LMGT3クラス優勝を祝うリヒャルト・リエツ(左)とライアン・ハードウィック(右) 6月14日から15日にかけて、フランスで開催された『第93回ル・マン24時間レース』においてLMGT3クラス優勝を勝ち取ったマンタイ・ファースト・フォーム。同チームでライアン・ハードウィック、リカルド・ペーラとともに92号車ポルシェ911 GT3 Rのステアリングを握ったリヒャルト・リエツは、マンタイとともに2年連続で勝利の美酒を味わった後にSportscar365の取材に応じ、自身がドライバーキャリアの引退を検討していたことを明かした。
リエツ、ハードウィック、ぺーラの3人がドライブした92号車ポルシェは、LMGT3クラスでレースの大半をリードし、同一クラスの2番手マシンに30秒以上の差をつけて優勝した。
41歳のリエツにとって、今回の勝利はル・マン24時間の“GTクラス”において、2007年、2010年、2013年、2022年、2024年に続く6度目を数える。注目すべきは、直近の4勝すべてにポルシェを知り尽くすマンタイと関連している点だ。2013年と2022年の勝利の際、マンタイは当時のLMGTEプロクラスでポルシェのファクトリーチームを運営していた。
2022年末にそのプログラムが終了したあと、リエツはWEC世界耐久選手権から1年間離脱し、その後マンタイが新たに立ち上げたLMGT3プログラムに参加することとなった。そして彼はヤッサー・シャヒン、モーリス・シューリングとともに自身5度目のル・マン優勝を飾り、先週の日曜日にその快挙を再現して見せたのだ。
レース後の記者会見で、リエツはマンタイが彼をLMGT3プログラムに加えるよう働きかけてくれたことに感謝の意を表した。彼はその時期に、ドライバーとしてのキャリアを引退するかどうかを考えていたという。
「まず前提として、ル・マンで6回も勝つにはかなり年齢を重ねなければならない。それが問題だ」とリエツは語った。
「しかし、僕は幸運にも、ポルシェとともにここで19回目のスタートを切ることができた。とくに2007年以降は、つねにファクトリードライバーとしてほぼ毎年出場してきた」
「僕はル・マンに愛されていると思う。こうして6回目の優勝を達成したのだからね。しかも、今回は初めての連覇だ」
「2024年の初め、マンタイは僕のことを信頼してLMGT3のオファーをくれた。一方の僕は自分のドライバーキャリアの終盤に差し掛かり、引退を考えていた。そんなときに彼らは戻ってくるよう言ってくれたんだ」
「その結果、2年後となったいま、さらに2回のル・マン優勝を挙げることができた。彼らが僕を呼び戻し、信頼とチャンスを与えてくれたことに感謝している」
このオーストリア人ドライバーは、今年の勝利につながったカギを挙げるととともに、自身がWECでレースをする理由を次のように述べた。
「ライアン(・ハードウィック)とリッキー(リカルド・ぺーラ)というチームメイトに出会えたことを含め、今年は本当に幸運に恵まれたと思う。セーフティカー(SC)が少なく、ほぼグリーンフラッグの下レースで行われた。過去のル・マンの精神に似たレースだった」
「僕たちのマシンは速かった。最終盤のトリプルスティントにおけるタイヤパフォーマンスは本当に驚異的だったと言わざるを得ない。あれが勝利へのカギだったよ」
「ライアンも本当に素晴らしいラップタイムを記録してくれたし、それがSCによって妨げられることがなかった点も重要だ。これがWECでレースをする理由のひとつであり、アメリカ(IMSAのレース)ではなくここを選ぶ理由だと思う」
[オートスポーツweb 2025年06月19日]