画像提供:マイナビニュースAlbaLinkは5月9日、「老後の面倒は誰にみてほしいかに関する意識調査」の結果を発表した。調査は2025年4月23日〜25日、30代以上の男女500人を対象にインターネットで行われた。
○介護が必要になったときに老後の面倒をみてもらいたい相手
「介護が必要になったときに、老後の面倒をみてもらいたい相手」を聞いたところ、圧倒的1位は「介護施設の職員(60.0%)」だった。多くの人が「家族ではなく、介護スタッフにお世話になりたい」と考えていることがわかる。また、次ぐ2位の「自分でなんとかしたい(27.6%)」からも、できるだけ家族には負担をかけたくないという気持ちが読み取れる。
○1位「介護施設の職員」
1位「介護施設の職員」が選ばれた理由としては、「遠慮せずに介護を受けたい」「プロに任せることでの安心感」が挙げられた。コメントには、「他人のほうが遠慮しないで、気が楽だと思う」(30代/女性)、「義母の介護を目の当たりにしました。認知症とパーキンソンを併発したため、やはり家族によるサポートでは限界がありました。知識・経験のあるプロにお任せした結果、安心を得られ負担も軽減されました」(40代/女性)、「独身なので、身内や親戚に頼むことはできないと考えています。一定の年齢になったら、介護状態になることも考慮して有料老人ホームへの入居も考えなければと思っています」(50代/男性)などがあった。常識的な節度は必要になるものの、「お金を払って、サービスとして介護を受けている」と思うことで、遠慮なくやってほしいことを頼めると考える人が多いようだ。また、介護職として経験を積み、高齢者の身体や精神について豊富な知識をもっている人に任せることで、本人のみならず家族も安心できる。
○2位「自分でなんとかしたい」
2位「自分でなんとかしたい」と答えた人の背景には、「独身なので頼れる親族がいない」(30代/女性)、「単純に迷惑になるため、自分でどうにか対処したいからです」(40代/男性)、「人に自分の惨めな姿を晒したくないから」(60代以上/男性)という声がある。とくに入浴や排せつのサポートについては、「申し訳ない」「恥ずかしい」と感じる人も少なくない。介護してくれる人がいないため「自分でやるしかない」とする人もいるが、家族がいなくても介護サービスを頼ることはできる。そのため根底には、自立心が強く、介護されること自体に抵抗感を抱いているという理由があると考えられる。
○3位「配偶者」
3位は「配偶者」であった。配偶者に介護をお願いしたい理由としては、「安心するし頼みやすいから」(30代/女性)、「子どもはいなし、兄弟はいるけれど離れているから」(40代/女性)、「一番信頼しているし、自分のことを一番よくわかってくれているからです」(50代/男性)といったコメントが寄せられた。長く一緒に暮らしていて、配偶者を最も身近な人と考えている場合には、配偶者に介護を依頼することで安心できるとわかる。配偶者との関係が良好である場合には、安心できて、かつ現実的な選択肢と言える。
○4位「子ども」
4位は「子ども」だった。回答者のコメントには、「息子。男同士なので、遠慮なくいろいろと面倒をみてもらえるかと思っている」(30代/男性)、「配偶者がいないので。娘しか頼る人がいない」(40代/女性)、「娘が一番私の体調を気遣ってくれているので。ただ娘にも生活があるので、なるべく頼らないようにしたいです」(50代/女性)などが挙げられた。これらの声から、親子関係が良好であると、子どもに介護をお願いしやすいと考えられる。一方で、子どもにお願いしたい気持ちはあるけれども、負担や迷惑はかけたくないという人も。子どもに介護をお願いすることへの葛藤がある人も多いと推測できる。
○5位「訪問介護のスタッフ」
5位は「訪問介護のスタッフ」だった。選ばれた理由として、「施設に入りたいけど、介護施設はお金がかかるから」(30代/女性)、「相手も報酬を得て、こちらも対価を支払っている。仕事として介護されたほうが楽だから」(30代/女性)、「子どもも配偶者もいないし、姉妹もあてにならないから」(50代/女性)といったコメントが寄せられた。訪問介護スタッフも施設介護スタッフ同様に介護のプロだが、訪問介護は在宅介護を前提としており、訪問介護スタッフがいない時間帯は家族に世話されることを意味する。本音では在宅での介護を希望するものの、家族の負担を考慮して施設介護を選ぶ人もいるため、施設介護に比べて順位が低くなったと考えられる。また同サービスを選ぶ理由には、「施設入居はお金がかかる」といった経済的な観点も影響していると考えられる。
○介護が必要になったときに世話になりたくない相手
「介護が必要になったときに世話になりたくない相手」を聞いたところ、1位は「子ども(44.4%)」、2位は「配偶者(27.0%)」だった。
「配偶者や子ども・兄弟などと仲が悪いから」といった理由もあがったが、「娘です。娘には自分の幸せを優先してほしいので、私のことで面倒をかけたくないと強く思います」(40代/女性)、「配偶者です。老々介護になってしまうだろうし、無理をしてしまって思いつめる気質なので、負担をかけたくないです」(30代/女性)など、全体的には「家族に負担をかけたくない」という配慮を理由として挙げた人が多くなった。介護経験の有無に関わらず、多くの人が「介護は大変なことだ」という意識をもっていると推測される。
○理想の介護のかたち
