手塚治虫が手掛けた「海底超特急 マリン・エクスプレス」のキャラクターデザイン=5月22日、埼玉県新座市(C)手塚プロダクション 日本初の連続テレビアニメ「鉄腕アトム」などで知られる漫画家、手塚治虫(1928〜89年)の手掛けたアニメ原画や絵コンテなどの未公開資料が、手塚プロダクション(東京都新宿区)に複数残っていたことが7日、分かった。資料のアーカイブ化を進める手塚プロが取材に応じた。
手塚は数々の商業アニメをヒットさせてアニメ産業の基盤を作り、晩年まで精力的に制作を続けた。そうした過程が伝わる貴重な資料で、常に試行錯誤しながら新しい表現を追求した姿が浮かんでくる。
今回明らかになったのは、手塚が手掛けた原画や絵コンテ、キャラクターデザインなどで、アニメ作品の「素材」に当たる資料だ。全7巻の「手塚治虫絵コンテ大全」(99年)などに未収録だった。漫画連載で多忙な中、原案から作画、演出まであらゆる工程に直接携わったことが見て取れる。
配色やキャラの描き方を細かく記した指示書きからは、多数のスタッフが関わったことが伝わる。未発表作のプロットや構想を固めるストーリーボードなどは、制作過程でさまざまなアイデアがあったことを裏付ける。
手塚プロは2022年から文化庁の補助事業でアニメ資料のアーカイブ化を進めている。今年3月までに13万枚のデジタル化と補修が完了した。
手塚は63年放送開始の「鉄腕アトム」で、作画枚数を減らしてコストと制作期間を抑える画期的な手法を導入。最高視聴率40%と空前のヒット作になり、「毎週1話30分」「連続シリーズ」「人気漫画が原作」を定着させ、その後の日本アニメの方向性を決定づけた。
手塚アニメに詳しいデジタルハリウッド大の津堅信之特任准教授はアーカイブ化の意義を強調した上で、「現在まで続く毎週30分のテレビアニメ形式は世界でも極めて珍しい。複雑なストーリーやキャラクターの感情を表現する土台になり、日本アニメの独自性につながった」と話している。
今回明らかになった手塚の原画や絵コンテなどを収録した「手塚治虫アニメーションアート・アーカイブス」は玄光社から17日に発売される。

手塚治虫が手掛けた「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」のキャラクターデザイン=5月22日、埼玉県新座市(C)手塚プロダクション

手塚治虫が手掛けた「銀河探査2100年 ボーダープラネット」の絵コンテ=5月22日、埼玉県新座市(C)手塚プロダクション

手塚治虫が執筆したイメージボードと手塚プロダクションの飯渕宏美さん=5月22日、埼玉県新座市(C)手塚プロダクション