豊川悦司&中村倫也「驚くほど何も考えてないです」 異色のゆるゆる刑事ドラマ「No Activity」インタビュワー泣かせのインタビュー

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2024年09月13日 12:28  ねとらぼ

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ねとらぼ

つまり相思相愛

 豊川悦司さん、中村倫也さん出演のドラマ「No Activity(ノーアクティビティ)」シーズン2全6話が9月13日からPrime Videoで独占配信開始。豊川さん演じる全く仕事をしないベテラン刑事の時田信吾と、中村さん演じる人たらしな若手刑事の椎名遊のコンビが、ありえないような騒動を次々と巻き起こすコメディードラマです。


【画像】クセ強キャラを演じる白石麻衣さん


 2018年放送のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」での共演から一転、どこまでも緩い2人のドタバタを主軸にした異色の刑事ドラマが世間にお目見えしたのは2021年12月のこと。約3年を経て、特にパワーアップもしないまま時田と椎名の名(迷)コンビが帰ってきました。シーズン1から引き続き、「シソンヌ」じろうさんが脚本を担当しています。


 2人のインタビューはドラマ同様緩さがMAXで、「成長は特にしていない」「役作りも考えていない」と役柄そのままのインタビュワー泣かせ。かと思えば豊川さんが真面目に演劇論を語り、中村さんがトヨエツ愛を熱弁と、どこまでもマイペースなものとなりました。


●シーズン1からシームレスに ぬるっと始まるシーズン2


―― まずはシーズン1の反響としてどのような声が届いていたかをお聞かせください。


豊川 周囲の評判がとても良く、みんな面白がってくれました。ちょうど配信でオリジナルのドラマが出だした時期で、地上波とは一味違うテイストが喜ばれたようです。2人のバディー感も楽しんでもらえたんじゃないかな。


中村 僕も同業者から「うらやましい」と声をかけられました。スタッフであれば「ああいうくだらないものに時間とお金をかけて作れる機会はなかなかない」と、役者の立場からしてみれば“うずく”というか、自分も混ざりたいと刺激になったみたいです。


―― ご本人を前に恐縮ですが、SNSに投稿された感想の中には「あのトヨエツに何てことを!」と新鮮に感じる声も多く見られました。


豊川 世の中には意外と知られていませんが、売れていない時期には映画やテレビで面白い役をやっていたこともあったんです。だから自分としては全然違和感なく、むしろ「No Activity」のような作品こそ自分自身が楽しみながら演じられるという気持ちが強い。面白かったですよ!


―― そして今回、満を持してシーズン2が実現しました。前作から1年間経過したお話ということなんですけれど……。


中村 あっ、そうなんですか? 初めて知りました。


―― ……初耳のところ恐縮ですが、この1年の間に時田と椎名がそれぞれ何をしていたのか、背景をお2人で練ったり話したりはしたのでしょうか。


豊川 いや、してないね。


中村 していないですし、考えてもないです。


―― おーっと……?


豊川 裏ストーリーで? そもそも2人でご飯を食べたことすらないんじゃないの。ある? 勤務中にコンビニで買ったパンか何かをかじったりはするかもしれない。


中村 時田のうわさだけはいっぱい聞いてたでしょうけどね。バディーを組むのは1年ぶりって言ってましたっけ?


―― おっしゃっていました。


豊川 ……整合性を求められていないよね。


プロデューサー シーズン1の2人がまた見たいので、関係性が裏で進まないようにしようと考えていました。だから多分会ってないと思います。


―― 助け舟がやってきた。お芝居のテイストとしても特に考えずだったのでしょうか?


豊川 僕は考えていません。全く。久しぶりに会ったときからそのままスッと、続きへ入っていった。


中村 僕も驚くほど何も考えていないです。


●全く成長しないキャラクターたち シーズン1から「ともに堕落したのでは?」


―― シーズン1から見て、シーズン2で進化したポイントはあるのでしょうか?


