「アルツハイマー型認知症」4割が誤診の可能性!うつやてんかんなどのケースも

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2024年09月17日 11:10  web女性自身

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「もの忘れがある=アルツハイマー病」という認知症の常識が、揺らぎ始めている。



「60代の父親が、心療内科で“アルツハイマー型認知症”と診断されたのですが、その後、日を追うごとに口数がどんどん減り、ボーッとする時間が長くなりました。食欲も急に減退したので心配になり、認知症の専門クリニックで、詳しく調べてもらいました。 その結果、アルツハイマー病ではなく、“うつ病”によって認知機能が低下していることがわかったのです。今は投薬治療のおかげで症状が改善されて、安定しています」(千葉県在住の40代主婦)



認知症の代名詞であるアルツハイマー病。だが、最近の研究によって、その診断に“誤診”が多いことがわかってきた。



新潟大学脳研究所の研究によると、アルツハイマー病と診断された558人の脳脊髄液を解析した結果、患者の約4割は別の病気の可能性があると報告されている。



「認知症には、実は70種類以上の原因があり、専門医でも正確な診断が難しいのが実情です。血管性認知症、前頭側頭型認知症などもアルツハイマー病と症状が似ることがあります。初期症状が軽微であったりすることから、確定に至る特徴を見いだせず、誤診されやすい。認知症の中で、とくに間違えられやすいのが、幻覚の症状が出るレビー小体型認知症です」



こう語るのは、筑波大学名誉教授で、認知症治療・研究の第一人者である「メモリークリニックお茶の水」の朝田隆院長。



厚生労働省の最新データによると、認知症患者の数は増加の一途で、2040年には65歳以上の高齢者の約15%にあたる584万人が認知症になると推計されている。



その中で、認知症全体の約7割を占めるのがアルツハイマー病だ。そのうちの約4割が“誤診”だとすると、本来受けるべき適切な治療が施されていないことになるが――。



誤診が発覚するケースが増えている背景には、昨年9月に国内での使用が承認された、アルツハイマー病の進行を抑える世界初の治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」の存在がある。



「レカネマブは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβというタンパク質を標的として、進行を遅らせる疾患修飾薬です。ただし、事前の診断で、脳内にアミロイドβが蓄積されていることを確認できなければ投薬はできません。



事前診断では、アミロイドPET(陽電子放射断層撮影)検査や脳の血流を見るSPECT検査などを行いますが、その結果、アミロイドβが蓄積されておらず、アルツハイマー病ではないことが発覚した、という事例が報告されています」(朝田院長、以下同)



なぜ、誤診は起きてしまうのか。原因の一つは、最初に受ける認知症診断にあるといわれている。



一般的には、患者や家族への問診、脳の萎縮を見るMRI検査、認知機能を測るテストなどをもとに診断される。しかしこれらの方法では、「認知機能の低下」などを伴うあらゆる疾患が、アルツハイマー病の条件に当てはまりやすいのだ。ふだんのようすから家族が認知症と思い込んでしまい、問診に偏りが出る場合も多い。



アルツハイマー病と誤診される病気は、認知症以外にも数多くある。“うつ病”がその代表例だ。



「うつ病の場合、認知機能や記憶力の低下というよりも、注意力や集中力の低下で起きる症状や言動が認知症とよく似ています。



たとえば、話をしても内容が頭に入っていないため、同じことを何度も聞くなど、周囲から認知症だと思われるケースが多く、誤診もされやすい」



さらに、再検査によって判明した別の病気の中で、50〜60代で多いのが“てんかん”だという。



「子どもの病気だと思われがちですが、とくに60代以降に発症することが多いのが“てんかん”です。特徴的な症状として、口をモグモグ動かす“口部自動症”や、無気力でボーッとしている、おかしな行動を取る、などがあります。ただ、しっかりしているときもあり、その落差が極端に出る。大人の場合はけいれん発作がほとんどないため、周囲も気づきにくく、認知症だと思われやすい。 てんかんは、薬の種類が多く、適切な治療をすれば、1〜2週間で改善するケースが多いです」



朝田院長は、このほかにも、誤診されやすい認知機能が低下する疾患として“ADHD(注意欠如・多動性障害)”。そして絶対に間違えてはいけない病気として、“プリオン病”を挙げる。



「プリオン病は、急速進行性の認知症で、わずか数カ月で寝たきり状態になってしまう危険な病気です。これをアルツハイマー病だと誤診したら対処が遅れ、病気がどんどん進行してしまいます」



このように、もし別の病気であった場合、治療法や薬の副作用によって、症状が悪化してしまう可能性もある。介護をする家族は、どのようなことに注意をすればいいのだろうか。



「まずは4カ月間を一区切りに、処方された薬に効果があるか様子を見ましょう。そして家族以外の周囲からも、症状に変化がないかどうか評価してもらう。もし、その間に急激に症状が悪化したり、それまでになかった新たな症状が出てきた場合は、別の病気を疑いセカンドオピニオンを受診することです」



できるだけ早い段階で、認知症専門の医療機関の検査を受けることが賢明かもしれない。

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  • 現時点で、ADHDは診断名としては存在しない(原則)。広汎性発達障害の一領域とされてしまう。しかし、実際には広汎性発達障害や認知症の随伴症状として一定程度独立した診断をくだすべき場合もあるように思う。
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