電動モビリティーのシェアリングサービスを手掛けるLuupは3月25日、GPSで取得した位置情報を使い、危険運転対策を強化すると発表した。同社の岡井大輝CEOはメディア向け説明会で「事故増加は事実」と認め、逆走、逆側歩道の走行、電動キックボードなどでの走行が禁止されている場所での利用を、位置情報を基に検知し、危険運転を確認した場合はペナルティーを課す方針を示した。
【画像を見る】水道メーターがあるにもかかわらず一部電動キックボード置き場にしていたことでSNSで物議に
一連の施策は、4月下旬に東京都内でスタート。走行禁止区域における利用の検知は代々木公園や新宿御苑トンネルなど8カ所で、逆走などの検知は山手通りの一部など都内8カ所で実施し、いずれも順次拡大する。
危険走行などを確認した場合、まず同社のオペレーターが確認し、前後の移動情報などを加味して対策の要不要を判断。必要な場合はメールなどでの警告や、利用停止措置を取る。ただし対応はリアルタイムでなく、数日程度を要する想定という。
利用を開始したばかりのユーザーに求めている、安全テストの内容も変更する。出題数を11問から14問に増やし、出題順をランダムに。既存ユーザーも新テストに合格しなければ、6月1日からサービスを利用不可にする。新テストは5月1日から展開する予定。
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電動モビリティーを駐車するポートの設置基準も見直した。「ここ数カ月のご指摘を踏まえる」「当社の基準が一部不十分だった」として、ポートの近くに消防関連設備や水道メーターが存在する場合は、利用を妨げない形で設置することを規則化。既存のポートも全て再点検済みで、新基準に反しているものを是正している最中という。
進入禁止地区を事前に告知する新機能も、6月中にスマートフォンアプリに追加する。利用者が電動キックボードに乗る前などに、アプリ画面を通して、進入禁止地区を表示し、誤進入を防止するという。対象エリアは都内の公園や高速道路の入り口などで、こちらも順次拡大する。
飲酒運転対策についても方針を明かした。今回発表した施策は飲酒運転対策を主眼に置いたものではないものの、2023年末から一部で実施している、モビリティーの展開エリア内に警備員を配置するといった検証を継続する他、検知技術への投資を進め、状況の打開につなげたいとした。
「足元の短期的な売上よりも、中長期的な安全を提供することが圧倒的に重要であることを社会に示すために対策を取る。中長期的に街の方から愛されるサービスにしたい」(岡井CEO)
Luupなどが提供する電動キックボードを巡っては、ユーザーによる飲酒運転や危険運転が相次ぎ、社会問題化している。特にLuupは、消防用設備などを利用しにくくするような形で設置されたポートがSNSで問題視されており、同社に対し安全対策の強化を求める声が強まっていた。
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