24年はVTuber卒業ラッシュ? カバーとANYCOLORのリスク対策をひもとく 2社で“真逆”の新人発掘方針

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2024年12月12日 12:11  ITmedia NEWS

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 企業所属のVTuberって激務なのでは──相次ぐVTuberの活動停止を巡り、ファンからそんな声が上がっている。11月末ごろから、カバーが運営するVTuber事務所「ホロライブ」所属タレントの活動休止や卒業が相次いでいるためだ。果たして、2024年は企業所属VTuberが活動停止を発表する件数が増えた1年だったのだろうか。


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 直近で話題となったのは、ホロライブ所属の沙花叉クロヱさんの発表だ。沙花叉さんは11月29日、25年1月26日をもって配信活動終了を発表。引き続きホロライブに籍は置くものの、配信活動やライブイベント、新規グッズの販売は行わないとした。この理由について、沙花叉さんは自身の配信で、カバーと自身の方向性の違いや稼働量が多いこと、ホロライブ以外でやりたいことが見つかったなどと説明していた。


 12月1日には、「ホロライブEnglish」所属のセレス・ファウナさんが卒業を発表。理由は沙花叉さんと同様、カバーとの方向性の違いとしていた。なお、同様の理由で卒業をしたのはこの2人だけではなく、8月に卒業した湊あくあさんも方向性の違いを理由に、同社を離れていた。


 ここまで紹介した3人以外にも、24年中には3人のVTuberがカバーを離れる、もしくは配信活動の終了を発表している。1月には夜空メルさんが、7月には緋崎ガンマさんがそれぞれカバーとの契約を解除しており、9月にはワトソン・アメリアさんが配信活動終了を発表。24年(5日時点)には計6人のVTuberがカバーでの配信活動終了を発表している。


 なお、23年中にカバーを離れたのは、VTuberグループ「ホロスターズ English」所属のマグニ・デズモンドさんとノワール・ヴェスパーさんの2人のみ。数字を見ると、確かに24年のほうがカバーを離れるVTuberは多かった。


●ANYCOLOR所属VTuberの離脱者数は?


 一方、カバーと並びVTuber業界のトップランナーとして、VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLORはどのような状況か。12月11日現在、24年中ににじさんじからは7人、英語圏向けグループ「NIJISANJI EN」からは5人、計12人がANYCOLORを離れている。


 にじさんじ所属VTuberの卒業理由として多く上がっているのは「他にやりたいことがあるから」という説明だ。その中には、ANYCOLORを離れ、個人VTuberとして“転生”(別デザインのキャラクターとしてVTuber活動を続けること)しているとうわさされる人たちもいるようだ。これは、カバーに在籍していたVTuberも同様である。


 余談だが、企業もタレントも両者納得で卒業するケースのみだったにじさんじに対し、NIJISANJI ENでは、Selen Tatsukiさんが2月に契約解除されている。理由は、度重なる契約違反などがあったとし、株主向けには「この契約解除による同社の業績に与える影響は極めて軽微である」と説明した。


 しかし、この文言が英語に訳され拡散され、海外コミュニティーなどで炎上。海外のVTuberファンを中心に「Selen Tatsukiさんのことを軽視している」など批判の声が上がり、同社の田角陸CEOが謝罪動画を上げる事態にもなっていた。


(関連記事:ANYCOLOR、代表の謝罪動画を公開 「にじさんじEN」巡る問題で【全文書き起こし、日本語訳あり】)


 なお、23年には、にじさんじからは13人、NIJISANJI ENからは3人がANYCOLORを離脱。昨対比でみると、離脱者する人は少なくなっているようだ。


●カバー「年間10〜15人規模の増員ペースは速すぎる」


 カバーとANYCOLORのような事業者にとって、VTueberの卒業は事業リスクの一つといえる。カバーは所属VTuberの離脱リスクについて、25年3月期第2四半期決算説明会にて「会社の競争優位性を強化し、会社と一緒にコンテンツを作っているからこそ実現できる利点を強めていくことが重要だと思っている」と、その対応策を回答している。


