3台は0.3秒以内に収まる接近戦に。ストレートエンドのターン6でデ・パロはタイヤから白煙を巻き上げるなか、スレイターはナショナルピット・ストレートでデ・パロの背後に着くと、ターン9(コプス/旧ターン1)での攻略に入った。
ただ、ターン9に向けてデ・パロがイン側、スレイターがアウト側となるなか、2台はターン9で僅かに接触。アウト側のスレイターはコース外に飛び出し、その間にナエルが2番手に浮上。ターン10(マゴッツ)ではリベラとグラディシュ、ウォートンがスレイターをかわす展開に。6番手に下がったスレイターの背後には7番手/選手権首位ウゴチュクウが接近しており、選手権2位のスレイターにとっては絶対に抜かれてはいけない相手だった。
マクラーレン育成のデ・パロはターン16でタイヤから白煙を巻き上げるも首位を守り切って暫定優勝。2番手でナエルがチェッカーを受けたが、直後に10秒のタイムペナルティが下りナエルは15位に後退。リベラが暫定2位、グラディシュが暫定3位に繰り上がった。
しかし、FIA F3初優勝かと思われたデ・パロの車両はレース後の車検でディフューザーの最低高不足で失格に。さらに暫定2位リベラ、暫定4位ウォートンは、事前のドライバーミーティングでレースディレクターから指示された『ターン14とターン15の間にある橋を越えた後は蛇行運転禁止』に違反したとして5秒のタイムペナルティが下り、正式結果でリベラは10位、ウォートンは11位に後退した。
これで暫定3位のグラディシュが繰り上がりでFIA F3初優勝となり、同時にARTグランプリが今季初優勝を飾った。暫定5位のスレイターが正式結果で2位、暫定6位のウゴチュクウは正式結果で3位となった。
13番グリッドスタートの海夏澄は暫定9位でチェッカー。正式結果で6位(8点)となり、今季ベストポジションを更新した。暫定12位の山越は正式結果で入賞圏内の8位(4点)となり、日本勢は2名入賞。中村は15位、加藤は25位となった。
2026年FIA F3、次戦となる第6戦は2週間後の7月17〜19日にベルギーのスパ・フランコルシャンで開催される。
■2026年FIA F3第5戦シルバーストン 結果抜粋
●フリー走行
・1番手:エルネスト・リベラ(1分46秒319/カンポス・レーシング)
・2番手:マッテオ・デ・パロ(+0.054/トライデント)
・3番手:山越陽悠(+0.193/VAR)
・4番手:エンツォ・デリニー(+0.358/VAR)
・DQ:フレディ・スレイター(1分46秒161/トライデント/アウディ育成)
●予選
・1番手:フレディ・スレイター(1分45秒880/トライデント/アウディ育成)
・2番手:テオフィル・ナエル(+0.260/カンポス・レーシング)
・3番手:ルイス・シャープ(+0.261/プレマ・レーシング)
・4番手:エルネスト・リベラ(+0.286/カンポス・レーシング)
●スプリントレース
・優勝:ウーゴ・ウゴチュクウ(カンポス・レーシング)
・2位:イェヴァン・デイビッド(+17.023/AIXレーシング)
・3位:テオフィル・ナエル(+17.620/カンポス・レーシング)
・4位:マッテオ・デ・パロ(+17.750/トライデント/マクラーレン育成)
●フィーチャーレース
・優勝:マチェイ・グラディシュ(ARTグランプリ)
・2位:フレディ・スレイター(+0.908/トライデント/アウディ育成)
・3位:ウーゴ・ウゴチュクウ(+1.160/カンポス・レーシング)
・4位:ルイス・シャープ(+2.858/プレマ・レーシング)
●ドライバーズランキング(第5戦終了時点)
・1位:ウーゴ・ウゴチュクウ(104点/カンポス・レーシング)
・2位:フレディ・スレイター(86点/トライデント/アウディ育成)
・3位:テオフィル・ナエル(60点/カンポス・レーシング)
・4位:ノア・ストロムステッド(57点/トライデント)
●チームランキング(第5戦終了時点)
・1位:カンポス・レーシング(192点)
・2位:トライデント(150点)
・3位:VAR(113点)
・4位:ARTグランプリ(85点)
■2026年FIA F3第5戦シルバーストン 日本勢結果
