
ナフサ不足であらゆる現場から悲鳴が上がっていますが、政府はこれを“目詰まり”と言っています。一体何が起きているのでしょうか。
ナフサの“枝分かれ”の末端で何が…政府が指摘する「目詰まり」の正体身の回りにある様々なものの原料となっているナフサですが、ガソリンや軽油、重油などと同様に原油から精製されます。そのナフサはさらに分解され、重さによって様々な「基礎化学品」に分かれます。
そして、それぞれが化学反応を経て「石油化学誘導品」と呼ばれる物質になり、さらに加工されることで、様々なプラスチック製品や合成ゴム製品になったり、洗剤になったりしますが、今回問題になったインクの溶剤は「誘導品」の一種なんです。
原油から作られたナフサが枝分かれしていく中で、末端部分などで供給不足が生じていて、その原因を政府は「目詰まり」と呼んでいるわけですが、具体的にはどういうことが起きているのでしょうか。
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そもそも、原油から精製される液体のうち、より高く売れるのはガソリンで、今では1リットル200円を超えています。
それに対し、ナフサは価格が上昇する前で65円ほど。今の精製システムでは、儲かるガソリンを最大限作れるようにしていて、原油の30%ほどはガソリンとなり、ナフサは10%ほどしか作らない仕組みなんです。
また政府は、ガソリンについては販売価格を170円程度で維持するため、1リットルあたり42円ほどの補助金を出していますが、ナフサには補助金がありません。
石油を精製して売る現場からすれば、ガソリンは利益が出やすいので、ガソリンの生産を抑えてでもナフサの生産を増やそうという動機づけが働かないのです。
全体量確保も…業界により「必要な形のナフサ」足りずそして、政府がナフサの在庫として数えているのは、おおもとの液体のナフサだけではありません。
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ナフサから分かれた「エチレン」や「プロピレン」は、化学反応を経て「ポリエチレン」や「ポリプロピレン」になり、3ミリほどの粒状にした固体「ペレット」に加工されます。その「ペレット」がプラスチックの材料となります。
実はこの「ペレット」も在庫に含まれているのですが、ここからインクの溶剤などにはならないのです。
つまり政府が言うように、ナフサ全体の量が確保されていたとしても、業界によっては「必要な形のナフサ」が足りない、ということも起こるのです。
大口の顧客優先で小口顧客に対する出荷制限 “しわ寄せ”が中小企業の負担となる懸念また、サプライチェーンの専門家、未来調達研究所・サプライチェーンコンサルタントの坂口孝則さんは「樹脂・溶剤・シンナー・接着剤などの製品では、在庫量が限られるなかで大口の顧客が優先され、小口顧客に対する出荷制限・値上げなどが起きている」と言います。
例えば、3缶以下の注文には割増の配送料を設けて、小口顧客のコストだけが上がる仕組みなどがあるそうなんです。
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帝国データバンクの試算でも、ナフサ関連製品の調達リスクに直面する可能性がある製造業の9割が資本金1億円未満の企業だとされ、供給不足のしわ寄せが中小企業の負担となる懸念が浮き彫りになっているのです。
