実は大阪よりも土地が安い!? 日本人がドバイに移住する本当の理由

アラブ首長国連邦の首長国の一つ、ドバイ。外国企業の誘致や国際貿易、観光業などで発展を遂げた世界の富裕層が集まる都市だ。



現在は人口の9割が外国人を占め、日本人の移住者も少なくない。いったいドバイに住む日本人は何がきっかけで移住し、どんな生活を送っているのだろうか。今回は日本人のドバイ移住を支援するドバイ総合研究所の加藤宗士氏に、在ドバイ日本人の生活ぶりからドバイの不動産を巡る最新の動向まで話を聞いた。


○ドバイの魅力は節税にあり



━━ドバイに移住する日本人の方は、どんなきっかけで移住するのでしょうか?



自主的に移住される方とそうでない方によって、きっかけや目的は異なります。



自主的に移住される方は、ほとんどの人が節税目的です。日本からの移住者の3割ほどにあたります。ドバイでは個人の所得に税がかからず、法人税も条件を満たせばほとんど無税にできます。日本でかかるはずの所得税や法人税などを、自分の収入に計上できるのは、ドバイに移住するメリットですね。



例えば仮想通貨取引をして稼いでいる人には、日本だと最大約50%の税率が課されてしまうのですが、ドバイだと税はかかりません。他にもオンライン完結型のビジネスをされている人や、会社をリタイアした後に売却した資産を持っている人、「Web3.0ビジネス」(ネットワーク端末同士を直接接続し、通信記録を分散して保管するブロックチェーン技術などを活用したビジネス)に携わる人々などが、節税目的でドバイに移住しています。


残りの7割の多くは駐在員として働いています。中東全域やアフリカに向けたビジネス展開の拠点として、ドバイにオフィスを展開する動きが広まっているためです。

○生活費は東京の1.3倍、最高物件価格は100億円にも



━━富裕層や駐在員がドバイで暮らしているのですね。実際にはどのような場所に住まれているのでしょうか?

日本人富裕層に人気なのは、ゴルフコースなどのレジャー施設がついたドバイヒルズや、ブルジュ・ハリファなどの高層ビルが並ぶダウンタウン、海に近いドバイマリーナといった地域です。プールや庭のついた一軒家の大豪邸から、高層ビルのマンションタイプまで、様々な物件を弊社で年間50件ほど購入サポートさせていただいています。



ドバイヒルズの一軒家タイプの物件価格は、最低約1億6,000万円、最高約100億円となります(※取材時の価格)。物件価格の幅が広いのは、ドバイの特徴ですね。



━━ドバイで生活すると、東京よりも生活費がかかりそうなイメージがあるのですが、物価や生活費なども高くなってくるのでしょうか?



物価が日本の約1.3倍なので、生活費も1.3倍になる傾向です。しかし高収入の人ほど、日本で徴収されていた分の税金が取られないので、お得に生活できるということになります。ドバイに移住される資産家の方々は、資産ベースで1億円以上保有されている方も多く、結果として全体的に生活に余裕がありますね。

○土地の価格は先進諸国と比べるとまだまだ安価、今後の価格上昇にも期待



━━ドバイといえば、日本に限らず世界の富裕層が移住するイメージがあるのですが、海外の他地域と比較するとどんな特徴があるのでしょうか?



物件の価格差が大きいドバイですが、実は平米単価で言うと大阪よりも安く、シンガポールや香港、ニューヨーク、ロンドン、パリなどといった先進諸国と比べるとまだまだ安価です。



さらに欧米の都市では建築規制により、古い築年数で高額な物件も少なくないのですが、ドバイはそうではありません。エリアや築年数、立地、価格に豊富な選択肢があって、自分に合った物件を探して住んだり、投資をしたりできます。



またドバイは世界の富裕層の“避難場所”にもなっています。国家間の対立が発生するとその国の富裕層が逃げてきて、自らの富を守るために移住するという現象が起こるのです。実際にロシアによるウクライナ軍事侵攻の影響で、2022年から23年にかけてドバイの不動産価値はバブルのように跳ね上がりました。



━━今後もドバイの海外不動産としての価値は上昇傾向にあるのでしょうか?



ドバイは税制や規制が厳しくないため、右肩上がりに経済成長を遂げています。人口やGDPも倍になって経済規模が大きくなっており、中東の金融セクターとして将来性も期待できます。経済成長する場所には住みたいと思う人が集まってくるため、今後も不動産価値の上昇は期待できるのではないでしょうか。（岩木華子）