「理想の介護のかたち」として最も多かった回答は、「早めに施設入居する(28.0%)」だった。2位「介護サービスによる在宅介護(25.6%)」と答えた人も多くなっている。施設であれ在宅であれ、多くの人が「プロによる介護」を望んでいる傾向が明らかになった。背景には「家族には介護の負担をかけたくない」「スキルのあるプロに介護してほしい」という気持ちがあるようだ。
○1位「早めに施設入居する」
1位の「早めに施設入居する」と回答した人のコメントには、「頭や身体がしっかりしているうちから施設に入って、みんなと楽しむ」(30代/女性)、「お金さえあれば施設に入って、家族に迷惑をかけたくない」(40代/女性)、「貯金の範囲内で、早いうちに施設に入ろうと思います」(50代/男性)などが見られた。
早めに施設に入るメリットとしてや、「しっかりしているうちに自分で施設を選べる」「施設での楽しみを見つけやすく、終の棲家だと思いやすい」「家族の負担が少なくなる」などが挙げられている。かなり高齢になってから生活環境が変わると、パニックになったりふさぎ込んでしまったりする人もいるが、自分で選んで納得した施設に早くから入居することで、このような状況を防ごうと考える人も多いとわかった。早めに施設入居するために、資金の準備にとりかかっているという人もいた。
○2位「介護サービスによる在宅介護」
2位の「介護サービスによる在宅介護」では、「訪問介護でなるべく家にはいたいと思う」(30代/男性)、「必要なサービスを利用し、在宅で最後まで過ごす」(40代/女性)、「訪問看護や訪問介護に来てもらい、時々ショートステイを利用」(50代/女性)といった声があった。住み慣れた自宅での生活を大切にしつつ、必要な支援だけを外部サービスに委ねるパターンである。完全な自立は難しくても、介護サービスを利用することで、「自分の生活リズム」「パーソナルな空間」「住み慣れた環境」を保ちながら暮らすことができる。
○3位「どこかのタイミングで施設入居する」
3位の「どこかのタイミングで施設入居する」では、「金銭的に余裕があれば、介護施設」(30代/女性)、「施設に入って、プロの人に24時間体制でみてもらいたいです」(40代/男性)、「介護施設に入り、週に1度くらい家族が会いに来てくれる感じがいい」(40代/女性)というコメントがあり、具体的なタイミングは決めていないものの、施設入居を検討している人も多いことがわかった。「自立が難しくなってきたら」「配偶者が亡くなったら」「資金が準備できたら」などのタイミングで、施設入居することになると考えられる。「早めに」「自分では生活できなくなったら」などはじめから入居タイミングを決めてしまうのではなく、柔軟性をもたせているとも言える。
○4位「何らかのかたちで在宅介護」
4位の「何らかのかたちで在宅介護」については、「なるべく家で介護されたい」(40代/女性)、「施設に入るのは嫌なので、介護が必要になっても、一生自宅にいたいです」(60代以上/男性)という意見があった。介護サービスを利用するのか、家族に介護してもらうのかまでは希望がないものの、「とにかく在宅で過ごしたい」という人もいる。施設入居への拒否感を抱いている人も多い。一方で、バリアフリー環境の不備や家族への負担など、現実的には困難という認識もあるようだ。
○5位「必要になったら施設入居する」
5位の「必要になったら施設入居する」には、「介護が必要になってから、施設に入りたい」(30代/女性)、「自分でどうしようもなくなったら、施設に入る」(40代/男性)、「自分で生活できるギリギリまで頑張って、ひとりでは何もできなくなったら施設に入る」(50代/女性)などの声があった。ぎりぎりまで在宅で過ごしたいという希望で、在宅志向の高いパターンだと言える。経済面や自由・慣れの面から早めの施設入居には抵抗がある一方で、「家族に大きな負担を強いることは避けたい」と考えていることが伺える。
○6位「あくまで自分で暮らす」
6位の「あくまで自分で暮らす」と答えた人からは「介護が必要になる前に命が尽きるか、介護が必要にならないよう健康で元気にぽっくりと死にたい」(30代/女性)、「介護が必要となっても、介護用品を駆使して暮らせたらと思っています」(40代/男性)、「介護を受けないであの世に行くのが理想です」(50代/男性)という回答があった。これは、「そもそも介護を受けずに暮らしたい」という、自立志向の強いケース。背景には「介護=周囲の負担」「介護されること=恥・自尊心が傷つく」といった強い感情があると推測できる。
○7位「介護付き住宅で暮らす」
7位の「介護付き住宅で暮らす」では、「介護付きの小規模な住まいで、信頼できる介護スタッフと穏やかな日常を送ること」(30代/男性)、「介護付き住宅。できることは自分でやりたいけど、ストップがかかったりできないと思ったりしたことは手伝ってもらうのが理想です」(30代/女性)、「介護付きマンションのような施設に、身の回りのものを減らして入居したい」(40代/女性)といった意見がみられた。特養のようないわゆる「介護施設」ではなく、「バリアフリーや介護サービスが充実している高齢者向けの住宅」で暮らしたいという希望である。このような住宅は比較的自立度の高い高齢者を対象にしており、必要に応じて介護サービスを契約・利用する。そのため介護付き住宅を希望する理由としては、「自立」と「安心」を両立できることが挙げられた。(Yumi's life)