「食の外交官」報酬1.5倍に=住居も配慮、時代の変化反映―公邸料理人確保へ待遇改善

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2025年05月17日 14:01  時事通信社

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時事通信社

在カンボジア日本大使館で公邸料理人を務める伊沢宗之さん(同大使館提供)
 外務省が大使館など在外公館に勤務する「公邸料理人」の待遇改善に乗り出した。近年の人材難を踏まえ、報酬を従来のおおむね1.5倍に増額。大使ら公館長と私的に雇用契約を結ぶ「古めかしい」形態を改め、働きやすさを優先して住居にも配慮する。

 こうした内容を盛り込んだ新たな制度の下で7月に募集を始め、来年1月から適用する。

 各都市にある大使館や総領事館、政府代表部は合計200以上。公邸料理人は現地政府の要人を招く大使ら主催の会食やレセプションのメニューづくり、食材調達、調理を一手に引き受ける。日本政府は和食を魅力発信の「ソフトパワー」と位置付けており、料理人は「食の外交官」として最前線で腕を振るう重責を担う。

 現在、カンボジアの首都プノンペンで大使公邸料理人を務める伊沢宗之さん(56)は、「不自由な環境の中で知識と経験を最大限に駆使できるのが魅力。ぜひ挑戦してほしい」と未来の後輩に向かって呼び掛ける。

 ところが、最近はなり手不足が深刻化。外務省によると、十数の在外公館で料理人が不在になっている。ある大使経験者は「パーティーの集客力に響き、他国との競争にも影響する」と表情を曇らせた。

 現役の公邸料理人や内定辞退者を対象に実施したアンケート調査では、任期が公館長に準ずる点や公館長との交渉で報酬額が決まる点など不安定な待遇に不満の声が上がった。OBの一人は「大使との人間関係に疲れた」と語った。

 近年の和食ブームで日本人料理人の獲得競争が激しくなり、志願者数も減少した。外務省は状況を変えるため、公邸料理人の任期を「原則2年」と定め、シェフとしてのキャリア形成に配慮。雇用形態を在外公館との公的な委託契約に切り替えるとした。

 報酬面では赴任先の生活手当や繁忙期の追加手当を整え、配偶者の同伴手当を新設。改定後は最低ラインで年間600万円となる。

 住居面も現代の感覚に合わせる。これまで公邸への同居が原則だったが、民間の賃貸住宅を借りることも可能にし、新たに手当を設ける。

 岩屋毅外相は13日の記者会見で、「優秀な料理人を確保し、日本の外交基盤を一層強化していきたい」と待遇改善の意義を強調した。 

料理を盛り付ける在カンボジア日本大使館公邸料理人の伊沢宗之さん(同大使館提供)
料理を盛り付ける在カンボジア日本大使館公邸料理人の伊沢宗之さん(同大使館提供)

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  • 無能政治屋の給料削ってもっと増額してあげてよ。
    • イイネ!7
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