豊川 まずキャラクターが何の成長もしていない。とても緩い入り方からして、シーズン2と区切るよりはシーズン1からシームレスに続くイメージです。そこへ今回は白石麻衣ちゃんという新しいキャラが間にグッと、まるで潤滑油のように入ってきてくれました。


 とはいえ基本的に何も変わらず、この緩い世界をどう楽しんでいただけるかを念頭に作っていっただけでした。


中村 シーズン1の撮影から1年半後に2の撮影をしていたみたい。自分自身としては「帰ってきたな」「あの2人だな」と感慨がちょっとだけあって、だからといって心に訴えるものは全くなく、スルスルスルっと何の成長もしていない2人の掛け合いが始まりました。


 シーズン2の最初のシーンからクランクインしたんですけど、「1年ぶりにコンビ組んで最初の話題がそれですか?」って僕のせりふそのままに、シーズン1当時と全く同じ気持ち、相変わらずのテンションでスタートしました。


 椎名としては、得体の知れない先輩とのバディーでも親密度は違う。もう一歩懐に入った段階で、安心感がありすごく居心地が良かったです。先輩のロマンスも陰ながら支えることができて本望でした。すごく愛しい空間でしたね、ずっと。


―― まさにそのシーズン1と比べて成長された部分をお聞きしたかったのですが、「ない」とおっしゃっていましたね。


中村 伸びしろがゼロです。人間的な伸びしろはもう頭打ちです。ハハハハハ!


―― とはいえシーズン1に比べてバディー感が増したという部分は、成長といって差支えがないのでは……?


中村 ともに堕落したのでは?


豊川 上がるにしろ下がるにしろ、同じ一歩を踏み出している感じはあると思います。シーズン1より少しは話がかみ合うようになったかも。モノローグ対モノローグみたいだった前回から、ちょっとはダイアローグと呼べるような場面も出てきた。


中村 二人三脚の縄が強くなりましたよね。理解度は深まりました。椎名の操縦士としての腕は上がった。


豊川 そうだね。機体はだいぶ傷んだけどね。


中村 ハハハハハ! 深まる方の“深化”かなと思います。そこは2人の距離感と理解度で、「椎名にだったらいいよ」と許してくれるようになったみたいなところもあったでしょうし、変化というか、進化というか。


 「はじめてのおつかい」を見ているような気持ちになる瞬間が増えました。椎名を演じてる身としては、前回はもうちょっと探りながらも先輩として見上げていたはず。でも今回は、精神的には対等というか、なんならちょっと年下の子を見ている。


●トリオになってもやっぱりバディー 「結局僕自身が強火の時田ファンなんです」


―― 一般論として、コメディーを演じるのはシリアスなドラマより難しいとの考え方もあります。この作品で難しかったポイントは?


中村 そうですよ。褒めてください。


豊川 難しいというより、いかに「No Activity」という世界観を自分が楽しめるように持っていけるか。それはシーズン1でも課題でした。でも中村くんのおかげでドーンと飛び込むことができ、シーズン2は本当にスムーズに、すっと入っていけた。


 そもそも果たしてこの作品をコメディーと呼んでいいのか。真面目にやればやるほど笑えてくるし、ふざけていてもそれは隠す。そんな感覚でのお芝居でした。リアリティーのないリアリティーっていうのかな。真面目な話にしちゃってごめんね。もっとふざけないと(笑)。


中村 僕は難しいとは一度も思いませんでした。やりがいがある。ずっとふざけていた立場ですが、状況とのギャップは常に認識するようにしていました。他の現場では何が起きているのか。ギャップを狙いすぎることなくナチュラルに、内心その境目は大切にしなくちゃと思いながらやっていましたね。


 あとはほとんど何も考えていないんですけどね。基本的には時田さんを見て、反応して、面白がって、その繰り返しです。


―― とても自然で、時には「これはアドリブでは?」と思う場面が多いのもこの作品の特色だと感じました。


豊川 中村くんはそう思わせるのが本当にうまい。僕も「(台本に)こんなこと書いてあったっけ?」と感じるタイミングがありました。せりふとして完成されているので脚本に行間が多いというわけではないんです。自分で差し込むスペースはほとんどない。


中村 僕、ああいうやつですし。アドリブにしたって豊川さんを見て反応する上で、リアクションでポロッと言った一言が使われていただけなんです。いやらしい言い方すると次のオチへの引っ張りを作ったり、豊川さんの芝居を受けて突っ込んだり。そこに混ぜられる白石さんがまた大変。


―― 白石さんの苦労がしのばれる……。完全に出来上がっちゃってるお2人の間に入ってくる白石さんはどういう感じでしたか?


