
この時期のスイセンはまだ花が咲いていないため、ニラと非常によく似ています。ニラとスイセンは、葉の形状が似ているため、特に花が咲いていない時期には見分けがつきにくいのです。
スイセンを誤食すると、食後30分以内に吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器系の症状が現れます。重症化することはあまりないとされていますが、大量に摂取した場合や、体質によっては注意が必要です。
頭痛、発汗、脱力感、けいれんなどの神経系の症状や、不整脈、血圧低下などの循環器系の症状を引き起こすリスクもあります。
ニラとスイセンの見分け方……最も分かりやすい違いは「匂い」
スイセンは、リコリン、ガランタミンなどのアルカロイドを含んでいます。きれいな花からは想像しにくいかもしれませんが、れっきとした有毒植物です。葉だけでなく、茎、花、種子など植物全体に毒性があります。
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■匂いの違い
最も見分けやすいのは匂いです。ニラには、一般的に「ニンニク臭」と言われるような硫化アリル由来の特有の強い匂いがあります。この匂いは葉を揉むと、より強く感じやすくなります。スイセンには、この特有の匂いがありません。
■葉の形状の違い
スイセンの葉は、ニラに比べて幅が広く、厚みがあって硬いです。断面はV字型をしています。
■根の違い
ニラの根はひげ根ですが、スイセンは球根です。
過去には、民間の子育て支援施設の職員が譲り受けた「ニラ」を給食に提供したところ、実は有毒なスイセンで、園児が下痢や嘔吐などの食中毒症状を呈した事故もありました。農作物直売所で販売されていた「ニラ」が実はスイセンで、酢みそ和えにして食べた人が食中毒症状を呈した事故例もあります。
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ニラとスイセンを誤食しないために、自分でできる対策法・注意点
ニラを収穫する際は、必ず匂いを確認しましょう。また、家庭菜園をしている場合、ニラと観賞用のスイセンを近くに植えないようにするといった工夫も大切です。食用と確実に判断できない植物は、決して採ったり、食べたり、人にあげたりしないでください。もし誤って食べてしまい、体調に異変を感じた場合は、すぐに医療機関を受診し、摂取した植物の種類と量を医師に伝えましょう。
平井 千里プロフィール
メタボ研究を行いエビデンスに則ったダイエットを教える管理栄養士。小田原短期大学 食物栄養学科 准教授。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。前職の病院での栄養科責任者、栄養相談業務の経験を活かし、現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養の基礎を発信している。(文:平井 千里(管理栄養士))
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