「給付と負担」こう変わる=年金改革法案

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2025年05月17日 07:31  時事通信社

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時事通信社

 政府が16日に閣議決定した年金制度改革関連法案は、厚生年金に入るパート労働者の範囲拡大策や「年収の壁」対策などの項目が盛り込まれた。中小・零細企業で短時間働く人の年金額が手厚くなる半面、企業側では新たな保険料負担が生じる。一方、「目玉」になるはずだった将来世代の基礎年金底上げ策は自民党内の慎重論を受け、削除された。

 〔厚生年金の加入拡大〕給付が手厚い厚生年金に入るパート労働者らを増やすため、加入要件を緩和する。現行で「従業員51人以上」となっている企業規模要件を段階的に引き下げ、2035年10月に撤廃。パートらに保険料負担が生じる「年収106万円以上」の賃金要件もなくす。「労働時間週20時間以上」の要件は残す。これらの見直しで約180万人が新たに厚生年金へ加入する見通し。

 個人事業所では現在、5人以上のフルタイム相当の従業員がいても金融など17業種しか適用されないが、29年10月以降に新規開業する場合は飲食など全業種に対象を広げる。

 〔企業の保険料肩代わり〕厚生年金保険料の負担によるパート労働者らの手取り減少を緩和するため、企業側の保険料負担を増やす特例制度を導入。国が決めた割合で保険料負担を本来の50%から上乗せする。26年10月から3年間の時限措置で、対象は50人以下の企業と一部の個人事業所で働く年収156万円未満のパートら。企業側が保険料を多く肩代わりした分は全額還付する。

 〔働く高齢者の年金減額見直し〕一定の収入を得て働く65歳以上の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」について、年金の減額が始まる基準額(賃金と厚生年金の合計)を25年度の月額51万円から62万円に引き上げる。高齢者の就労意欲を高め、企業の人手不足解消につなげる狙い。26年度から実施する。

 〔保険料の上限アップ〕収入が高い会社員らが納める厚生年金保険料の上限を引き上げる。保険料を計算する基礎となる「標準報酬月額」の上限を現在の65万円から75万円へ上げる。高所得者が将来受け取る年金額も増える。27年9月から段階実施する。

 〔遺族年金見直し〕子のない夫婦が死別時に受け取る遺族厚生年金に、受給条件の男女差があるため、受取期間を男女とも原則5年にそろえて給付額も増やす。配慮が必要な場合は最長65歳まで受け取り可能。28年度から段階実施する。

 〔厚生年金の減額調整継続〕年金制度の維持を目的に給付水準を抑える「マクロ経済スライド」について、28年度に終了する見通しの厚生年金部分の減額調整を30年度まで続ける。5年後の次期改革で、厚生年金の積立金を活用した基礎年金底上げ策の再検討につなげる。減額幅は現行の3分の1にとどめ、影響を受ける高齢世代に配慮する。 

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  • 海外にばら撒き止めれば倍にはできるだろ!消費税を止めて物品税に戻せexclamation ��2高級車や高級時計、バッグ、ワインやウィスキー、シャンパンなんかの贅沢品に50%課税しても良い。
    • イイネ!24
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