【F1】角田裕毅とアゼルバイジャンGPの相性はいい 混沌の中団争いは「0.1秒」が順位を大きく左右する

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2024年09月13日 17:20  webスポルティーバ

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 F1サーカスはヨーロッパを離れ、いよいよシーズン終盤戦のフライアウェイラウンドへ突入した。史上最多の24戦で争う今シーズンも、すでに残りは8戦となっている。

 シーズン後半戦に入り、角田裕毅とRBの苦戦が続いている。

 前半戦のラスト9戦のうち8戦で中団上位を争い入賞を果たしてきたRBだが、夏休み明けのオランダとイタリアではQ3にも進めず、入賞を争えずにいる。

 その悪い流れを、このアゼルバイジャンGPで断ち切りたい。

「今週末は楽しみですね。バクーは歴史的に見ても、僕らのチームのマシンはわりと合っているサーキットだと思いますので、期待値は高いです。

 でも、今年は多くのチームがタイトな争いをしているので、ほかのチームのマシンのほうがもっと合っていて、僕らのマシンはもうそれほどではないこともあり得ます。どうなるかはわかりませんが、しっかりと対応できるように準備していきたいと思っています」

 過去3回のすべてでQ3に進み、昨年は非力なマシンで入賞、一昨年もリアウイングの破損がなければ入賞が果たせる位置にいた。デビューシーズンにも7位入賞を果たしている。チームにとってマシンと相性のいいサーキットだけに、ここで好結果を出してしっかりと流れを引き戻したいところだ。

 RBの流れがよくないのは、前戦イタリアGPに投入した新型フロアが期待どおりの効果を発揮しなかったことも大きい。第10戦スペインGPのアップデート失敗から2カ月半。さまざまな検証の末に完成させたフロアがまた失敗に終わったとなれば、今後の戦いに大きく影響する。

「うまくいかなかった理由はいくつかあります。データ上では実走でもその性能は出ているように見えているんですけど、実際に走っているとそれを感じることができなかったので、まだ正確に理解はしきれていないと思います。

 メリットよりもネガティブな部分が予想していたより大きく出てしまった部分もあったし、もしかしたらサーキットによるところかもしれません。今回はまったく違うサーキットで走るので、そういうデータがここではいい結果につながることを願っています」

【新型フロアがどこまで機能するかがカギ】

 モンツァで新型フロアを使った角田は、シミュレーターで感じていたフィーリングと実車があまりに違っていたことに愕然としていた。だが、これはシミュレーターに入力されたマッピングに誤りがあったことが原因のようだ。モンツァでの実走データを元にしたパラメータを入力すると、実車と同じような感触だったといい、シミュレーションモデルやシミュレーター側の問題ではないことは確認できている。

 そのモンツァの実走データをエンジニアたちが分析し、新型フロアのデメリットよりもメリットのほうが大きくなる。つまりコーナリング時の回頭性が向上し、ドライバーがそれを使いこなせるようなセットアップを導き出して、バクーに持ち込んでいる。

「モンツァのデータからエンジニアたちが賢明に分析して、何が悪かったのか、ある程度は理解しています。また、セットアップ面でどう対処すれば新型フロアの挙動特性によるデメリットを上回るメリットを引き出せるのかもわかってきているので、その点も楽しみにしています」

 モンツァは特殊なローダウンフォースパッケージで走っていたことも、風洞と異なる挙動を示した原因になっていた可能性がある。であれば、ロングストレートがあるとはいえ、モンツァほど特殊なパッケージではないバクーでは、新型フロアがきちんと機能するはずだ。

 金曜はダニエル・リカルドが新型フロアを使い、角田は旧型フロアを使って比較データ収集をさらに推し進める。マシンを最適化するため、フリー走行はかなり忙しくなるだろうとテクニカルディレクターのジョディ・エギントンは語る。

「今週末のテストプログラムは、かなり忙しくなる。通常のセットアップ作業とタイヤデータ収集作業に加えて、新型フロアを中心としたパッケージをさらに深く学び、最適化するために重要なテスト項目が多数あるからだ。依然として中団グループの争いは非常にタイトだから、両ドライバーともにポイント獲得を目指してマシン性能を最大限に引き出すことに集中しているよ」

【中団グループ4チームの差は0.3秒程度】

 角田としてはあらためて旧型フロアの感触を確かめ、リカルドが担当する新型フロアをどこまで使いこなせるかを見極めながら、土曜日以降にどちらを採用するかを決めていくことになる。

 中団グループでは、ハースがポイントを重ね、ウイリアムズも大型アップデートでQ3に進出できる力をつけてきた。アルピーヌも着実に速さを増してきている。

 ただし、中団グループ4チームはまだ0.3秒程度の範囲内にひしめいている。いかにマシン性能をフルに引き出しきれるか、ドライバーの腕で引き出す0.1秒が順位を大きく左右する。

「まだ(開発競争から)完全に遅れているわけではないですし、予選もタイトなので、いいアタックラップを決められれば順位もひとつふたつ違ってきます。そのなかでマシンパッケージを最大限に利用してタイムを引き出すのが、僕の今の集中すべきことだと思っています。

 これからのレースで、まだまだ(アップデートで)進化するところが出てくると思う。それまではできるだけ耐えつつ、ポイントが獲れるところはできるだけ獲っていきたいと思っています」

 その「獲れるところ」というのが、このアゼルバイジャンだ。ここでは確実にポイントを獲り、シーズン終盤戦に待ち受ける厳しい戦いに向けて、RBは勢いをつけなければならない。

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