《独自》「今年で卒業」『24時間テレビ』名物マラソンP語る「やす子への最後の助言」

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2024年08月30日 16:20  web女性自身

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「今年はマラソンの練習現場には行きませんでした。私はもう今年で卒業ということで、どこかでケジメをつけたいと日本テレビ側に伝えたんです。局の方から『国技館に来れませんか?』と言われたので、行く予定ですが、画面に出ることはしないと思います」



そう語るのは92年、間寛平(75)から始まった『24時間テレビ』の名物企画・チャリティマラソンのプロデューサーとして参加タレントを30年以上指導してきた坂本雄次さん(76)だ。



神奈川県茅ヶ崎市に生まれた坂本さんは東京電力に入社し、1978年から職場の駅伝チームの監督を15年務め、選手を育ててきた名伯楽だった。今回、30年以上関わった『24時間テレビ』チャリティマラソンの思い出を本誌だけに語ってくれた。まずは寛平との出会いから――。



「寛平さんはまだ大阪が拠点で、これから東京に進出しようとしていたんですね。当時、さんまさんが東京に進出してガンガン人気が出てきていた。2人はすごく仲がいいので東京に進出した寛平さんが“自分も東京でやってみたい”と。そのために、何か目立つようなきっかけがほしいとのことでした。



当時、テレビ朝日で朝のワイドジョーで東京から大阪までを一週間で走るという企画があり、寛平さんがやることになったんです。ちょうどそのころ、私は東京電力にいて、日本橋から始まる旧五街道を使って、自分たちのグループで大阪まで5日間で走るという企画をやったんですね。自分たちで独自の走行地図も作ったんです。そのことを寛平さんがメディアの方から聞いて“私たちの地図を借りたい”と言ってきたのです」



その結果、坂本さんは会社の許可を得て名古屋〜大阪を寛平と並走することになった。



「大阪に到着して吉本の劇場の近くのラーメン店で打ち上げをしたんですけど、そこで寛平さんから『今年の秋にギリシャでスパルタスロン(アテネからスパルタまで走るマラソン大会)がある。一緒に来てくれないか』と。それでギリシャに一緒に行きました。私は駅伝とフルマラソンしか経験がありませんでしたが、246キロというとてつもない距離をサポートすることになったのです」



寛平の激走が『24時間テレビ』の名物企画につながった。



「そのとき私も日本テレビ側から“マラソンを手伝ってくれ”と言われたんです。私はサラリーマンなので無償で手伝いました。92年の『24時間テレビ』で寛平さんは時間切れでリタイアしてしまいますが、視聴率が良くて翌年も寛平さんが走ることになりました。最近は皆さん100キロ以下ですが、寛平さんは200キロと倍の距離を走っていたんです。タレントというよりアスリートですね(笑)。寛平さんが参加した海外のレースはほとんど帯同させてもらっています。地球1周まわるアースマラソンもやりました」



坂本さんが『24時間テレビ』のチャリティマラソンで貫いてきたこととは――。



「私は今年までですけど、ずっとサポートという立ち位置でやってきました。ランナーを走る気にさせなければいけないし、走りながら彼らが何に困っているのか、何が必要かを並走しながら見ていかないとサポートできません。身体のことや、技術のこともわかっていないとできません。今では一緒に走る別のランナーがいますが、スタートから20年近くは私が1人ですべてやっていました。食べ物、着替え、体のマッサージ全てです」



坂本さんは45歳で会社を退社した。



「サラリーマン時代の給料はそこそこ良かったんですよ。私は45歳で辞めたんですけど、それなりの退職金をいただき、会社をおこすことにしました。他のマラソン大会に関わるようになりましたが、赤字続きでしたね。無謀でした(苦笑)」





■「最も印象に残るマラソンランナーは西村知美」の理由



裏方の坂本さんがテレビに映るようになった契機があった。01年、女性で初めて『24時間テレビ』のチャリティマラソンに挑戦した研ナオコ(71)からの言葉だった。



「テレビではタレントさんが主役ですから私は“映ってはいけない”とずっと思っていました。ところが研さんが練習しているときに『この人(坂本さん)が一緒に走ってくれないと本番も走れない!』と言われてリクエストされたんです。そこで初めて画面の中に入って並走するようになりました。それから数年、女性ランナーが続くのですが、研さんと同様に、その後も一緒に走ることが当たり前になってしまいました」