 カバーは自社の優位性について、デビュー当初から大きな注目を集められるブランドや、グローバルなファンコミュニティー、国内最大級のモーションキャプチャースタジオ、大規模ライブが開催できる制作体制などを挙げ、これらを今後も強化していく方針を示している。


 また、カバーの谷郷元昭CEOは新規VTuberの発掘について「そもそもコンスタントにタレントを投入していくことだけが正解とは考えていない」と説明。既存タレントのプロモーションに注力し、トップタレントとして売り出していくまでの循環を回していく方が、コンスタントなタレント投入よりも重要性が高いと考えを示した。


 「現状の年間10〜15人規模の増員ペースは芸能人の業界に比べて、ペースが速すぎると思っている。トップタレントを生み出していくに当たっては今後はこのペースを徐々に落としていく方が一人一人のタレントをしっかりと売り出せる可能性があるため、そのようにアジャストしていく必要があると思っている」(谷郷CEO)


 カバーが開催するオーディションでは多数の応募がある一方、所属タレント全体のポートフォリオを重要視しているという。例えば音楽やゲームなど、各セグメントに適したタレントの獲得に比重を置いている。また、同じグループ内でのカニバリゼーションも一定程度避けたいとし、適正量でポートフォリオを組みたいと述べている。


 これに対して、ANYCOLORが12月11日に発表した、25年4月期第2四半期決算説明資料では年平均10〜15%程度の新規デビューによるVTuber数の増加を計画していると明かし、カバーと真逆の考えを示している。


●カバーとは真逆──ANYCOLORの新人発掘方針は?


 ANYCOLORは、VTuber卒業リスクについて「当社事業の特徴として逃れられない点ではあるものの、実際は当社の売上は多くのVTuberに分散しており、特定VTuberへの依存によるリスクが顕在化する可能性は高くない認識」と説明。その上で「その他サポート体制の充実や、ライバーが望むような幅広い活動支援できる体制を充実させることで卒業などのリスクに対処する」と、おおむねカバーと同様の対応方法を述べている。


 しかし、その中期経営方針はカバーとは異なるようだ。ANYCOLORは「引き続きVTuberの育成・デビューに取り組むとともに、エコシステムの強化を通してVTuber1人当たりの収益を拡大」と方針を打ち出している。


 具体的には、年平均10〜15%程度の新規デビューによるVTuber数の増加計画や、VTuber養成プログラム「バーチャル・タレント・アカデミー」の取り組み強化を掲げ「長期的なファン層の拡大を目指した、今までに無い領域の個性豊かなVTuberの増員」を目指す。


 ANYCOLORはVTuber市場について「市場の売上は当社を含む上位2社が半分超を占めており、大手がインフラ面や既存コミュニティーの活用を通し、優位性を発揮し易い状況」と説明。既存コミュニティーを活用することで新人VTuberの垂直的な立ち上げや、複数人の同時育成・デビューが可能であるとしている。


 このような状況を踏まえ、コマース領域の企画を充実化して各VTuberのファンコミュニティーを拡大するとともに、マネジメントや企画担当のビジネス領域の従業員を増員。所属VTuberのスケジュール管理によって、機会損失を回避して販売機会を拡大する方針を示した。


 現在、カバーに所属するVTuberは87人(11月12日時点)、ANYCOLORは計166人(12月11日時点)。一方、従業員数はカバーが602人(11月12日時点)、ANYCOLORが493人(12月11日時点)となっている。“少数のVTuber”を大勢で支えるカバーと、“大勢のVTuber”を少数で支えるANYCOLORという様相である。


 VTuber業界のトップランナーとして、市場を席巻している2社だが、その方針にも違いが見えてきた。また、企業所属VTuberたちも、先のキャリアのためにさまざまな選択を取っている。このような状況下で、VTuberファンたちが求めるものは一体何なのか。企業とVTuber、ファンを取り巻く関係に今後も注目したい。



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  • 大代が今いないらしいな(笑)あのぶっ飛んだ動画好きだったのに(笑)ホロライブでは物足りない(笑)
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