龍 幸伸氏による漫画作品『ダンダダン』は、幽霊を信じる女子高生と宇宙人を信じる男子高生がさまざまな怪奇現象に立ち向かう、オカルティックバトル漫画だ。同作品には、現実においても噂や都市伝説として語られているUMA・怪異が多く登場する。作品に触れて、「漫画に登場するこの都市伝説は現実でどのように語られているのだろう」と興味を抱いた人は多いのではないだろうか。『Mr.都市伝説 関暁夫の『ダンダダン』超常現象解体新書』(SBクリエイティブ)はそんな人たちのために書かれた、漫画と現実の都市伝説をつなぐ解説書だ。
著者は「信じるか信じないかはあなた次第です」のフレーズで有名な、『やりすぎ都市伝説』(テレビ東京系列)で人気を博した芸人「Mr.都市伝説」こと関 暁夫氏。『ダンダダン』の主人公が宇宙人を信じる「オカルン」と幽霊を信じる「モモ」であることから、2人に合わせて1章ではUMAや宇宙に関する都市伝説が、2章では霊界や怪異などに関する都市伝説が紹介されている。具体的にどのような都市伝説が登場するのか、その一部を紹介しよう。
まず紹介するのは、「セルポ星人」に関する都市伝説。『ダンダダン』作中にて、セルポ星人は地球人をさらい、性器を求める変態のように描かれているが、現実の世界では地球人に対してはるかに友好的だと関氏は語る。友好説の根拠となっているのが、アメリカとセルポ星人の「交換留学」だ。
関氏によると、「交換留学」のきっかけとなったのは1947年に起こったロズウェル事件だという。2機のUFOがニューメキシコ州ロズウェルに墜落し、宇宙人の遺体が回収されたと噂になった、オカルト界隈では有名な事件だ。この墜落事件の際に、生き残った宇宙人が1体いたそうだ。その宇宙人は、イーブ1号と名付けられた。
「このイーブとコミュニケーションを取る中で、UFOの母星がセルポ星だということがわかったのです。
やがてセルポ星との通信にも成功し、何度かやりとりをしているうちに、再度セルポ星からの使者が飛来。
そこで提案されたのが、セルポ星人と地球人の『交換留学』だったのです。
この『交換留学』のことを、俗に『プロジェクト・セルポ』と言います」(同書より)
「プロジェクト・セルポ」では、アメリカから計12人の軍人が選ばれてセルポ星へ向かい、セルポ星からは1人が地球に来ることになった。ちなみにセルポ星人は自動翻訳装置を持っており、地球人と英語でコミュニケーションを取ることができたという。交換留学のあと、地球人とセルポ星人の交流はどうなったのだろうか。詳細を知りたくなる、興味深い都市伝説だ。
宇宙規模の都市伝説について紹介したが、次はもう少し身近な「結界」に関する都市伝説を紹介しておこう。「結界」と聞いて多くの人が想像するのは、特殊な空間を作って悪しき存在を弾き中のものを守る、または悪しき存在を中に閉じ込めるというシーンだろう。陰陽師や霊能力者など、特殊な人間にのみ使用可能な技という印象が強いが、関氏いわくそんなことはないという。
「例えば、神社に行くと注連縄と白い紙が下がっていますよね。あれも結界です。
また、皆さんは食事のとき、箸を箸置きに寝かせ、自分の前に横向きに置くと思います。あれも結界です。ごはんは、神様からのいただきものです。なので、箸の向こう側が聖なる世界、こちら側が俗なる世界という風に分けているのです」(同書より)
我々一般人も、日常の中で結界の中に入ったり、結界を張ったりしているらしい。だがもちろん、能力者が張った特別な結界もある。
「有名なところでは、徳川家康が江戸時代に張った結界です。
発案者は家康のブレーンだった天台宗の僧侶、天海だったという説もあります。
この結界に守られ、江戸幕府は約300年にわたって永らえたというわけです」(同書より)
関氏が言うには、江戸幕府が倒れたあと、皇居を守るために新たな「鉄の結界」山手線が作られたそうだ。
「ところで、今でこそ山手線は円を描いていますが、この形になったのは1925年のこと。それまで神田駅と上野駅間がつながっていなかったので、結界が完成しておらず、その状況で起きたのが1923年の関東大震災だったのです!」(同書より)
偶然だと言ってしまえばそれまでだが、「もしかして」を想像して楽しむのが都市伝説の醍醐味。同書には他にも「クローン」や「キャトルミューティレーション」に、「地底人」や「ターボババア」、「アクロバティックさらさら」など好奇心を刺激するさまざまな都市伝説が掲載されている。同書と『ダンダダン』を通して、不思議なオカルトの世界に触れてみてはいかがだろうか。信じるか信じないかはあなた次第だ。
『【Amazon.co.jp限定】Mr.都市伝説 関暁夫の『ダンダダン』超常現象解体新書(DL特典:未収録原稿)』
著者:関暁夫,龍幸伸
出版社:SBクリエイティブ
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