今年で『24時間テレビ』を卒業することに決めた背景には、坂本さんにとって“最愛の伴侶”を失ったことが大きいという。



「実は3月に家内が亡くなりました。15歳のとき、中学生の修学旅行で行ったバスガイドさんで、私の一目惚れだったんです。その5年後に結婚しましたが、ずっと私を支えてくれていました。



寛平さんのサポートを始めたとき、会社を辞める時も一切反対しませんでした。家内は『人生は1回なんだから、貴方は悔いのないことをやりなさい。お金は私がなんとかする』と言ってくれたんですね。退職金は2年ほどで使い果たしましたが、その後の資金繰りなどはすべて家内がやってくれました。会社が軌道に乗るまでには12年かかりましたけどね……」



歴代のマラソンランナーで、もっとも印象に残っている有名人は西村知美(53)だという。そこには、坂本夫妻の激動の歩みと大きな関わりがあった。



「実は私たち夫婦に1人だけ子供ができたのですが、難産で帝王切開が遅れ、死産になってしまったんです。その女の子と西村知美さんの生年月日が全く同じなんですね。彼女がマラソンを走ったときは31歳で、もしウチの子がそのまま生きていたら31歳。そのため亡くなった娘と彼女がかぶってしまいました。これがきっかけで、今も西村さんとは交流を続けています。私にとって娘のような存在です。彼女もうちの家内をお母さんのように接してくれていました。



彼女はもっとも印象にのこっている『24時間テレビ』のランナーでもあります。そして私が唯一、怒ったランナーでした。素人ランナーの方は、走り出して調子がいいと無理をしちゃうんです。でも、そのままのペースで走るとあっという間につけがまわってくる。最悪の場合はケガをしてしまうことを彼女は知らなかったのです。途中でオーバーペースになってしまった彼女に休憩中に『そんなにいい気分になって走ってはいけない!』とかなり厳しい口調で伝えました。そしたら彼女はボロボロ泣き出してしまって…。



でも彼女は“完走させるために言ってくれたんだ”と理解してくれました。それからはペースを守って結果的には完走することができました。そういうことがあったのは知美ちゃんだけですね…」





■10キロダイエットを課したやす子には「楽しんでほしい」



今年のランナーはやす子(25)だ。台風10号により、30日午後3時現在では《安全に配慮しながら実施する方法を検討中》(番組公式HPより)だというが、彼女には坂本さんオリジナルのトレーニングメニューを渡していた。



「今の身体の様子を事細かにうかがって、どんな練習をした方がいいのかを書きました。ほぼ2カ月ほど練習期間があります。その間の食生活のこと、疲労をとるための日常の過ごし方を記しています。また、本番ではどんなことを考えながら走ってほしいかということも書きました。私は毎年、ランナーに作って渡しています。タレントさんにとって『走る』とはどんなことなのか、本番はどういう気持ちで走ったらいいのか、そのメニューを参考にしてもらっています」



やす子には10キロのダイエットを課したという。



「体重が重いと、膝に負担がかかって痛みやすいんですよ。体重の分だけ負荷がかかりますから、理想的なのは痩せてる方です。自分の関節や筋肉に負担がかからない。森三中・大島美幸さんのときは2カ月で18キロ痩せましたよ。食べる量を減らすだけではなくて栄養バランスがとれた食事をすることが大事。寝る2時間前は水分はとっていいけど食べないとかね。



やす子さんにはダイエット以外には『決して早く走ろうと思うな』と伝えました。一般の人が普段イメージしている“走る”行動をすると、歩幅が広すぎて故障につながります。腕の振り方についても振って走るのではなく、腕はバランスをとるだけにして下さいとアドバイスしました」



本番直前のやす子には、こんなメッセージを送ってくれた。



「やっぱりね、楽しんでほしいです。途中で体のどこがが痛くなります。暑すぎてしんどいとかあります。場合によっては体調が悪くなることもあるでしょう。でも、タレント人生の中でも“これをやった”ということは永久に残ります。そういう意味でも楽しんでゴールしたときの達成感を味わってほしい。ゴールしたあとは新しい何かが見えると思います」



そして長年の『24時間テレビ』マラソン人生を終える、自らの心境は――。



「24時間マラソンは私達夫婦にとって、大きなエポックとなりました。これを30年間やったことに達成感はあります。“やり切った”とまで言えないのは、自分の体が思うように動かなくなってしまって、続けられなくなった面もあります。そういう意味では、離れることの寂しさもあります。でも『24時間テレビ』の主要なイベントに携われた自負はあります。『24時間テレビ』には本当に感謝しています」

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