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JAXAは5月15日、小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」の運用の終了したと発表した。今後、イカロスの追跡は行わない。
イカロスは2010年5月に「H-IIAロケット17号機」によって金星探査機「あかつき」と相乗りで打ち上げられた“宇宙ヨット”。ソーラーセイル(太陽帆)だけで宇宙空間を航行するアイデアは100年程前からあったというが、実際の航行に世界で初めて成功したのがイカロスだった。
ソーラーセイルは、薄い帆に太陽電池を貼り付け、この電力を用いてイオンエンジンを駆動する仕組み。イカロスは14m四方のセイルを展開し、実際に発電し、加速や軌道制御などソーラーセイルによる航行技術をもたらした。
しかし11年12月には搭載していた推薬がほぼ枯渇。12年1月以降は、電力低下により機器がシャットダウン状態になる「冬眠モード」と“冬眠明け”を繰り返していた。
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15年5月に5回目の冬眠モードに入って以降、イカロスの電波は受信できていない。JAXAは、今後イカロスの電波を受信できる可能性は極めて低いと判断し、運用の終了を決定した。
当初の設計寿命である180日を大きく超えて活動を続けたイカロス。ソーラーセイルに関しては、超小型ソーラーセイルによる姿勢・軌道統合制御実証「PIERIS」の開発など、イカロスの成果を継承するプロジェクトがいくつも進んでいる。
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