●#10 加藤大翔(ARTグランプリ/HFDP)
・フリー走行:20番手
・予選:15番手
・スプリントレース:18位(16番手スタート)
・フィーチャーレース:25位(16番手スタート)
・ポイントランキング:10位(合計30ポイント)
●#12 りー海夏澄(ARTグランプリ)
・フリー走行:24番手
・予選:13番手
・スプリントレース:16位(13番手スタート)
・フィーチャーレース:6位(13番手スタート)
・ポイントランキング:20位(合計11ポイント)
●#14 山越陽悠(VAR)
・フリー走行:3番手
・予選:18番手
・スプリントレース:12位(18番手スタート)
・フィーチャーレース:8位(18番手スタート)
・ポイントランキング:9位(合計36ポイント)
●#25 中村仁(ハイテック/TGR-DC)
・フリー走行:10番手
・予選:16番手
・スプリントレース:13位(15番手スタート)
・フィーチャーレース:15位(15番手スタート)
・ポイントランキング:13位(合計24ポイント)
※掲載順はカーナンバーに準じる
■FIA F2:ハイテックの技術責任者「多くの点でフラストレーションの溜まる週末だった」
7月3〜5日にシルバーストン・サーキットで行われた2026年FIA F2第7戦は、シルバーストンに工場を置くハイテックにとってホームレースだった。しかし、「多くの点でフラストレーションの溜まる週末だった」という。
まず、走りはじめのフリー走行ではコルトン・ハータ(ハイテック/キャデラックF1テストドライバー)がコースサイドにマシンを止め、満足な走行ができなかった。フリー走行を14番手で終えた宮田莉朋(ハイテック/TGR-DC)は予選で9番手に入り、上位10台のグリッドが予選結果のリバースグリッドとなるスプリントレースのフロントロウを獲得。また、ハータはほぼぶっつけ本番の予選で15番手につけた。
しかし、土曜日のスプリントレースで宮田は終始ペース不足に悩まされ11位。ハータは接触もあり15位に終わる。日曜日のフィーチャーレースは宮田が14位、ハータが16位となり、ハイテックはここ5レースを無得点で終える結果となった。
ハイテックのFIA F2レースエンジニアリング責任者を務めるヤン・スーマンは、「多くの点でフラストレーションの溜まる週末だった。十分な速さを見せて戦えたにもかかわらず、それを目標としていた結果に結びつけることができなかったからだ」と振り返る。
「莉朋は2レースを通じて、与えられた条件を最大限に活かした。一方、コルトンは厳しい週末のスタートにも関わらず、最後まで戦い続けた。前向きに捉えられる点もあるが、次のラウンドに向けて改善すべき点がいくつかあることは明らかだ」
現時点でチームランキング8位につけるハイテック。9位のVARに6点差まで迫られている状況だ。今はただ1レースでも早く“強いハイテック”を取り戻すことを願うばかりだ。
■観戦場所に気をつけて。FIA F2とFIA F3でチームゲストにまつわるペナルティ下る
F1イギリスGPの週末、サポートレースに参戦する各チームもさまざまなゲストをレースの現場に招いている。通常のチケットでは入れないチームに近い位置から観戦するのは貴重な経験となるに違いない。ただ、ゲストの観戦場所にはゲスト本人だけではなく、チームも最大の注意が必要だ。
サポートレースのフリー走行と予選が行われた7月3日(金)、チームゲストの観戦位置に関連する違反で、FIA F2のMPモータースポーツ、FIA F3のARTグランプリにそれぞれ罰金のペナルティが下った。
FIA F2のフリー走行中、MPモータースポーツが使用するピットウォール・スタンドにチームゲストが着席していた。FIA F2では競技規則第22条12項において、セッション中のピットウォールへの立ち入りについて定義しており、各参戦車両につき3名のみとされている(該当者はピットウォール用の識別腕章の着用が義務)。さらに、その3名は車両の実務に携わるオペレーションスタッフに限る(チーム代表およびチームオーナーは本規則の適用外)。