豊川 普通に考えると途中参加ってすごく大変だと思うけど、自然に入ってきた印象です。役にとてもマッチしていたと思うし、「すごくコメディーセンスを持ってる人なんだな」と思いましたね。かなりクレイジーなキャラクターだったもんね。


中村 キラーワードが多くて回収が大変でしたよ。白石さんが演じる冬花は脈絡なく、結果だけ最初に話し出すタイプの人。「は? ちょっとどういうこと?」となることが多々ありました。


―― 新キャラに加え、前シーズンに比べてパワーアップしたと感じる点は?


豊川 ストーリーのスケールが大きくなりました。ダイアローグに関しては、変わっていない。素晴らしいナンセンスさが根底にあるまま、リアリティーの中に潜む飛躍感を大切に、楽しんで演じました。


 自分たちとしても最初に脚本をもらったときから「あっ! 今回はこう来るんだ」「こう行くんだ」と感じる、しゃべっていても楽しいせりふばかり。このナンセンスをドラマとして成立させるのは、なかなか地上波ではできないことだと思います。そこは配信ならでは。作品の良さが一番出ている部分じゃないでしょうか。


中村 やっぱりじろうさんは頭がおかしいと思います。じろうさんが書くキャラクターの遊び度合い、振れ幅は作ろうと思っても作れないもので、じろうさんの発想、着眼点、筆ありきの作品です。


 今回は各組がバディーからトリオになることによって、もう一転がしできた。A案とB案を持っている2人に、全く違う角度からC案を持ち込める人がいる。僕たちだけではなく、指令室のクレイジーな女性2人にはツッコミ役として四角が加わって、トリオにはトリオの良さがあると思いました。


―― 個人的にはカレーにまつわる指令室のトークが頭に残りました。


豊川 まともに聞いちゃダメですよ。まともに聞かない方がいい。


中村 共感する人いました?


―― うーん……。


中村 面白変人たちばっかでしょ。本人たちもせりふの意味を理解せずにやるんですよ。


―― 逆インタビューされてしまいましたが、ご自身が演じた以外で共感できるキャラっていますか?


豊川 共感できる……? 誰だろうか。


中村 1人もいないな。


豊川 1人もいない。


中村 変なドラマだなぁ。


豊川 もはやみんな共感できるといえば、そうなのかもね。どのキャラクターもみんな本当に、いとおしくなるようなかわいい人たちばかりで、「何をそんなに真面目になってんの?」「何そんなムキになってんの?」と思えるほど。共通しているのは、みんな自分に正直な人たち。うそがつけない人たちが集まっているんでしょう。


中村 愛すべき必死さみたいものは、共通してるかもしれませんね。


―― きれいにまとめていただきありがとうございます。最後にシーズン2の見どころを教えてください。


豊川 見どころは全部。強いて挙げるなら、シーズン1と比べたときの最大の違いになるトリオ化。……とは思いますが、「結局トリオになっててもバディーじゃねえか」という時田と椎名の収まりのよさは、また前回とはちょっと違う視点で楽しめるんじゃないかなと思います。


中村 僕らもそうですし、司令室も犯罪者チームも、なんだかうまいこと転がっていてチームワークの妙を感じられます。個々人の仕事ももちろん、それぞれの化学反応で脚本からさらにパワーアップしています。僕たちの最大公倍数が出せました。


 シーズン1もそうでしたけど、結局僕自身が強火の時田ファンなんです。今回も時田さんにキュンキュンするので、ぜひ日々の栄養補給のために時田さんを見ていただければ。一緒に見守ってください。


―― つまり2人は相思相愛、おあとがよろしいようで。ありがとうございました!


●『No Activity』シーズン2


9月13日(金)から Prime Videoで独占配信中


出演:豊川悦司、中村倫也/木村佳乃、清野菜名/高橋克典、白石麻衣、岡部大(ハナコ)、清水尋也


監督:英勉 脚本:じろう(シソンヌ)、土屋亮一、今井太郎


音楽:松本晃彦


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