原告2割超が死亡=各地の生活保護訴訟、長期化で―引き下げ是非、27日に最高裁判決
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2025年06月22日 07:31 時事通信社

国が2013〜15年に生活保護基準額を引き下げたのは違法だとして、全国の受給者らが減額処分取り消しなどを求めた訴訟で、6月上旬までに原告232人が亡くなっていたことが21日、各地の弁護団への取材で分かった。原告は最大1000人余りで、その2割超に相当する。
原告には高齢者や病気を抱えている人も少なくなく、提訴から約10年の長期訴訟となっていることが要因とみられる。弁護団は「保護費減額で親しい人との交流機会が減った結果、健康に悪影響が生じ、亡くなる例もあるのではないか」と指摘している。
27日には先行した大阪、愛知の2件の訴訟の上告審判決があり、最高裁で統一判断が示される見通し。原告側が勝訴すれば各地の訴訟も同様の結論となる可能性が高いが、亡くなった受給者の救済はかなわないことになる。
弁護団への取材によると、各地の訴訟で死亡者数が最も多いのは北海道の35人(最大原告数153人)で、次いで福岡27人(同118人)、広島21人(同63人)。埼玉、三重、滋賀、和歌山、広島、佐賀、沖縄では亡くなった人が3割を超えた。大阪、愛知の訴訟でもそれぞれ13人(同53人)と3人(同21人)が死亡している。
訴訟は全国29都道府県の裁判所に計31件起こされ、地裁段階では原告勝訴が20件、敗訴が11件。高裁段階は勝訴7件、敗訴5件となっている。一連の訴訟は14〜18年に起こされたが、国側は争う姿勢を維持しており、終結した訴訟はない。
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