審査委員会によると、このチームゲストはF1エクスペリエンスチームのスタッフからピットウォールに招待されており、そのことをMPモータースポーツのマネージャーは認識していなかった。チームゲストはF1エクスペリエンスから提供されたサーキットの中継解説が聞こえるヘッドセットを着用してピットウォール・スタンドに着席していたという。
この件はかなり特殊な事象だが、審査委員会は許可のない人物がピットウォール・スタンドに着席していた事実は競技規則第22.12条違反にあたるとして、MPモータースポーツに1,000ユーロの罰金を科した。ただ、「チーム側にスポーツ上の優位性を得る意図がなかったことを認め、本件の特殊な事情を考慮した結果、罰金を一部猶予する」とし、1,000ユーロのうち500ユーロは、シーズン中に同様の違反がないことを条件に支払いが猶予されるという裁定を下した。
そしてFIA F3の予選中には、ARTグランプリのチームゲスト2名がピットレーン作業エリアにいたことがオフィシャルに確認された。ARTグランプリの代表者は指摘を事実とし、判断の誤りを謝罪。チームに対し2,000ユーロの罰金が科された。審査委員会は「チームゲストのいた場所は潜在的に危険な状況を作り出し、チームゲストを危険にさらした可能性がある」という結論をまとめた。
チームは自らが招いたチームゲストの安全を守ることを忘れてはいけない。同時に、コースの間近で競技を観戦するチームゲスト自身も、自分の観戦場所が正しい位置なのか、危険な場所ではないかを今一度確認してから観戦するべきだろう。ピットレーンの作業エリアは安全が担保されている場所ではない上に、チームが支払う罰金は2,000ユーロ(36万9,117円/当日のレート)に及ぶのだから。
■F1アカデミー第3戦:ワイルドカードの16歳がシリーズの歴史を塗り替える
2026年F1アカデミー第3戦シルバーストンは衝撃的な幕開けとなった。今大会のワイルドカードとして、スイス出身の16歳キアラ・ベッティヒ(ハイテック/ウエラプロフェッショナル)がデビューを飾った。
ベッティヒはレーシングカートのスイス選手権において、OKジュニア部門で3年連続のチャンピオンに輝くなどの活躍もあり、レッドブルの若手発掘プログラムの『レッドブル・ドライバー・サーチ・プログラム』へ参加後の2025年8月、レッドブルの若手育成プログラム『レッドブル・ジュニア・チーム』のメンバーに選ばれた。2025年10月開幕のF4サウジアラビアで四輪レースデビューを飾り、2026年はイギリスF4を主戦場とし、レッドブルカラーの車両でシーズンを戦っている。
そんなベッティヒがフリー走行で2分02秒640という最速タイムをマーク。イギリスF4のシルバーストン戦で3位表彰台の経験があるとはいえ、F1アカデミー初の公式セッションで選手権首位のアリシャ・パルモウスキー(カンポス・レーシング/レッドブル)を0.2秒上回った。これはF1アカデミーでワイルドカードドライバーがセッションをトップで終えた初の出来事だった。
そして予選でもベッティヒの地位は揺るがず、ベッティヒがポールポジションを獲得。ワイルドカードドライバーによる史上初のポールポジションが実現した。予選2番手に0.177秒差のパルモウスキー。予選3番手にリサ・ビラード(ARTグランプリ/ゲータレード)が続いた。
土曜日に行われたリバースグリッドレース(決勝レース1)は予選上位8台がリバースグリッドとなり、予選8番手のエマ・フェルバーマイヤー(ロダン・モータースポーツ/アウディ)がポールポールポジションからスタート。2番手ニーナ・ゲイデマン(MPモータースポーツ/アルピーヌ)、3番手エラ・ロイド(ロダン・モータースポーツ/マクラーレン)と、上位争いはグリッド順で推移。そのままフェルバーマイヤーがトップチェッカーを受け、今季2勝目を飾った。
一方、ワイルドカードのベッティヒはスタートでポジションを2つ下げるも、6周目のターン6でアルバ・フルップ・ラーセン(MPモータースポーツ/フェラーリ)をパス。さらに9周目のターン15でメーガン・ブルース(カンポス・レーシング/タグ・ホイヤー)を攻略すると、8番手のポジションに復帰し、2ポイントを獲得した。
