オンラインで記者会見するSUBARUの大崎篤社長=14日 自動車大手7社の2026年3月期連結業績予想が14日、出そろった。トランプ米政権の関税措置によるマイナス影響が営業利益ベースで数千億円規模に上るケースが続出。円高や市場の競争激化も重なり、トヨタ自動車など4社が純損益の減益を見込み、日産自動車など3社は関税影響を算定できないとして公表を見送った。
「何も策を講じなければ結構な利益が飛んでしまう」。14日に決算を発表したSUBARUの大崎篤社長は年度を通じた関税影響が25億ドル(約3700億円)に上ると明らかにした上で、対策に努める考えを強調した。
トヨタは、4、5月分だけで営業利益を1800億円押し下げると試算。米国で乗用車を販売していないスズキも「米関税はグローバルな問題。景気後退はある程度覚悟しなければいけない」(鈴木俊宏社長)として、400億円の減益につながるとみる。
こうした見通しを踏まえ、各社はコスト削減や米国内の工場の有効活用などで影響を最小限に抑える方針。ホンダは当初想定の6500億円から2000億円程度を圧縮できると試算し、中期的には価格改定や米国での設備投資拡大を検討する。
日産は中国や米国での販売不振に関税が追い打ちをかけ、売上高以外の業績予想を「未定」とした。今後、国内外の7工場の閉鎖と全従業員の15%に相当する2万人を削減することで、高コスト構造からの脱却を目指す。
同時に発表した25年3月期連結決算はトヨタなど5社が減益で、日産は6708億円の赤字(前期は4266億円の黒字)に転落した。スズキは日本や中近東での販売が好調で、唯一増益を確保した。

決算会見で、記者の質問に答えるトヨタ自動車の佐藤恒治社長=8日、東京都中央区