
長崎県で30代の妊婦が「オウム病」で死亡した疑いがあることがわかりました。鳥を飼っていなかった女性が、なぜオウム病に感染したのでしょうか。
鳥を飼っていない妊婦が「オウム病」で死亡「オウム病」という聞き慣れない病名。
オウム病クラミジアという病原体により、人と動物が共通で感染します。
感染すると、1〜2週間の潜伏期間の後、突然、38℃以上の熱やせき、全身の倦怠感、頭痛など、インフルエンザと似た症状が現れます。
重症化すると呼吸困難・意識障害をおこし、死に至ることもある病気です。
主な感染経路は2つ。オウムやインコなどに口移しでエサをあげたり、フンに含まれた菌を吸い込んだりすることで感染します。
長崎県の30代の妊婦も、発熱や呼吸困難、意識障害などの症状があったと言います。医療機関を受診したものの、その後、死亡したということです。
しかし、死亡した女性は鳥を飼育していませんでした。
では、どのように感染した可能性があるのでしょうか。
人獣共通感染症に詳しい 福士秀人 岐阜大学名誉教授
「出かけているときに、オウム病クラミジアという病原体が鳥のフンに出されるので、それが風などで飛ばされて、オウム病クラミジアを含んだ塵や埃を吸い込むことで感染するというのは、十分に考えられると思います」
では、どんな鳥から感染するのでしょうか。
人獣共通感染症に詳しい 福士秀人 岐阜大学名誉教授
「どの鳥でもオウム病クラミジアを持っている可能性はあります」
鳥を飼育しなくても、ハト、スズメ、カラスなど、どんな鳥からでも感染する恐れがあるといいます。
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人獣共通感染症に詳しい 福士秀人 岐阜大学名誉教授
「ヒトヒト感染は、非常にまれにしかないです。妊婦さんの事例では家族内発生は見られていません。他のオウム病でも家族内発生はほとんど見られていないので、ゼロではないけども、ごくまれだと考えていただきたい」
このオウム病は5月にも、茨城県で6年ぶりに感染が判明。
感染した男性も鳥は飼っていませんでしたが、職場の室内にハトがたびたび侵入していたということです。
また、福岡県でも6月、7年ぶりにオウム病患者の報告が…
感染した原因は、マスクをせずに、ハトのフンを掃除したことだとみられています。
人獣共通感染症に詳しい 岐阜大学 福士秀人 名誉教授
「掃除をする前に、例えば霧吹きなどで湿らせてほこりが出ないようにして片付けたり、窓開けて風通しを良くした中で掃除する。
マスクや手袋をして、終わった後もうがいするなど、いろいろ注意していただくことが非常に大事だと思います」
日比麻音子キャスター:
「オウム病」の症状は、高熱・咳、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛など、インフルエンザに似ているということです。治療としては、抗菌剤の投与で治すことができます。
しかし、免疫力が低い妊婦さんや高齢者などは重症化するリスクがあります。診断が遅れると死亡する場合もあるわけです。
では、どんな対策ができるのでしょうか。
鳥を飼っている人は、「鳥カゴをこまめに掃除」「触った後は手洗い・うがい」「口移しでエサを与えない」ようにしてください。
野外での注意としては、「鳥との接触を避け、むやみに触らない」こと。
鳥のフンが多くあるところに行ったときも、手洗い・うがいをしましょう。
そして、受診する際には「鳥を飼っていること」や「鳥に触れたこと」などを申告することで、オウム病の早期発見に繋がっていきます。
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