5日(日)に行われた13周のフィーチャーレース。2番グリッドから抜群の蹴り出しを見せたパルモウスキーがスタートで首位を奪い、2番手ベッティヒ、3番手ロイドというオーダーに。
そんななか、2周目のホームストレート(ハミルトン・ストレート)でラファエラ・フェレイラ(カンポス・レーシング/レーシングブルズ)とエラ・スティーブンス(ロダン・モータースポーツ/マクラーレン・オキサゴン)が接触。2台はリタイアとなりSC導入となった。
レースは5周目に再開するとターン9(コプス)で前日のリバースレース勝者であり、選手権2位のフェルバーマイヤーが3番手に浮上。さらに4番手にゲイデマンが浮上し、土曜日に首位を争った2台がここでも直接対決を繰り広げた。
7周目には、首位パルモウスキーと2番手ベッティヒの2台が後続に4秒以上のギャップを開き、2台だけの接近戦を展開。この2台は事実上『レッドブル・アカデミー・プログラム(F1アカデミー専門プログラム)』のパルモウスキーと『レッドブル・ジュニア・チーム(レッドブル育成として知られるプログラム)』のベッティヒの戦いでもあった。
19歳のパルモウスキーは四輪経験5年目であり、F1アカデミーはフル参戦2年目。現時点でポイントランキング首位でもある。金曜日のフリー走行、予選で注目の的になった16歳のワイルドカードを、今季F1アカデミーでタイトル候補のパルモウスキーは封じ続ける。
ベッティヒはパルモウスキーの後方1秒以内をキープするも、オーバーテイクには至らない。ふたりのペースはほぼ互角となるなか、0.8秒差でファイナルラップの13周目を迎えた。
ベッティヒは0.6秒まで迫るも、オーバーテイクには遠かった。2番グリッドからスタートで前に出たパルモウスキーがトップチェッカーを受けて今季3勝目を飾った。
この週末の話題の中心にいたベッティヒは2位という確かな結果を持ち帰った。ワイルドカード参戦で優勝というミラクルには届かなかったが、今後のレースキャリアが楽しみな存在に違いない。3位にはトップから9秒遅れながらフェルバーマイヤーが続き、この週末2度目の表彰式登壇を果たした。
2026年F1アカデミー、次戦となる第4戦は8月21〜23日にオランダのザントフォールトで開催される。
■FIA FREC第5戦:佐野雄城、予選2回目まで好調続くもレース2でストール
既報のとおり、7月4日(土)にハンガロリンクで開催されたFIA FRECの第5戦レース1でTGRドライバー・チャレンジ・プログラムの佐野雄城(R-ace GP)がポール・トゥ・ウインを飾った。その翌日の5日(日)、レース2のグリッドを決定する予選2回目と、30分+1周のレース2が行われた。
予選2回目でポールポジションを獲得したのは、レース1で佐野と優勝を争ったラシッド・アル・ダヘリ(R-ace GP/メルセデス育成)だった。佐野はアル・ダヘリと同じAグループに出走し、アル・ダヘリから0.248秒差のグループ2番手となると、レース2の3番グリッドを獲得。前日に引き続き、優勝を狙える好位置につけた。
ただ、レース2のスタート時に佐野の車両はエンジンストール。一気に29番手まで後退してしまった。ただ、佐野のペースは悪くはなく、オーバーテイクを連発すると18位でレース2を終えた。レース2はアル・ダヘリがポール・トゥ・ウインで今季3勝目を飾った。
4番グリッドスタートのアレクサンダー・アブハザバ(MPモータースポーツ)が暫定2位となるが、レースモード違反でペナルティを受け後退。これでエマヌエーレ・オリヴィエリ(R-ace GP)が繰り上がりの2位となり、R-ace GPがワンツーとなった。そして6番グリッドスタートからポジションを上げた中村紀庵ベルタ(プレマ・レーシング/ウイリアムズ育成)が繰り上がりで3位に続いた。
第5戦ハンガロリンクを終えて、アル・ダヘリが選手権首位に浮上。中村が選手権2位、故ダン・ウェルドンの息子で、アンドレッティ・グローバルの若手ドライバー育成プログラムの一員であるセバスチャン・ウェルドン(MPモータースポーツ)が選手権3位で続いている。また、初優勝を記録した佐野は選手権13位から8位に大きく浮上を果たした。
FIA FREC次戦となる第6戦は、7月17〜19日にフランスはル・キャステレに位置するポール・リカール・サーキットで開催される。
