【漫画】オランダでカフェを開いた日本人、工事の放棄や人種差別を乗り越えた理由があたたかい

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2024年05月02日 09:30  リアルサウンド

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『罪ほろぼしのおもちゃ』より

 日本人女性がオランダでカフェを開いたら――。思ったことを口にし方がコミュニケーションが円滑になるとされる国で巻き起こる人間模様を、実体験をもとに描いたSNS漫画が『罪ほろぼしのおもちゃ』だ。


(参考:『罪ほろぼしのおもちゃ』を読む


 本作はネットメディア『道草』連載中の『ネーデルラントの喫茶店』のなかの1エピソード。作者・犬吠徒歩さん(@ima_ie_)は時にアジア人としてヨーロッパで生きる難しさを感じるという。彼女は漫画を描きながら何を考えているのだろうか。


――まず『ネーデルラントの喫茶店』の着想について教えてください。


犬吠徒歩(以下、犬吠):本作は日本人女性がオランダで開いたカフェを舞台に、そこを訪れるお客さんや地域の人達と交わって展開していく物語です。私自身が今のヨーロッパにいるからこそ伝えられることがあるのではないかと思い、実体験をベースに描き始めました。


 これまでお仕事でイラストを描かせていただく事はありましたが、漫画作品を描くのは今回の連載で初めてです。私のSNSでオランダでカフェを始めたと報告したら、それを見た編集者さんがお声がけしてくれたんです。漫画は難しいですが、いつか見た誰かの表情を、私を通して物語にできた時の喜びは格別です。


――このエピソードを切り抜いてXでポストされたのはなぜでしょう?


犬吠:『罪ほろぼしのおもちゃ』はデジタルで制作しましたが、お客さんとのコミュニケーションの温もりを表現したいので、いずれ紙とペンで描き直す予定なんです、そんなこともあって、デジタル版の方をXに投稿しました。


――この物語も実際に起きたことで、ジョンも実在の人物でしょうか?


犬吠:漫画らしくするために多少の脚色は入れていますが、お話しの骨格は実際に起きたことです。物語に登場するジョンも実在で、最近もうちのカフェの前で警官から職質されていました(笑)。商店街という狭い世界ですから、今はジョンの息子の友達である町内会長の孫と親しくしています。すみません、複雑なんです(笑)。


 もう亡くなってしまった私の祖母は港町の商店街で洋裁店を開いていたんですが、洋裁店なのに休憩所のように近隣住民が集まる場所になっていたんです。祖母と同じ事をしているなと感じることがあります。


ーー犬吠さん自身は、テキスタイルデザイナーとして日本で働いていたそうですが、なぜ今オランダで喫茶店を?


犬吠:新卒で就職した会社でユナイテッドアローズさんなどの布物の柄を描いていました。実は結婚に失敗して、その傷心を機に日本を出たんですよ。コーヒーはもともと好きで、海外でもバイト先はカフェ、休日に行くところもカフェ。


 いつもカフェにいました。そんな中出会った今のパートナーが「自分の店を開きたい」と話してくれて、今の生活があります。いつも目の前に流れてきた雲に飛び乗るように暮らしていたらここに辿り着いていました。


――日本とオランダの違いなども気になります。


犬吠:オランダは自分と他人を比べたり、人をジャッジすることがないですね。逆に思ったことを口に出してしまうので、日本の思慮深いコミュニケーションとは真逆だと感じます。そのストレートさが人間関係を円滑にすると信じられているので、オブラートに包む方が逆によくないとされるんです。私も慣れてきてしまったので、日本に帰る時には気を付けないと......(笑)。


――今後の連載はどう展開していきますか?


犬吠:まずはゆっくりペースでも描き続けていきたいです。カフェでのんびりコーヒーを飲むように楽しんでいただけたら嬉しいです。


(小池直也)


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