■大宮賢人が2連勝。台風接近で悪天候の週末に/FRJ第3大会もてぎ
6月27〜28日、FRJの2026年第3大会(第6戦〜第7戦)が栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された。17台(そのうちマスタークラスが9台)のエントリーを集めた第3大会だが、この週末の日本列島に台風7号・8号が接近。27日午前に予定されていた公式予選は悪天候が予想されたためキャンセルとなった。
予選キャンセルに伴い、第6戦のスターティンググリッドは、前日26日に行われた専有走行のベストタイム順。第7戦のスターティンググリッドは、専有走行のセカンドベストタイム順となり、第6戦は大宮賢人(PONOS RACING F111/3)が、第7戦は武藤雅奈(マツモトキヨシ TOM’S TGR-DC FR)がポールシッターとなった。
27日午後に行われた16周もしくは30分の第6戦決勝はスタートから大宮がトップをキープ。大宮が15周目に入ったところで最大競技時間の30分を迎え、大宮がポール・トゥ・ウイン。14秒590秒差の2位に洞地遼大(PONOS RACING F111/3)、そして3位に武藤が続いた。マスタークラスは総合9位の鳥羽豊(AIWIN F111/3)が制した。
第7戦が行われた翌28日も天候は雨となった。2番グリッドの大宮がスタートで抜群の蹴り出しを見せると、ターン1で武藤をパスしトップに浮上。さらに3番グリッドから洞地も2番手に続き、ポールシッターの武藤は早々に3番手に後退する。そこから大宮が後続を引き離す展開となったが、7周目のV字コーナーでYUKI(NILZZ Racing)がストップ。これでセーフティカー(SC)導入に。
11周目にリスタートを迎えると武藤が洞地をかわし2番手となる。ただ、その11周目のV字コーナーで鳥羽がスピンを喫し、一時マシンを止めたことで2度目のSC導入となった。ただ、幸い鳥羽はコースに復帰。2度目のSCは14周目に再開。この14周目走行中に最大競技時間の30分を迎えたため、この周がファイナルラップとなった。わずか1周のスーパースプリントとなるなか、大宮はトップを死守して今季3勝目となるトップチェッカー。第3大会を2連勝で終えた。武藤が2位、洞地が3位で続いた。マスタークラスは総合7位のアキタ(ACR Formula R)が今季6勝目を飾っている。
第3大会終了時点のポイントランキングは洞地と三浦柚貴(PONOS RACING TOM’S TGR-DC FR)の獲点が123点で並んだ。FRJ公式サイトのポイント表によると、暫定ランキング1位は洞地、暫定ランキング2位は三浦となっている。また、2連勝を飾った大宮は選手権3位に浮上を果たした。マスタークラスはアキタがランキング首位をキープしている。
次戦となる第4大会(第8戦〜第10戦)はスポーツランドSUGOにて、8月29〜30日に開催される。
●第6戦結果抜粋
・PP:大宮賢人(PONOS RACING F111/3)
・優勝:大宮賢人(PONOS RACING F111/3)
・2位:洞地遼大(PONOS RACING F111/3)
・3位:武藤雅奈(マツモトキヨシ TOM’S TGR-DC FR)
・マスタークラス優勝(総合9位):鳥羽豊(AIWIN F111/3)
●第7戦結果抜粋
・PP:大宮賢人(PONOS RACING F111/3)
・優勝:大宮賢人(PONOS RACING F111/3)
・2位:武藤雅奈(マツモトキヨシ TOM’S TGR-DC FR)
・3位:洞地遼大(PONOS RACING F111/3)
・マスタークラス優勝(総合7位):アキタ(ACR Formula R)
●ポイントランキング上位3名(第3大会もてぎ終了時点)
・1位/123点:洞地遼大(PONOS RACING F111/3)
・2位/123点:三浦柚貴(PONOS RACING TOM’S TGR-DC FR)
・3位/113点:大宮賢人(PONOS RACING F111/3)
[オートスポーツweb 2026年07月07日]